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『SMAP×SMAP』終了、関ジャニ∞の奮闘……2016年のジャニーズTV番組を振り返る

2016年12月21日 16:01  リアルサウンド

リアルサウンド

 今回は年末ということで、今年2016年のジャニーズとテレビを振り返って個人的に印象に残ったことをいくつか挙げてみたい。


 自分たちがメインのバラエティ番組を持つことが、テレビでのジャニーズグループの基本的活動スタイルになって久しい。そうしたなか、今年は昨年から始まった比較的新しい番組での頑張りが目立った年だった。リニューアルしたり、放送時間が移動したりしたケースも含めれば、NEWS、Hey! Say! JUMP、A.B.C-Z、ジャニーズWEST、ジャニーズJr.らの番組は、それぞれのグループの個性を生かしつつ、身体を張った企画で私たちを楽しませてくれた。


 そのなかでも特に、個人的には関ジャニ∞の番組の充実ぶりを取り上げたい。


 『関ジャニ∞クロニクル』(フジテレビ系)が多彩な企画で笑いを提供するバラエティ、また『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)が音楽の奥深さを楽しみながら学ぶ音楽バラエティと中身はまったく異なる。だがだからこそ、関西出身ならではの笑いのセンスと楽器演奏もこなす音楽性を兼ね備えた彼らの魅力の幅広さも自然に伝わってくる。


 しかも両番組とも、ファン以外の視聴者も惹きつけるだけのクオリティ十分だ。たとえば、『関ジャム 完全燃SHOW』のミュージシャンやプロデューサーなどによる音楽講座的な一連の企画はもっと評価されていい。


 もちろんV6、嵐、Sexy Zone、Kis-My-Ft2などは、今年も安定した活躍だった。グループとして出演する番組もそうだが、V6・三宅健のリオパラリンピック関連番組でのキャスター、嵐・相葉雅紀の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)での単独初司会、Sexy Zone・中島健人と菊池風磨のゴールデンタイムのドラマへの主演ならびに主演級での出演、Kis-My-Ft2各メンバーの『プレバト!!』(TBS系)での奮闘など、ソロ活動に新しい展開が見えた一年でもあった。


 TOKIOの『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)の存在感も特筆される。今年10月の改編期には、同じ放送時間帯に他局が強力なバラエティ番組をぶつけてきたが、目下のところそれらを寄せつけない高い視聴率を誇る。バラエティの土俵でジャニーズアイドルがお笑い芸人と競い合って互角以上の結果を残す状況は、1990年代以降始まったジャニーズのバラエティ進出の成果と言え、感慨深いものがある。


 その点では、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の終了についてもやはり触れなければならない。ジャニーズのバラエティ進出の道を切り開いたのがSMAPであったことは、いまや多くの人が知るところだろう。SMAPを道標に、後輩グループがその後に続いてきたと言っても過言ではない。その象徴的番組である『SMAP×SMAP』が今年いっぱいで終了することは、ひとつの長寿人気番組が終わる以上の意味合いがある。


 また以前このコラムでも触れたが、『SMAP×SMAP』は、歌、ダンス、コント、トークといったエンターテインメントのジャンルがすべて入った王道バラエティであり、現在のテレビにおいてその孤塁を守ってきた。それが終わってしまうことは、その重要な伝統が途切れてしまうことでもある。そうしたテレビ史的意味でも、番組の終了はきわめて大きな出来事と言えるだろう。


 『KAT-TUNの世界一タメになる旅!』(TBS系)も終わるのが惜しい番組のひとつだった。スタッフの「天の声」によるきつめのいじりが各メンバーの個性を際立たせ、それとともにメンバー同士の絡みもぐっと面白さを増していった。


 現在KAT-TUNはグループとしては充電期間ということでソロ活動が中心だが、そこにもこの番組での経験が生かされているように思える。亀梨和也や中丸雄一もそうだが、とりわけ上田竜也は、最もその部分が顕著かもしれない。『炎の体育会TV』(TBSテレビ系)の「ジャニーズ陸上部」は、クールな風貌からは意外な彼の熱さ、そして時おり見える純粋さゆえの可愛さを生かした好企画だ。部長として部員のジャニーズJr.たちに自ら率先して模範を示し、熱のこもった指導をする姿はかつての同局の人気番組『ガチンコ!』を思い起こさせなくもない。


 この「ジャニーズ陸上部」もそうだが、今年はグループの枠を超えたジャニーズ同士の関係性に多く光が当たった年でもあった。


 各局で定番化してきた夏や年末の大型音楽特番でのジャニーズメドレーにもそうした面があるだろう。普段はなかなかテレビで見ることのないグループの垣根を超えたコラボやシャッフルが毎回趣向を変えて企画され、ファンや視聴者にとって恒例の楽しみになった。


 コラボと言えば、12月16日放送の『堂本兄弟もうすぐクリスマスSP』(フジテレビ系)でKinKi KidsがHey! Say! JUMP・山田涼介と「愛のかたまり」を歌ったシーンも印象的だった。同曲は堂本剛が作詞、堂本光一が作曲した二人の合作による楽曲としても知られているが、山田涼介がソロデビューシングルのカップリング曲としてカバーしたという縁もあった。


 さらに同番組のトークパートでは、「事務所で一番面倒くさい先輩」などのお題で3人の口からエピソードが語られ、盛り上がった。こうした光景も、「ジャニーさん」話も含めていまやおなじみと言っていい。だが、そうした笑い話的エピソードに加え、過去の出来事や転機についてそのときのリアルな心境を本人が告白するようなものが増えてきたのが、今年目についた新たな傾向でもある。


 『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)で、櫻井翔が滝沢秀明や岡田准一と繰り広げた対話などはその好例だろう。たとえば櫻井翔と滝沢秀明は、ともにジャニーズJr.だった時代に抱いていた互いへの複雑な思いなどを率直に語り合っていた。バラエティの枠のなかでの企画だが、そこにはこれまでの“ジャニーズ話”にはあまりなかったようなドキュメンタリー性が感じ取れる。あるいはNEWSの小山慶一郎がMCを務める『チカラウタ』(日本テレビ系)に出演したジャニーズアイドルが話す過去の苦悩などにも似た面があるだろう。


 それはもしかすると、ジャニーズのバラエティ進出も年月を重ね、ジャニーズをめぐる新しい物語が世間から求められ始めているということなのかもしれない。ジャニーズについてのエピソードトークを耳にする機会も増え、ジャニーズについての知識もかなり世間に共有されるようになった。そうしたなかで、もう一段深くジャニーズのことを知りたいという欲求が視聴者のなかに芽生えつつあるのではなかろうか。


 こうして見てくると、今年は個々のグループや個々人の活躍もさることながら、「ジャニーズ」という存在がさまざまなかたちでクローズアップされた年だったことに気づかされる。言い方を換えれば、2016年は「ジャニーズとはなにか?」ということを改めて考えてみたくなる、そんな年であった。(太田省一)