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BRADIOの快進撃が止まらない 極上のエンターテインメント追求したツアー最終公演レポ

2016年12月16日 16:11  リアルサウンド

リアルサウンド

BRADIO(撮影=木場ヨシヒト)

  BRADIOが、12月9日に東京・Zepp DiverCity TOKYOにてワンマンツアー『ファンカジスタツアー2016~PUMP UP FUNK編~』の最終公演を行った。


写真はこちら。


 BRADIO史上、最も大きな会場でのワンマンとなった今回のライブ。これまでも、真行寺貴秋(Vo)の歌と、大山聡一(G)、酒井亮輔(B)、田邊有希(Dr)の3人の楽器隊の見せ場をしっかりと作り、また照明や映像を効果的に使ったりダンサーを招いたりすることで、ショーとしての完成度を磨いてきた。この日のライブは、BRADIOのこれまでの集大成とも言えるステージで、堂々とした貫禄を感じさせるものだった。


 ステージを覆う紗幕にメンバー4人のシルエットが順々に現れ、その紗幕が落ちると同時にライブは「オトナHIT PARADE」からスタート。この日のライブは、メンバー4人に加え、ルルルルズの奥野大樹(Key)と、ふたりの外国人女性コーラス隊も加わった7人編成。続く「ハートビートを打ち鳴らせ」では、早速各メンバーの見せ場を作る。田邊→酒井→大山の順でソロを回したあと、楽器を持たない真行寺は自らもキレッキレのダンスを披露し、オーディエンスからは歓声と笑い声が起こった。


 「Flyers」後の鳴り止まない歓声を受け、サングラスを外し満面の笑みを見せながら真行寺は「ツアーの最終地点Zepp DiverCity、俺はずっとライブを見にくる場所だと思ってました。こんなにたくさんのビッグスマイルが集まってくれて、最高に嬉しいです。どうもありがとう」「サンキュー、ソールドアウトだぜー!」と喜びを露わにした。BRADIOはファンを親しみを込めて“Funky Party People”という愛称で呼んでいるが、BRADIOのライブには、オーディエンスの存在はとても重要だ。ステージの上の音楽と、フロアのダンスと歓声が混ざりあって渾然一体となった熱狂が、BRADIOのライブの大事なエンジンなのだ。


 フロアの温度を高めた立ち上がりから、中盤はしっかりと真行寺の歌を聴かせる展開に。コブシを効かせた歌い方からウィスパーボイス、ファルセット、スキャット、情熱的なシャウトまで様々な技を繰り出しながら、ライブをムーディーに盛り立てていく。


 真行寺&コーラス隊のアカペラから始まった「Playback」、スローバラード「ギフト」をしっとりと歌い上げ、久しぶりのアコースティック編成で「Jasmine」を披露。間奏では山崎まさよしのシングル曲であり、SMAPもカバーした「セロリ」をワンコーラス歌い、オーディエンスを沸かせた。その後は、楽器隊がステージから去り、真行寺&コーラス隊&奥野による「Chocolate Flavor」では、控えめな鍵盤にあわせ、3人の歌が重層的で美しいハーモニーを生み出した。さらに曲のラストには真行寺もステージを去り、コーラス隊が低音から高音まで滑らかに行き交う歌声を響かせる。彼女たちの抜群の歌唱力には、フロアからも自然と歓声と拍手が沸いた。


 後半にかけては、クライマックスがずっと続いていくような圧巻のパフォーマンスだった。スパンコールのついた衣装に着替え、再びステージに戻ってきたメンバーが始めたのは、王道ファンクチューン「Back To The Funk」。続く「Golden Liar」では、フロントに立つ3人が同じステップを踏み、メロディアスなベースラインがうねるようなグルーブを作っていく。さらに、間奏でステージ中央で向き合った大山・酒井は、互いに挑発するような激しいソロの弾き合いを見せた。そしてそのまま田邊のドラムソロに流れ、軽快なドラミングとスネアのシャープな音が、場を支配する。


 この時点でオーディエンスの盛り上がりは最高潮であったが、BRADIOのパフォーマンスはまだ止まらない。次は真行寺がステージを降り、オーディエンスの間を通ってフロアの中央に移動。もみくちゃになりながらも、さらに大山と酒井を呼び込み、360度オーディエンスに囲まれた状態で3人がそれぞれコール&レスポンスを繰り出した。その後大山と酒井はステージに戻ると、二人は楽器を交代し、大山がベース、酒井がギターを持ち、互いに遜色ないテクニカルなプレイを見せる。ノンストップで様々な演出を畳み掛け、一瞬たりともオーディエンスを飽きさせないBRADIOのエンターテイナーぶりが発揮された一幕だった。


 真行寺がステージに戻り、「すごいぜ、Zepp DiverCity!」と改めて観客を褒め称えると、再び7人が揃って「Take Me Higher」「スパイシーマドンナ」を演奏。本編最後はカッティングギターが小気味よく響く「FUNKASISTA」だ。4人の全身全霊のパフォーマンスに応えるようオーディエンスもますますヒートアップし、本編は幕を下ろした。


 アンコールに突入すると、スクリーンを使って、ニューアルバム『FREEDOM』の発売とその後のツアーの開催を発表。アンコールの1曲目は、そのニューアルバム収録曲「-Freedom-」。ライブ初披露にもかかわらず、早速サビではコーラスが巻き起こっていた。そして「みんなと一緒に歌いたい」と紹介して始まったラストナンバーは「Tonight! Tonight! Tonight! -決戦は今夜-」。真行寺は片手に録画用のビデオカメラを持ってステージを歩き回り、シンガロングするオーディエンスの様子を収めた。


 笑いあり。涙あり。切なさあり。おふざけあり。感動あり。つまりポップミュージックのすべてがあるBRADIO流のエンターテインメント。その最新形を存分に味わうことのできたステージだった。本編最後に、真行寺は「最高のセッションだったぜ、ありがとう!」と叫んでからステージを去ったが、まさにBRADIOのライブは、ステージで演奏してる4人の楽しさや興奮、パワフルなエネルギーがオーディエンスにも伝播し、共にひとつのライブを作り上げていくような一体感がある。今回発表されたツアーのファイナルは東京・中野サンプラザ公演だ。初のホールワンマンではあるが、またホールならではの様々なアイデアを取り込んで、今回のライブをさらに上回るショーを見せてくれるに違いない。いよいよ他の何にも似ないオリジナルな立ち位置を築いたBRADIO。彼らの快進撃は、まだ始まったばかりだ。(取材・文=若田悠希)


■セットリスト
BRADIO『ファンカジスタツアー2016~PUMP UP FUNK編~』
2016年12月9日(金)Zepp DiverCity TOKYO


1. オトナHIT PARADE
2. ハートビートを打ち鳴らせ
3. Flyers
4. Step In Time
5. 夢見るEnergy
6. Playback
7. ギフト
8. Jasmine
9. Chocolate Flavor
10. Back To The Funk
11. Golden Liar
12. Take Me Higher
13. スパイシーマドンナ
14. FUNKASISTA


EN1. -Freedom-
EN2. Overnight Superstar
EN3. Tonight! Tonight! Tonight! -決戦は今夜-