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「教育がないから貧乏。教育があればいいところに勤められる」 北野武の母の言葉が共感呼ぶ

2016年12月23日 12:01  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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12月21日放送の「ファミリーヒストリー」(NHK総合)で、北野武さんの家族のルーツが特集された。とりわけタレント、北野武さん(69)の母・さきの深い教育観は話題を呼び、共感の声が多数寄せられた。

武さんの母・さきは1904年生まれ。幼い頃に母と兄、姉を亡くし、尋常小学校を卒業する頃には、育ててくれた父親まで亡くしてしまったという。そこでさきは東京に奉公に出る。奉公先では、便所掃除ばかりさせられていたという。

「いいところに入ればお金ももらえる。お金がもらえればいい暮らしができる」

その後、北野家に嫁いだ後もさきの苦労は絶えなかった。夫の菊次郎は、北野家の家業であった帽子店を倒産させてしまったうえに、とんでもない「道楽者」だったのだ。しかし、そうした厳しい生活の中でも、子供たちにはきちんと教育を受けさせようとさきは考えていた。

同番組の中で武さんは、教育熱心だった母にまつわるエピソードを紹介している。子どものころを振り返ってこう語る。

「遊びに連れてってやるっていうから、朝からうれしいなと思ったら、神田にある参考書の本屋や卸屋にいって、理科とか数学の本をいっぱい買ってきてそれで帰ってきて終わりですよ」

また野球が好きな武さんだったが、野球をしていると母に叱られるため、グローブを新聞紙で包んで、土の中に隠していた。ある日、土の中から包みを取り出してみるとその中に参考書が入っていたという。なんとかして興味を勉強の方に向かせたかったようだ。

なぜさきはこれほどまでに教育熱心だったのだろうか。長女の安子さん(80)が、母・さきの言葉を紹介している。

「貧乏だというのは教育がないから貧乏だってね。教育があればいろんないいところ勤められる。いいところに入ればお金ももらえる。お金がもらえればいい暮らしができる」

「給付型奨学金に反対する政治家にも聞かせてやりたい」

安子さんによると、さきは教育がないことによって貧困が連鎖し「悪循環」になると考えていたようだ。

「だからその子どもたちに教育は何しろつけなくちゃいけないって。お金は何かいくら持ってても人に取られればそれまでだけど、教育というのはどんなに人が取ろうと思っても取れるもんじゃないから」

こうした教育観を持っていたさきは、子供たちに一流の教育を受けさせることに成功。長男の北野重一さんは、東京工業専門学校を卒業してエンジニアとして活躍。北野大さん(74)は、大学教授として知られている。そして武さん自身も、みごと明治大学工学部に合格。結局、中退してしまったものの、いまではタレントや映画監督として世界的に活躍している。

さきの言葉に感銘を受けた人も多いようで、ツイッターでは

「北野武の母親自身は小学校卒で家族は早くに全員亡くした身だけど、子供にはとにかく勉強させて大学教授やらタレント出したんだから凄いよなあ」
「貧乏は輪廻する、だから自分は身を粉して子供達には上の学校に行かせた、大した母親です」

と称賛の声が寄せられた。

現代でも、学歴によって年収に差が出ることがわかっている。2015年度の厚生労働省の調査によると、男性の学歴別の平均月収は、高校卒が28万8200円、高専・短大卒が30万8800円、大学・大学院卒が40万2500円。そのためか、ツイッターでは

「どこかの給付型奨学金に反対する某国会議員に(さきの言葉を)聞かせてやりたいですね」

といった内容の声もあった。

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