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苦手な回転域なし!? トヨタ”TNGA”を活用した革新的パワートレーン群を発表

2016年12月14日 17:21  AUTOSPORT web

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直列4気筒2.5L直噴ガソリンエンジン・トランスアクスル
クルマの基本性能である「走る」・「曲がる」・「止まる」をレベルアップさせるために、トヨタが標榜する「いいクルマづくり」の構造改革「Toyota New Global Architecture(TNGA)」。その第一弾として登場した4代目『プリウス』や、間もなくのデビューが予定されるコンパクト・クロスオーバーの『C-HR』に続いて、今度はエンジン・トランスミッション・ハイブリッドシステムを一新し、優れた走行性能と高い環境性能の両立を追求し、大幅に進化させるパワートレーン群を発表した。

 トヨタはTNGAによりクルマを骨格から変え、低フード化・低重心化・運動性能の向上を図り、2015年発売の4代目『プリウス』以降、新プラットフォームの採用拡大に取り組んでいる。同時に、クルマの中核となるパワートレーンについても、低重心化とともに優れた走行性能と高い環境性能を両立させた新型の開発に着手。

 この新型パワートレーンは高い環境性能はもちろんのこと、走行性能においては“トヨタの走りを変える”ために「ダイレクト&スムース」をテーマに重点的に開発に取り組んだという。

 今回の発表で核となったのは「直列4気筒2.5リッター直噴エンジン」「新型8速&10速オートマチック」「2.5リッター用ハイブリッド・マルチステージTHSⅡ」の3点。

 このうち、新型エンジンは高速燃焼技術、可変制御システムの採用のほか、排気・冷却・機械作動時などの様々なエネルギーロスを少なくして熱効率を向上。ロングストローク化した上で、バルブ挟角拡大、レーザクラッドバルブシートの採用、吸気ポートの形状をストレート化し、吸気効率を改善した。

 また、マルチホールインジェクターや連続可変容量オイルポンプなど、現在のモータースポーツ直噴にもつながる技術を大幅に採り入れることで、最大熱効率40%という内燃機関最高水準の性能を達成。端的に言えば、"低速でもトルクがあり、高回転でパワーを発揮し、省燃費性能にも優れる"理想のエンジンに仕上がったという。




 また8速ATは、ギヤ歯面の摩擦係数を低くする新たな加工を施し、クラッチでは機構内の摩擦材形状を最適化し、回転時のクラッチの損失トルクを約50%低減(従来型6速AT比)するなど世界トップレベルの伝達効率を達成。さらにギヤをワイド化し、新開発の高性能・小型トルクコンバーターを組み合わせることでロックアップ領域を拡大。10速ATではさらに低速側をクロスギヤ化し、両者ともにアクセル操作に素早く滑らかに反応することで、ドライバーの思いどおりに反応するダイレクト感あふれる走りを追求した。

 そして、これまではFRなどの中型・大型モデルへの採用がメインとなっている2.5リッタークラスのハイブリッドシステムは、"マルチステージTHSⅡ"へと進化。従来のリダクションギアからマルチステージシフトデバイスを採用することにより、エンジンとモーターの出力の大幅増服を実現。また、高速走行時のシステム効率の向上に加え、高車速域でもエンジン間欠運転を可能にすることで高速燃費を向上させている。

 同時にプラグイン機構も見直され、従来のモーター走行に加え、これまで発電機として使用していたモーターを走行用としても使用するデュアルモータードライブシステムを採用。間もなく登場の『プリウスPHV』のEV走行換算距離(EV走行距離)を60km以上、EV最高速を135km/hへと大幅に延ばしている。

 今後、2021年までの5年間で、エンジンは今回開発した2.5リッターガソリンを含め、9機種・17バリエーション、トランスミッションは多段化AT、新機構の無段変速機(CVT)など4機種・10バリエーション、ハイブリッドシステムは6機種・10バリエーションの投入を予定しているという。