ノルマ達成のため、社員やアルバイトが不要な商品を買わされる「自爆営業」。ブラック企業やブラックバイトが問題となり、年々意識は改まりつつあるが、それでもなくならないのが実態らしい。クリスマスを今週末に控え、ネット上では今年も「自爆営業」にまつわる悲鳴が聞こえてきた。
「売れないんだったらおせちなんてやめればいいんだ」
この時期、毎年話題になるのがクリスマスケーキにまつわる自爆営業だ。ツイッター上では、12月中旬からコンビニやスーパーなどのバイト先でケーキを予約させられた、という声が続々と出ている。
「バイト先で強制的にクリスマスケーキ買わされた。彼女いないのに買う意味ないでしょww」 「コンビニでバイトしてる弟が強制的にイベント系の物(今だとクリスマスケーキとか)買わされるって言ってるんだけど、コンビニバイトってほんと経営者くそだな」
他にも、来年の正月用のおせちの予約を強制されたという人も。
「なんでおせちに2万3000円も払わないといけないのよ?社員は強制で買わせるとか意味わかんないし、売れないんだったらおせちなんて辞めればいいんだ」
厚生労働省が2015年に実施した調査では、コンビニでバイトする学生の11.6%が「商品やサービスの買い取りを強要された」と回答している。学生のアルバイトですら、10人に1人が「自爆営業」を経験しているという結果になった。社員や大学生以外のアルバイターも含めるとかなりの割合の人が「自爆営業」を強要されている可能性がある。
こうした「自爆営業」は、法律に違反する場合もある。「強要罪」として、3年以下の懲役に処される可能性もあるという。また、給料から商品代金を天引きすることも労働基準法24条に違反する可能性があり、働く人としては職場で自爆営業を要求されてもすぐに鵜呑みにしないことが肝要のようだ。
学生なら「親に相談します」と言うのも有効
首都圏青年ユニオンによると、「自爆営業」にまつわる相談は一年を通して寄せられるが、この時期にはクリスマスケーキやおせち、年賀状についての相談が増えるという。
「クリスマスケーキやおせちの場合が多いですが、他にも、郵便局員が、年賀状を買い取らされたという事例もあります。大量に買い取った年賀状を金券ショップやチケットショップに転売するため、こうしたショップにはたくさんの年賀状が並びます」
こうした「自爆営業」を強いられそうになったらどうすればいいのか。首都圏青年ユニオンの担当者は、「断ることができなければ、とりあえずその場では返事をしないように」と注意を促す。
「嫌と断れればそれが一番いいです。しかし難しい場合には、その場で返事をしないようにして下さい。『ちょっと考えさせてください』といって返事を先延ばしにしたり、学生であれば『親に相談します』と言ったりして曖昧にしておきましょう」
記録を残しておくことも大切だ。ICレコーダーで録音できればよいが、それができなかった場合もその日のうちにメモを取っておくと後で役立つという。
もはや風物詩となりつつある「自爆営業」が、なくなる日はくるのだろうか。