2016年12月19日 11:22 弁護士ドットコム
2017年1月から、個人型確定拠出年金制度が大きく変わる。個人型確定拠出年金(DC)の英語表記を略した「iDeCo(イデコ)」という愛称で、ほぼ全ての現役世代が利用できるように改められる。公的年金の不足分を補うほか、節税効果もある。
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この制度の特徴を佐藤全弘税理士に聞いた。
個人型確定拠出年金は、公的年金に上乗せして給付を受ける「私的年金」のひとつで、自分で毎月決まった額を積み立て、その資金を自分で運用するのが特徴です。老齢年金や厚生年金と組み合わせることで、より豊かな老後生活を目指すことができます。
加入できるのは、これまでは自営業者等に限られていましたが、2017年1月からは、次の人たちも新たに加入できることになりました。
・企業年金を実施している企業の会社員
・公務員
・専業主婦
つまり、基本的にすべての人が加入できるようになります。
まず、運営管理機関である金融機関(銀行、証券会社)で、個人型確定拠出年金の口座を開設します。実際に店舗に行かず、ネットで資料の取り寄せから、申し込みまですることもできます。
どの金融機関を選ぶかは、大切なポイントです。主に、次の2点について、よく吟味してください。
・手数料(口座管理料)
・運用商品の種類
運営管理機関によって、様々な運用商品があります。自分にあった運用商品は何か、その商品の信託報酬(毎月かかる手数料)など、よく確認してから申し込みをしましょう。
掛金は、月額5,000円以上1,000円単位で任意に設定できます。ご本人の状況に応じて以下のように掛金の限度額があります。
・自営業者等:月額68,000円(年額81.6万円)※国民年金基金や付加保険料との合算
・企業年金等に加入していない人:月額23,000円(年額27.6万円)
また、2017年1月から新たに加入できるようになる方たちは、次のとおりです。
・専業主婦:月額23,000円(年額27.6万円)
・公務員 :月額12,000円(年額14.4万円)
・企業年金等に加入している人:月額12,000円又は月額20,000円(年額14.4万円又は24万円)※企業年金等の種類によって異なります。
個人型確定拠出年金は「節税効果がある」とされるのは、3つの税制優遇措置があるからです。
○掛金が全額所得控除
例えば、毎月2万円ずつ掛金を拠出した場合、税率20%とすると年間48,000円。これを20年続けると96万円の節税効果となります。
○運用益が非課税
金融商品の運用益に対しては約20%の税金が掛かりますが、非課税で再投資されるため複利効果があります。
○受け取り時にも、控除
将来、給付を受け取る際に、一時金の場合は退職所得控除があり、年金として受け取る場合は、公的年金等控除があります。
「iDeCo(イデコ)」に加入するにあたり以下の注意点があります。
・原則60歳まで掛金を引き出せない
これは、老後の資産形成を目的とした年金制度であるからこそ税制優遇措置があるからです。
・運用は加入者自身で行う
運用商品によっては、元本保証のない商品もあるため、運用がうまくいかないときは元本を下回ることがあります。
・口座管理手数料などがかかる
加入時の手数料や毎月の口座管理手数料などの各種手数料があります。
・選択した運用商品は、原則いつでも変更することができる
・掛金の変更は毎年4月~翌年3月までの間に1回だけ(被保険者種別変更時の金額変更は変更回数に含みません)
以上のように、加入する手間や運用商品の選択など、負担を感じるかもしれません。しかし、掛金全額が控除される上に、将来的に受け取る年金の額も多くなるなど、メリットは大きい制度だといえます。
【取材協力税理士】
佐藤 全弘(さとう・まさひろ)税理士
お客様の立場にたって、わかりやすい税金を目指すとともに付加価値の高いサービスを提供することをモットーとしてお客様のニーズに応えられるパートナーを目指します!
事務所名 : 佐藤全弘税理士事務所
事務所URL:http://satouzeirishi.com/
(弁護士ドットコムニュース)