フェラーリは、メルセデスF1チームのエグゼクティブディレクター(テクニカル)、パディ・ロウを起用するという案はあったものの、結局は獲得に動かなかったと、会長セルジオ・マルキオンネが明かした。
ロウは2016年末でメルセデスとの契約が切れ、ウイリアムズに復帰するものと推測されている。メルセデスはその後任として、フェラーリの元テクニカルディレクター、ジェームズ・アリソンを採用するのではないかといわれている。
アリソンは2016年シーズン途中で離脱、フェラーリはその後任としてエンジン部門のボス、マッティア・ビノットを昇格することを選んだ。フェラーリの毎年恒例のクリスマス・メディアイベントで、マルキオンネは、イタリアメディアに対し、チーム内部の体制変更でうまく対処できたため、ロウを獲得する必要はなくなったと語った。
ロウ獲得の可能性について聞かれたマルキオンネは、「(そういった)提案はあったが、そのポジションはカバーされた」と答えたとイタリアのLa Repubblica紙が伝えた。
「我々はロス・ブラウンのようなタイプの、すべての問題を解決するヒーローは必要としていない」
「一丸となって、正しい仕事をすれば、やり遂げることができるのだ」
「私は常にチームを変え続けるようなことはしたくない」
2016年にフェラーリは低迷し、コンストラクターズ選手権で3位にポジションを落とした。2015年シーズンは3度の優勝を果たしたのに対し、2016年シーズンは1度も優勝できなかった。
2016年型マシンは予測がつかない面があり、信頼性が低く、また効果的に開発するのが難しかった。そのためシーズンが進むにつれ、フェラーリはメルセデスから離され、レッドブルにも遅れを取ることになってしまった。
マルキオンネは夏に行ったチームの再編成によりフェラーリの主要な弱点に対処したと示唆した。
「我々のチームには世界チャンピオン経験者のドライバーがふたりおり、勝利への強い意志がある。チームを再編成し、開発に今までよりうまく対処できるようになった」と彼は付け加えた。
「我々はチームを作り直したかった。多くは情報交換により透明性を高めることに役立っている」
「今では部門や能力に関わらず、1台のマシンのような、ひとつのチームができあがった。過去にはありえなかったような状況だ」
「1年前、私は楽観的すぎたが、そういう間違いが起きたのはそのためだった。ひとりのスタッフから何かを聞いて、それを確認しないまま彼を信じた。そういう状況だった」
「そのまま(開幕戦の)オーストラリアに行き、強くなれると分かっていながらも、間違った戦略を取った」
「だがその後、我々は向上しなかった。一方でライバルたちはあっという間に改善していった」
「勝てなかったこと以外で最悪だったのは、マシンのパフォーマンスが改善することなく、1年を通して同じ状態だったことだ」
「そのため我々は、8月から仕事の方法論を変えることに決めた」
「F1活動のため、フェラーリは膨大な費用を負担している。なのに勝てないのは悩みの種だ」
マルキオンネはまた、フェラーリが2017年シーズンに成功できなかった場合、自分が最終的な責任を取るつもりであると認めた。
「もしこのまま勝てない状況が続くなら、それは私の責任だ」と彼は述べた。
「ファンが私のところに来て長いこと勝利のない状態を嘆いたら、いつも彼らにそう話している」
「約束は期待しないでくれ。前の時は私は無謀だった」
「今は2016年よりうまくやれとしか言わない。それで特に問題はない」