クリスマス・イブの12月24日、モテない人の明るい未来を築き上げるべく、非モテ同志の連帯を呼び掛けてきた革命的非モテ同盟(通称:革非同)が、毎年恒例のクリスマス粉砕デモを開催した。
「バレンタインデー粉砕デモ」「ハロウィン粉砕パーティー」など、結成10周年を迎えた同団体の活動は、最近では海外メディアも含め多くの注目を集めている。クリスマス粉砕デモは今回で9回目の開催となるが、イブ当日に開催されるのは2011年以来3回目となる。(取材・文:伊藤綾)
ポリコレの影響で「クリスマス粉砕が国際的な本流となっている」
革非同の革命評議会議長マーク・ウォーター氏は、デモ前のスピーチで、「ニューヨークでは『メリークリスマス!』という挨拶は聞かれず『ハッピーホリデー』という挨拶が目立つようになった」という、日本経済新聞の記事を紹介。
「帝国資本主義の尖兵であるスターバックスも非キリスト教者に配慮してクリスマスカップのことをホリデーカップと呼んでいる。もはや我々革命的非モテ同盟が革命運動として起こしてきたクリスマス粉砕が国際的な本流となっている」
と、これまでの活動の正当性を強調した。
今回のデモの参加者は20人ほど。見たところ20~30代が中心でほぼ全員が男性。名古屋や新潟など地方からやってきた人もいた。
集合場所となった渋谷・みやしたこうえんからデモはスタート。「クリスマス粉砕!」と書かれた横断幕を掲げ、警察に誘導されながら街中を20分ほどかけて練り歩いた。
年収という数字だけで比較される「婚活」にも怒り
三連休中日のクリスマスイブに浮かれた世間のムードを打破するため、
「クリスマス粉砕!」「恋愛資本主義反対!」
「カップルは自己批判せよ!」「リア充は爆発しろ!」
とシュプレヒコールを叫ぶデモ隊たち。その光景に、街の人たちは困惑したり、スマホやカメラで写真を撮ったりしていた。
買い物中の40代の女性に感想を聞いたところ、「おもしろそうでいいと思いますよ。お祭りみたいで」と好意的な様子。一方で、若者たちからは「共感するところもありますけど、自分が参加する勇気はないですね」といった声が多く聞こえた。
「意味がわからないです」
と、戸惑いの色を隠せないのは、まさに渋谷デート真っ最中にデモに出くわした10代カップル。革非同は"街中でカップルがイチャつくのはテロ行為"としている。
デモ終了後、参加者たちは一様に晴れやかな表情を浮かべていた。ある参加者は年収という数字だけで比較される"婚活"に怒り覚えて、今回参加に踏み切ったと語る。
また別の男性は、「数年前からネットなどで彼らの活動を見ていて、参加したいと思っていました。今回初めて参加してみましたが、めちゃくちゃ楽しかったです」と、デモ行為自体にも新鮮な楽しみを発見したようだった。
「時代は確実に我々に追いついてきている」
マーク・ウォーター氏は今回現場で、小池百合子都知事の都政改革の柱のひとつ、ダイバーシティ(多様性)において「非モテの存在が忘れられていないか、今後も注視していく必要がある」とも主張。
また、昨今「若者の恋愛離れ」「クリスマス離れ」、あるいは「くりぼっち」といったワードが、人口に膾炙されるようになって、非モテに関して寛容な社会に変化しつつあるといった言説については、「まやかしである」と一蹴した。
革非同の広報担当者も「単にお金がないからとか仕事が忙しいからとか言っているのは、ファッション非モテ。景気が良くなって彼らの金回りが良くなれば、即座に手のひらを翻して、我々を真っ先にバカにする存在になりかねない」と、運動の切実さを語っていた。
「時代は確実に我々に追いついてきている。我々は宗教的な信仰とは別に、商業的に消化されるクリスマスに対して運動を貫徹していく」(マーク・ウォーター氏)
活動10年というひとつの区切りとなった今年のクリスマス粉砕デモ。次回はバレンタインデーでデモを敢行する予定もあるというが、これからの非モテたちの新たな10年に注目したい。
あわせて読みたい:バレンタイン粉砕デモに海外メディアも大注目