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カノエラナ、多彩な歌で表した“みんなの心の中” 初ワンマンツアー東京公演をレポート

2016年12月16日 14:11  リアルサウンド

リアルサウンド

カノエラナ(撮影=後藤壮太郎)

 カノエラナが、初ワンマンツアー『とうめいはーん!!! さがすぜ勇者たち。』を東名阪と地元・佐賀で開催。本稿では、12月2日の渋谷CLUB QUATTORO公演をレポートする。


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 今回のツアーはメジャー1stミニアルバム『「カノエ参上。」』を携えて行われたもの。カノエラナは、Twitterで定期的に公開していた30秒弾き語り動画をきっかけに話題になり、今年8月にメジャーデビューしたばかりのシンガーソングライターだ。この日のライブでは、曲ごとに歌声を自在に使いわけ、様々な表情を見せるボーカリストとしての豊かな表現力を味わうことができた。


 バンドメンバーに次いでステージに現れたカノエラナ。ライブは、自己紹介ソング「カノエラナです。」からスタートした。地元・佐賀県の方言も交えながら、自分のプロフィールを紹介していくこの曲にあわせ、オーディエンスの振り付けもオープニングからバッチリ決まる。続く「恋する地縛霊」でも、裏打ちのビートと軽やかに跳ねるメロディがスピーディに展開され、会場のボルテージも一気に上がっていった。


 MCを挟み、次は「シャトルラン」「あたしの彼氏は二次元の人」へ。夏を意識した爽やかな曲もあれば、アニメや漫画の登場人物にときめく自分を歌った曲もある。自分の中にある等身大の感情を、ありのまま曲にしていくソングライティングは、カノエラナの特徴のひとつ。牧歌的なアレンジの「大事にしてもらえよ」でも、彼氏のできた女友達に向けた素直な思いを、声色まで変化させながらユーモアたっぷりに歌い上げる。5カ月連続の月1ワンマンや本ツアーでともにステージに立ってきたバンドメンバーとの掛け合いも抜群で、「真夏に片想い?」では、曲中でメンバー紹介とソロ回しも披露した。


 MCでは、今回のツアータイトルとグッズにちなんだゲームの話でオーディエンスも巻き込みながら、一人一人を徹底的に楽しませていく。11月25日に配信リリースがスタートした新曲「おーい兄ちゃん」の、居酒屋で後輩に人生を説く“兄ちゃん”に物申すというユニークな歌詞と、ボトムの効いたバンドアンサンブルのスリリングさとのギャップには、新鮮な驚きがあった。そのフレンドリーなムードから一転、ロックバラード「星と太陽」では、色気を感じさせるしっとりとした声を響かせる。
 
 終盤からフィナーレにかけては、ぐっとテンションを高めていく展開へ。MCで振り付けを伝授してからはじまった「ヒトミシリ」は、ライブでは鉄板の盛り上がりを見せる曲。サビの<そんなにあたしが知りたいならば3回まわってワン!と鳴け>というインパクト抜群のフレーズにあわせ、オーディエンスも踊りながら声を出して応える。さらに、ダンサブルな「モットアタシヲ」では、カノエラナ自身もステージの上を大きく使ってハンドクラップやジャンプを披露。そして、「みんなと一緒に歌いたい」と紹介してから始まったラストナンバーは、「START」だ。この曲中には、ファンからのサイリウムのサプライズ演出があり、カノエラナも驚いたような表情を見せながら喜んでいた。その演出と相まって、<I know 歩き出した/進んだ一歩を噛み締めながら強く>の大合唱では会場に温かな一体感が生まれ、本編は幕を閉じた。


 アンコール前、お決まりの「カノエ!」「ラーナ!」というコールが響く中、ステージ横のスクリーンでは、新たな告知が。それは2月15日に2ndミニアルバム『「カノエ上等。」』をリリースし、その後弾き語りツアーを開催するというもの。オーディエンスからは、ひときわ大きな歓声が上がった。


 アンコールではそのミニアルバムに収録される新曲「トーキョー」を披露。「これから先、いろんなことが始まる人に聴いてほしい」と曲に込めた思いを話す。あくまでも彼女自身の目線でありながらも、新しい環境に飛び込む時の心細さや切ない気持ちを励ましてくれるような、明るく優しい曲だ。そして最後は、「お持ちのタオルを回してください!」と言って「夏の祭りのわっしょい歌(か)」へ。祭囃子を思わせるリズムと和テイストのメロディ、そして「祭りだ」「ワッショイ!」の掛け合いで、この日一番の高揚感を生み出した。


 来年2月には早くもメジャー2作目『「カノエ上等。」』のリリースが控えている。カノエラナは同作について「このアルバムは1作目よりもロックで全体的にバキバキなサウンドが多く詰め込まれています」とコメントしている。


 カノエラナの中には、いろんな顔をした女の子が生きている。恋するときめきや喜びもあれば、時に自虐的だったり、怒っていたりもする。そして、彼女の作る曲は、その時々の感情を抱いたキャラクターが登場してくるような、バラエティ豊かな表情を持っている。そんなカノエラナのオリジナリティを、あらためて確信したライブだった。(取材・文=若田悠希)


■セットリスト
カノエラナ 初ワンマンツアー
『とうめいはーん!!! さがすぜ勇者たち。』
2016年12月2日(金)渋谷CLUB QUATTRO


1.カノエラナです。
2.恋する地縛霊
3.シャトルラン
4.あたしの彼氏は二次元の人
5.こまか
6.大事にしてもらえよ
7.YES WOMAN
8.真夏に片想い?
9.My World
10.おーい兄ちゃん
11.星と太陽
12.I
13.ヒトミシリ
14.モットアタシヲ
15.START


EN1.トーキョー(新曲)
EN2.夏の祭りのわっしょい歌(か)