厚生労働省の調べでは、2015年の日本人の年次有給休暇取得率は47.6%。ワークライフバランスを推進するために、有休取得の義務化など法改正の動きがもあるが、こうした取り組みに水を差すデータが発表された。
エクスペディア・ジャパンが12月15日に発表した調査結果によると、2016年の日本人の有給取得率は50%で、調査対象の世界28か国中最下位だった。
日本が最下位になるのは2013年調査時以来で3年ぶり。昨年最下位の韓国は一つ上の27位で53%だった。
休んでないのに3人に2人は「休み不足を感じていない」
調査は、日本や韓国、香港といったアジア圏をはじめ、米国やフランスなどを含む計28か国を対象に実施。対象国に住む18歳以上の有職者男女9424人から回答を得た。
日本の有給取得率は50%と、2015年調査時から10ポイント低下。調査国中で最下位となった。対してブラジル、フランス、スペイン、オーストリア、香港では有給取得率は100%。同じアジア圏のシンガポールの78%と比べても、際立って低い。
しかし、「休み不足を感じている人の割合」では日本は34%。およそ3人に2人は休みが足りていると思っている。一方で有休取得率100%のスペインでは68%の人が休み不足を感じており、休みに対する貪欲さが日本とはケタ違いだ。
同じく有休取得率が低い韓国では、65%の人が休み不足を感じているところを見ると、日本人はもはや、自分が休んでいない事実すら自覚できないほど疲れ切っている状態、ということなのだろうか。
「自分の有休支給日数を知らない」日本人の回答はダントツ1位
日本人が休みを取らない背景には、周りに気を使う精神がありそうだ。「有休取得に罪悪感を感じる人」の割合を見ると、日本は59%と、韓国の69%に次いで2位だった。
その理由としては、「人手不足」を挙げる人が最も多く、次いで「職場の同僚が休んでいない」が続く。自分が休めるかどうかの判断を周囲の行動に委ねてしまう姿勢が見て取れる。また「お金がない」も挙がっている。休めたとしても、余暇に使える金銭的なゆとりがないということだろうか。
また、休みに対する意識の低さも問題だ。「自分の有休支給日数を知らない」人の割合を見ると、日本が47%でトップ。2位にランクインした韓国の21%とは26ポイントも差が見られる。
「上司が有休を取ることに協力的か分からない」人の割合を見ても、日本は32%とトップだ。自分の支給日数は知らない、上司が有休に協力的かもわからないでは、せっかくの有休制度を自ら放棄しているようなものだ。
よしんば休んだとしても、休みきれていない実態も浮かび上がる。「休暇中でも一日中仕事のメールを見てしまう人の割合」では、日本は22%で、韓国の23%に次いで2位。たまにメールを確認するのは仕方ないかもしれないが、一日中見てしまうというのは、もはや仕事のことが常に頭にある状態だ。
休みを取った際には、「今日は仕事をしない!」と決める勇気も必要だろう。