ウイリアムズF1チームのチーフテクニカルオフィサー、パット・シモンズは、バルテリ・ボッタスをメルセデスに引き抜かれた場合、ウイリアムズにとって「深刻な結果」を招くことになるだろうと語った。
メルセデスはボッタスを引退したF1世界チャンピオン、ニコ・ロズベルグの後任にするため、ウイリアムズと交渉していると伝えられている。
ウイリアムズはこの件に関して公式には「ノーコメント」と述べるにとどまっているが、ボッタス引き抜きに関して最初に提示された条件については拒否したとみられている。
提示された条件には、メルセデスが供給するパワーユニットのコストを1,000万ポンド(約14億5,500万円)値下げするほか、メルセデスのジュニアドライバーであるパスカル・ウェーレインを走らせることができる権利も含まれている。両者の交渉はその後も続けられているようだ。
ボッタスはウイリアムズのテストドライバーを経て、2014年に同チームからF1にデビュー、この3年のなかでチームを率いる存在に成長してきた。2017年にはF1テクニカルレギュレーションが大幅に変更され、さらにベテラン、フェリペ・マッサの代わりにルーキーのランス・ストロールの起用を決めているため、ウイリアムズは来年に向けて経験あるボッタスを手放したくはない。
シモンズはイタリアのGazzetta dello Sport紙のインタビューで、2017年型マシンを走らせる上で信頼できる基準を得るために、ウイリアムズにとってボッタスを引き止めることは不可欠であると語った。
「我々はランス・ストロールをデビューさせる。彼には当然、F1での経験はない。だからこそボッタスを残すことが成功を収めるうえで不可欠なのだ」とシモンズ。
「人は、チーム内の継続性というものの重要性を過小評価しがちだ」
「さまざまな機器を持ってはいるものの、エンジニアとデータ解釈の間を最後につなぐのはドライバーなのだ」
「どちらかひとりを交代させることはできるが、もうひとりは指標として残しておく必要がある。2017年のように規則変更が行われるシーズンにはなおさらだ」
「彼を失ったらチームにとって深刻な結果を招くことになるだろう」
■「2017年、レッドブルがメルセデスの脅威に」シモンズは予想
2017年には空力面を強化し、より幅広いタイヤを導入することでF1マシンの速さを大幅に向上させるためのテクニカルレギュレーションが導入され、F1各チームは新規則に沿って新車の開発に取り組んでいる。
ターボ・ハイブリッドエンジンが導入されてからの3年、メルセデスが他チームを圧倒してきた。しかしシモンズは、来年はルノーのパワーユニットがさらに向上することで、レッドブルがこの状況に終止符を打つかもしれないと考えている。
「新規則は、オーバーテイクや派手な見せ場(を増やすこと)を保証するものではない」とシモンズは語った。
「(バーニー・)エクレストンは1ラップあたり4秒速いマシンを作らせるよう推進しているが、本物のバトルを実現するためにはパフォーマンスのバランスをうまくとること、さらには規則の安定性が必要だ」
「そうはいっても、優位に立つチームは変わるかもしれない。レッドブルは2015年に振るわなかったが、(今年)また素晴らしいマシンを作ってきた」
「もしルノーエンジンがまた一歩改善を見せるなら、彼ら(レッドブル)はチャンピオン候補になると私は思う」