大激戦が繰り広げられた2016年のスーパーフォーミュラ。シーズンが終わり、先月末には来シーズンに向けたテストも行われ、2017年に向けてのストーブリーグが始まっているが聞こえてきたウワサをまとめると、来季はどうやら例年を遥かに上回る大シャッフルが行われることになりそうだ。
まず大きな動きが見られそうなのがトヨタエンジン勢。トヨタ勢チームは例年になく動きが激しそうで、今年と同じラインアップで来季の変更がなさそうなのは、今季ダブルタイトルを獲得したセルモ・インギングのみと言っても良い状況だ。
トヨタ陣営の中でも特に去就の注目を集めているのが小林可夢偉。11月24日に行われたメーカーテストではKCMGから参加し、周囲を驚かせた。同チームでテストを行なった経緯としては「今まで(チームルマンの)8号車とトヨタの開発車両しか乗ったことがなかったため、単純に別のマシンに乗っていろいろ比較をしてみたかった」とコメントしており、KCMGでのテストドライブと来季体制との関係については、「まだ何も決まっていない」とテストの段階では明言はしていなかった。
しかし、周囲のウワサを聞くと、可夢偉が過去2シーズンを過ごしたチームルマンを離れ、別チームへ行く方向で話が進んでいるようで、来年の移籍先はやはりKCMGになる可能性が高いらしい。
また、トヨタ陣営で注目されるもうひとりがアンドレ・ロッテラー。先日、アウディのWEC参戦撤退にともない、ポルシェへの移籍が発表されたばかりだが、その直前のスーパーフォーミュラのテストにはトムスから参加していた。だが、これはあくまで2016年度の契約のひとつとしてあらかじめ決まっていたものだという。テストの時には来季については「いろいろなウワサはあるけど、まだ何も言えない」とコメントしていた。
そのテスト後、ロッテラーがポルシェに移籍することが明らかになり、やはり、スーパーフォーミュラの参戦は今季限りとの見方が強まっている。これに伴ってか、彼の離脱で空いたトムスのシートに今年、ルーキーながらチャンピオンを争い、一躍評価を上げた関口雄飛が入るのではないかというウワサが流れている。
また、スーパーGTでは同チームから参戦しているジェームス・ロシターもトムスのシートの候補として可能性がありそうだ。彼らの動きも目が離せない。
同じく動きがあるのはチームインパル。こちらは様々なウワサが交っており、先述の関口に加えて、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラの去就がわからず、憶測を含めてさまざまなウワサが流れている。ニッサン陣営としては星野一義監督好みのイキのいい若手ドライバーが多く、今季全日本F3で活躍したヤン・マーデンボローや佐々木大樹、さらには千代勝正の名前も聞こえてきており、現時点では詳細がなかなか見えてこないチームだ。
チームルマンはナレイン・カーティケヤンの残留が濃厚のようで、チームメイトには先日のテストにも参加していた大嶋和也が2013年以来となるシーズンを通しての復帰になりそう。KONDO RACINGは全日本F3王者に輝いた山下健太のステップアップは確実だとか。残る1台にはニック・キャシディかウィリアム・ブラーと言われている。
いずれにしても、トヨタ陣営内だけでもさまざまなウワサと憶測が飛び交っており、ひとつのシートの動きによって、ドミノ式にラインアップが変わりそうな気配のようだ。トヨタ陣営の最終的な答えは来年のトヨタ・モータースポーツ体制発表で明らかになるだろう。
一方のホンダ勢も気になる情報が盛りだくさん。その中でも、今シーズン同様の体制で参戦する可能性が高いのはTEAM無限。こちらは山本尚貴の継続は間違いなさそう。リアル・レーシングも塚越広大の続投は高いと見られているが、塚越のチームメイトが明確ではなく、1台での参戦の可能性もあると聞こえてきている。
ダンディライアンは野尻智紀の残留が確実で、気になるのはそのチームメイト。先月のテストでは伊沢拓也が41号車をドライブしていたが、ストフェル・バンドーンに代わる新たな外国人ドライバーのウワサもあり、どうやら伊沢とシートを争う形となりそうだ。
また、来季ホンダエンジンで新規参戦を果たすB-MAX。メーカーテストでは小暮卓史と佐々木大樹がドライブしており、もちろん来季のレギュラー起用の選択肢としても組み込まれているはず。ただ、先述でも紹介した通り佐々木はインパル入りの可能性もウワサされており、全日本F3で今季ともに戦ったマーデンボローがB-MAXに加入する可能性もあるという状況だ。テストの時もB-MAXの組田龍司代表は「ドライバー体制は現時点でまったく未定」と話しており、インパル同様に、なかなか詳細は見えてきていない。
そして、大物外国人ドライバーがホンダに入るとのウワサがこの12月半ばに飛び込んできた。かねてより、スーパーフォーミュラへの参戦希望を明言していた今季GPチャンピオンのピエール・ガスリー。スーパーフォーミュラに来る可能性はかなり高いようで、一時はトヨタ陣営に入るとのウワサが流れていたが、最新の情報では加入先はホンダ陣営になりそうで、チームとしてはNAKAJMA RACINGの可能性が高いという。
ガスリーは先日の24日のテストも参加する方向で調整していたようだが、GP2最終戦の直前ということもあり、来日は叶わなかった。だが、水面下では来季の起用に向けて話が進んでいる様子。ガスリーがNAKAJMA RACINGのシートの可能性が高いとなれば、NAKAJMA RACINGは今季のドライバーの中嶋大祐、ベルトラン・バケットと合わせて、3名がふたつのシートを争う形となる。
毎年、年末の段階ではウワサ話ばかりで、なかなか詳細が見えてこないのだが、確実に言えることは例年になく各メーカー、各チームと大シャッフルとなるのは確実だということ。来年の2月にはトヨタ、ホンダともに各陣営の体制が明らかになるはずだが、実際には今回紹介した予想とはまったく異なるラインアップになっている可能性もある。それほど、このオフのスーパーフォーミュラのストーブリーグは目が離せないものになっている。