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THE BEAT GARDENが目指す、ポップス×EDMの新たな可能性 ボーカル勢がつなぐ“歌”に注目

2016年12月24日 15:02  リアルサウンド

リアルサウンド

THE BEAT GARDEN

 エレクトロニックな自身の音楽性を表現した「BEAT」と、クラブやフェスでのオーディエンスの盛り上がりを例えた「花(が咲き誇る庭)」を組み合わせたグループ名を持つ3VOCALS+1DJの4人組、THE BEAT GARDEN(ビート・ガーデン)が話題を呼んでいる。彼らは大阪の音楽専門学校で出会ったU、REI、MASATOが2012年に結成した前身グループを母体に、DJのSATORUを加えて4人組になると、2016年7月に『Never End』でメジャー・デビュー。その後SUMMER SONICやRISING SUN ROCK FESTIVAL、a-nation、イナズマロックフェスといった数々の音楽フェスに出演し、11月30日に発売された最新シングル曲「Promise you」は発売週に56のラジオ局でパワープレイ/テーマソングに決定するなど、新人アーティストらしからぬ注目が寄せられている。


動画はこちら。


・高揚感とエッジを備えた「エレクトリック・ダンス・ロック」の魅力


 その最大の特徴は、自ら「エレクトリック・ダンス・ロック」と表現する、四つ打ちEDMの高揚感にロックの鋭さやダブステップ~ブロステップ特有のワブルベース(Wobble Bass:振動する低音ベース)を組み合わせた、エッジの効いた音楽性。トラックは主にREIが、歌詞は主にUが担当するなどボーカル組が楽曲制作に大きな役割を果たしているのも特徴的で、彼らのサウンドやパフォーマンスは4人が有機的にアイデアを持ち寄って生まれるものなのだろう。とはいえ、EDMとロックを融合させるアーティストの多くがドロップ(=ポップ・ミュージックのサビに当たる部分)をラウドなシンセやギター・リフ、もしくは重低音ベースに委ねるのに対して、彼らはインディーズ時代からメジャー・デビュー後の楽曲に至るまで、一貫して曲のピークを「歌」で表現している。つまり、EDMのトレンドを取り込みつつも、同時にJ-POPとしての魅力も兼ね備えた射程の広いサウンドこそが、彼らの音楽が多くの人に支持されはじめている理由なのかもしれない。


・3VOCALS+1DJが織りなす豊かなパフォーマンス/コーラスワーク


 そしてもうひとつの特徴は、3VOCALS+1DJという独自のグループ編成。ヒップホップ・グループであれば3MCも珍しくはないが、彼らはあくまで「ボーカリスト」であり、メンバーが4人とも華のあるルックスをしていることも相まって、その佇まいは1DJの前にバンドのフロントマンが3人も陣取っているような雰囲気だ。その3人が巧みなコーラスワークでAメロ~Bメロを繋ぎ、サビでは一気に歌声を重ねて圧倒的なエナジーを生み出していく。コーラスはユニゾンで歌声を重ねることも多く、EDMの要素を含んだトラックとも同等に渡り合うボーカルのしなやかな強さを生み出しているのも印象的だ。そのため、彼らの楽曲には全身で踊れる雰囲気があると同時に、歌詞やメロディの世界にもじっくり浸れるような、不思議な余韻が感じられる。


・「約束と幸せ」をテーマに歌の魅力を押し出した最新曲「Promise you」


 今回の最新シングル『Promise you』の表題曲は、そうした彼らの個性を生かしつつ、これまで以上に「歌」の魅力を前面に打ち出したミディアム・バラード。アコースティック・ギターの音色にEDM風のシンセ音とワブルベースが加わって楽曲が高揚すると、胸の鼓動のような四つ打ちに乗せて、「約束と幸せ」をテーマに恋人への真っすぐな気持ちが表現されていく。サビの背後で鳴るややブリーピーなシンセも切なさを感じさせる絶妙なアクセントになっていて、エッジの効いたサウンドと、誰しもが共感できる普遍的なラブソングとしての魅力とが同居したサウンドは、これまで以上に幅広い層に受け入れられるだろう。切ないメロディは冬の街並みを連想させる部分もあり、これからの季節にも似合う。そこに高揚感溢れる2曲目「Guilty pleasure」や、外部クリエイターの作曲により新たなグループの魅力を引き出した3曲目「Sky's The Limit」を加えた全編は、1枚で彼らの様々な表情が楽しめるため、グループの過去の楽曲への入門編としての側面も果たしている。


 1DJを起点に3人のボーカリストがステージを広く使って4人がダイヤモンドのような編成になるパフォーマンス時と同様に、彼らの楽曲はEDMの「高揚感」、ロックの「エッジ」、3人のボーカリストならではの「コーラスワーク」、そして普遍的な「メロディ/歌詞」の4つが分かちがたく結びついて生まれている。また、華やかな佇まいとは裏腹に、彼らは前身グループを結成して1週間で上京して以降地道にライブを重ね、メジャー・デビュー前に大阪のBIG CATをソールドアウトし、赤坂BLITZでのワンマンも成功させたライブに定評のあるグループでもある。それだけに、楽曲に耳が動いた人は、2017年1月21日に東京で、2月5日に大阪でそれぞれ開催される『Promise you』の購入者を対象にしたリリース記念スペシャルミニライブにも注目だ。(文=杉山 仁)