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MotoGP:F1と同様のリザーブ契約は困難。「速いライダーに待機をさせることは難しい」

2016年12月16日 12:21  AUTOSPORT web

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ダニ・ペドロサの代役としてGPに出場した青山博一
MotoGPでは、負傷し欠場を余儀なくされたライダーの代役を確保するため、F1のようなリザーブドライバー制度を導入するのは簡単ではないと各チームの代表は考えている。

 大半のF1チームには、レギュラードライバーの代役を務めることが可能なリザーブドライバーが控えているが、MotoGPではライダーが怪我で欠場する確率がF1と比べ高いにも関わらず、そのような制度が存在しない。

 2016年シーズンのF1で欠場したのは開幕戦で大クラッシュを喫したマクラーレンのフェルナンド・アロンソひとりで、リザーブドライバーのストフェル・バンドーンが第2戦のバーレーンGPで代役を務めた。一方MotoGPクラスでは、ダニ・ペドロサ、アンドレア・イアンノーネ、ジャック・ミラー、ブラッドリー・スミス、ダニロ・ペトルッチ、ロリス・バズらが欠場の憂き目にあっている。

 ステファン・ブラドルとジャック・ミラーがそれぞれドイツGPとオーストリアGPの日曜午前のウォームアップ走行で転倒し、代役ライダーの召集が間に合わなかった件を除いて、上記のグループのなかで、のべ21回のレース欠場があったことになる。

 ドゥカティのテストライダーであるミケーレ・ピロは、2016年シーズンにペトルッチ、バズ、イアンノーネの代役を務めた。しかし、他のマニュファクチャラーには代役を立てる既存の解決策がない。

 ホンダはテストライダーの青山博一と、2006年のMotoGP世界チャンピオンのニッキー・ヘイデンをペドロサの代役に起用。また、ヘイデンはマークVDSでミラーの代役も務めた。

 HRC代表のリビオ・スッポは、MotoGP参戦にふさわしい実力があり、リザーブという立場を受け入れてくれるライダーと契約するのは「非常に困難」だと述べた。

「ドゥカティには非常に良いチャンスがあったが、我々にとっては大変難しいことだ」とスッポ。

「過去に我々はF1のように、若いライダーたちにテストライダーになるようオファーを試みたが、若いライダーたちは、自分がレースに参加したいと考えるものだ」

「テストライダーのプロジェクトを作り上げようとしても、Moto2クラスでレース参戦できるチャンスがあれば、リザーブライダーになるのはほぼ不可能だ。なぜなら速いライダーは自分でチャンピオンシップをフルシーズン戦うからだ」

「とても難しい問題だ。たとえばオーストラリアGPでのニッキー(・ヘイデン)は完璧だった。彼はとても良い仕事をしてくれたが、その1週間後は(ヘイデンが通常参戦している)スーパーバイク世界選手権と日程が重なってしまった。リザーブライダーのシステムを作り上げるのは本当に難しいんだ」

 ホンダのように、スズキにはチームのテストライダー、津田拓也がいるが、GPに帯同し待機できるライダーとの契約はない。

スズキの代表ダビデ・ブリビオは「我々は必要な時に代役になれるライダーを確保することについては、あまり考えていない」と次のように述べた。

「このスポーツでは、優秀なライダーはレースをしたいんだ。だから優秀なライダーに万が一の時のために待機していてくれと頼むのは難しい。優秀で速く、レースに出たいライダーにそのようなことを頼むのは、このスポーツの精神に反することだ」

「日本のマニュファクチャラーには、テストライダーがいる。たいていは日本人だが、我々のエンジニアたちと情報交換をする。もてぎでテストをする時、彼らを呼ぶことは簡単だ」

「スズキの場合、2人のテストライダーがいて、彼らは日本の国内選手権に参戦し、MotoGPクラスのためにテストを行う。ヤマハも同様だろう」

「目的は良いテストライダーを確保することであって、代役ライダーを検討することではない。F1とは違う」

2016年MotoGPクラスの主要代役参戦ライダー
■ミケーレ・ピロ
 今季は9戦に参戦し、そのうち3戦は予定されていたドゥカティのファクトリーバイクによるワイルドカード、プラマック(ペトルッチの代役)そしてアビンティアレーシング(バズの代役)からの参戦だった。その後は、フライアウェイ・レースでのイアンノーネの代役よりも、2017年テストプロブラムに集中することになった。

■エクトル・バルベラ
 アビンティアレーシング所属だが、もてぎとフィリップ・アイランドでイアンノーネの代役を務めるため、ファクトリーチームのドゥカティに昇格した。

■マイク・ジョーンズ
 バルベラの代役としてアビンティアレーシングからMotoGPに初参戦。もてぎとフィリップ・アイランドの2戦で走行した。

■シャビ・フォレス
 バズがシルバーストンで負傷したため、その代役でアビンティアレーシングよりミサノで参戦。ミサノではピロもドゥカティのワイルドカードで参戦していた。

■ニッキー・ヘイデン
 2006年のMotoGP世界チャンピオン。アラゴンでミラーの代役に、その後フィリップ・アイランドにペドロサの代役として召集された。

■青山博一
 ペドロサの転倒により、ファクトリーチームのホンダから代役参戦。その後、ヘイデンが参加できなかったセパンで、ふたたびペドロサの代役を務めた。

■アレックス・ロウズ
 スーパーバイク世界選手権(SBK)に参戦しており、ヤマハから参戦した鈴鹿8時間耐久ロードレースで優勝を飾った。その報償として行われたテック3でのテストにおいて、膝の怪我で3レースを欠場していたスミスの代役となれる実力を証明した。