2016年シーズンに向けてのMotoGPクラスの大きな変化は、タイヤがミシュランのワンメイクとなったことと、ECUのソフトウエアが共通となったことだった。
ミシュランは2008年以来となるMotoGPクラスへのタイヤ供給、タイヤ内径も17インチに変更(2015年までは16.5インチ)となり、2015年から各ファクトリーのテストライダーを主体にタイヤ開発を続けてきた。ECUのソフトウエアが共通となったことで、2015年までのオープン、ファクトリーオプションの区分けはなくなった。
開幕前のマレーシアのセパン、オーストラリアのフィリップアイランド、カタールのロサイルの3コースでのオフィシャルテストでは、2015年チャンピオンのホルヘ・ロレンソ(モビスター・ヤマハ)が好調だった。ロレンソはセパン、ロサイルで総合トップタイムを記録、ロサイルではロングランにも取り組み順調な仕上がりをうかがわせた。
フィリップアイランドで総合トップに立ったマーベリック・ビニャーレス(スズキ)はロサイルでも総合3番手で終え、2年目となるスズキが2016年シーズンに向けて上位に食い込むことが予想された。
スズキGSX-RRはシームレスミッションを2016年型から搭載。ビニャーレスの快走を支える。いっぽう、チームメイトのアレイシ・エスパロガロ(スズキ)は転倒も多く、ミシュランとのマッチングがうまく行っていない様子。
セパンではダニロ・ペトルッチ(プラマック)、ロサイルではスコット・レディング(プラマック)とドゥカティサテライト勢が上位に食い込んだが、ペトルッチはフィリップアイランドで転倒負傷し、ロサイルのテストを欠場。ドゥカティファクトリーのアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)とアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)も順調にテストを進め、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ)とバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ)も上位につけた。
マルケスは2016年型の新スペックのエンジンにやや戸惑った様子も見えたが、ロサイルでは方向性が見えてきた様子だった。ロッシはテストでは何度か転倒もあったが、順調にプログラムをこなし、開幕戦に向けての準備を整えていた。
2015年のシーズン終了直後のバレンシアテストではミシュランのマッチングに苦しむライダーも見られたが、年明けのテスト以降は、改良されたタイヤの投入により、各ライダーのタイヤに対する評価は高まってはいた。
しかし、1回目のセパンテストではロリス・バズ(アビンティア・レーシング)のリヤタイヤがバーストするアクシデントが起きた。ミシュランは同スペックのタイヤの使用を一時禁止し、空気圧(内圧)管理の徹底を図った。
セパンテストではロレンソがやや飛びぬけたタイムを記録していたが、その後のテストでは上位10名前後のライダーが約1秒以内にひしめく混戦が予想されていた。