経済産業省と経団連、それからいくつかの業界団体によって、驚くべきプランが提示された。来年2月24日から、毎月末の金曜日の消費活動を促すべく、労働者の就業時刻を繰り上げる試み「プレミアムフライデー」がスタートするというのだ。(文:松本ミゾレ)
朝日新聞などが報じたところによれば、既に経産省はこの試みのために広告費として2016年度補正予算に2億円を計上したという。今後、月末金曜日は従業員が15時には仕事を切り上げて退社するように、各企業に働きかける方針だという。
結構大変な話しだが、それをあと2か月後には実施するというのだから、随分な話である。
みんな疲れているから消費よりも家に帰って寝ることを選ぶのでは
労働者の立場で考えれば、毎月末金曜日に仕事がさっさと終わるというのは(終われるかどうかは別として)、一瞬「あ、いいかもね」とは思うかもしれない。でも、その後消費云々をどうするかは個人の自由だ。
正直、消費するったっていつも利用するコンビニやスーパーに訪れる時間が早まるだけで、経済効果はあまりない気がする。一応、連動して各地のショッピングセンターやら商店街でイベントなんかも企画してもらう予定となっているが、どうだろうなぁ。みんな行かないだろうなぁ。
もし僕が会社勤めなら15時に仕事が終わって退社するとしたら、そのまま家に直行するし、そういう人の方が多いんじゃないだろうか。みんな疲れてるもん。外食とかよりも、商店街散策よりも、家で寝てたいって人が大勢いるはずだ。
そもそも、プレミアムフライデーによって外食産業がもし仮に盛り上がったとしても、その外食産業で働く人たちにとっては、その日は15時で帰れないばかりか、普段よりも忙しくなる。こうした消費先の企業がどんなメリットを得られるかと言えば、毎月末金曜日の売り上げ増以外に何があるんだろう。
だったらその日は最初から休みにしてほしい
いや、ちょっと穿った見方をしてしまったかもしれない。僕個人の偏った考えを紹介するだけではアンフェアだ。では、ツイッターの声を見てみよう。
「内需を拡大したいってのは分からなくもないけど、小売業が働くためには卸売業が働かなければならないし、卸売業が働くには製造業が動かねば、製造業が動くには仕事を取って来る営業が……となって結局誰も恩恵を受けないままなんとなく忙しい金曜ができる気がしなくもない」
「なぜ定時退社もできないのに15時退社ができると思ったのか。なぜ金のない人に時間を与えたら消費活動すると思ったのか」
ネットだと否定的な声が多いが、これはもう仕方がない。金がないのに時間を与えても、という声があるが、まさにそうで、どんなに忙しくてもお金がある人はなんだかんだ消費しているもの。
消費していないのではなく、できない状況に問題があるのだから、プレミアムフライデー云々というのは、全く筋違いの施策と思われても当然だろう。
それに、僕からすれば月末の金曜の15時から「はい、終業!」ってなって帰って良いなんて言われても、正直イライラするだけだ。心情的な部分で「うるせえわ、だったら最初からこの日は休ませろ」とか思ってしまう。
「働かせはしたい。で、消費もさせたい。だから普段より終業時間を数時間繰り上げたよ」
そんな金曜日が、まもなくやってくる。