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堂島孝平がシンプルに届けた音楽の楽しさ エンターテインメントに振り切ったソロツアー最終公演

2016年12月15日 13:01  リアルサウンド

リアルサウンド

堂島孝平(写真=稲葉優介)

 「音楽が楽しいです!」と、笑顔で言う姿が目に焼き付いて離れない。


 堂島孝平が、ツアー『堂島孝平 × SOLO TOUR 2016『俺が、ゆく - neo - 』』ファイナル公演を12月7日、Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて開催した。今回のツアーはバンド編成ではなく、堂島のソロで全国13カ所を回るものとなった。


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 観客の大きな拍手に迎えられ堂島がステージに登場すると、ギターとピアニカによる「それは一瞬の出来事だった」からライブはスタート。MCでは「ひとりだけどひとりに見えなかったみたいな、熱気のこもったライブをやりたい」と意気込んだ。手拍子とコールアンドレスポンスとともに爽やかな「シンクロナイズド・モーニング」、続いて口笛から始まる「6AM」を歌唱。軽やかに跳ねるようなギターでステージ上から観客を盛り上げる姿は、まさしくエンターテイナーだ。


 堂島は「各地をひとりで回るようになったのはここ2、3年のことで、基本バンドで回っていた。最近、ソロでもバンドでも自分の“興奮”が変わらなくなった。音楽が楽しいです!」と話していた通り、ギター1本で表現力豊かなパフォーマンスを見せていく。


 冬にぴったりの「暖炉」、続いて「俺は、ゆく」をしっとりと歌い上げると、「バンドでやるより歌詞がよく聴こえて、歌詞に気づきがある」とソロライブならではの面白さを語った。


 そして、堂島にとって大きな転機となった「葛飾ラプソディー」を歌唱。近頃は若いアーティストから、「子供の時に聴いていた」と言われる機会が増えたという。2000年からはKinKi Kidsに楽曲提供を開始。MCでは「最初は、オレが歌ってもダメなのにKinKiが歌うとヒットするんだ……と思った(笑)」と正直な心境を吐露しながらも、今年2016年に発売された『N album』で共同プロデュースを手掛け、ツアーにも参加した喜びを語った。堂島は『N album』を機に確実に新たなリスナーを増やしており、本公演もデビュー時から追っているようなファンだけではなく、リアルタイムでは彼の楽曲に触れていない10代や20代の若い女性まで幅広い客層を集めていた。


 その流れで堂島は提供用に書いた曲の中から、「キラキラした10代の子に歌ってほしい」という「NO MORE NAMIDA」をハンドマイクで歌唱。ステージを所狭しと踊る堂島の姿に釘付けになってしまう。そして観客とのコールアンドレスポンスを楽しみながら「PERFECT LOVE」を歌うと、「MR.RAINY MAN」「夜間飛行」さらにKinKi Kidsへの提供曲「Misty」をメドレー形式で披露し、セクシーな一面を見せた。


 アンコールではこの日に訃報が届いた黒沢健一(L⇔R)とのこの会場で共演した思い出と感謝を語ると、「White Christmas」を歌唱し、ピアニカやハーモニカを駆使しながら会場を温かい雰囲気に変えていく。そして「ベンジャミン、空を睨む」「き、ぜ、つ、し、ちゃ、う」と堂島らしいポップな楽曲で会場を盛り上げてライブを締めくくった。


 ステージに立っていたのは堂島ひとりだったはずなのに、その内容の濃さに驚かされた。弾き語りライブというとしっとりと歌うイメージが強いが、堂島のライブはそれだけではなかった。ステージ上で飛び跳ねたり、踊ったり、客席に降り立ったり、時にはコールアンドレスポンスもあり、度々MCに出てきた「楽しい」という言葉の通り、エンターテインメントに振り切ったステージだった。豪華なバンドセットや演出ではなく、たった一人のシンプルな音が伝えてくれた音楽の楽しさ。ライブを通じ、堂島の中には観客が自然と笑顔になり、身体を揺らしたくなるようなメロディが溢れていることを確信した。ソロ活動でも楽曲提供という場でも、そのサウンドでリスナーを魅せていくことだろう。(村上夏菜)