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ポルシェ セパン12時間 レースレポート

2016年12月14日 13:21  AUTOSPORT web

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スタート直後、トップに立った911号車
2016年12月14日
インターコンチネンタルGTチャレンジ、セパン12時間レース(セパン/マレーシア)

シーズン最終戦で911 GT3 Rが表彰台を獲得
 ドイツ.ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:Dr.オリバー・ブルーメ)の2016年モータースポーツシーズンは、セパン・インターナショナル・サーキットで開催されたセパン12時間レースにおいて表彰台に昇り、幕を閉じました。

 ポルシェ・ワークスドライバーのアール・バンバー(ニュージーランド)/パトリック・ピレ(フランス)/ニック・タンディ(イギリス)組は、マンタイ・レーシングのポルシェ911 GT3 Rを駆り、激しい雨の中、猛烈な追撃で2位を獲得しました。

 リヒャルト・リーツ(オーストリア)/ミヒャエル・クリステンセン(デンマーク)/フレデリック・マコヴィッキィ(フランス)組も、このインターコンチネンタルGTチャレンジ最終戦において、ヴァイザッハ生まれの500PSカスタマーレーシングカーを駆り表彰台に挑みましたが、最終的に5位に終わりました。

 30℃を超える蒸し暑い天候において、昨年のFIA世界耐久選手権で最も成功を収めたGTドライバーのリヒャルト・リーツは、アジアで最も重要な長距離レースの1つをポールポジションからスタートしました。

 しかしトップを快走したのは2015年ル・マン覇者のアール・バンバーでした。リーツより後方の3番手からスタートしていたバンバーは、13の自動車メーカーがひしめく激戦で1コーナーから首位に躍り出ました。長年マレーシアに滞在し、アジアで多くのレースに出場してきた彼にとって、クアラルンプール郊外の5.543kmのグランプリサーキットはホームサーキット同然でした。

 リヒャルト・リーツから912号車の運転を引き継いだフレデリック・マコヴィッキィは、1時間を経て最初のセーフティカー出動後のリスタートを利用して2位につけました。アール・バンバーとともにル・マン優勝を飾ったニック・タンディがハンドルを握る911号車は首位を守り続けます。


 その後2台の911 GT3はフェラーリと激しい争いを展開して観客を喜ばせました。しかし4時間半を過ぎて激しい雨が降り始め、ウェットタイヤへの交換でピットストップに入ったときにワン・ツーポジションを失います。5時間経過後には、911号車が2位に、912号車は4位に後退していました。

 レースを通して予定外の2度のピットストップがタイムロスにつながりました。まず最初に、フレデリック・マコヴィッキィの911 GT3 Rがブレーキ交換を行いました。そして2時間後には、スリックで走る集団の中でアール・バンバーの車もブレーキを交換しなければなりませんでした。

 その結果、彼の車は表彰台の順位からリヒャルト・リーツのすぐ前の4位まで後退します。しかし、バンバーは見事な巻き返しを見せます。2度目のセーフティカーの出動後、残り2時間の時点でリスタートしたとき、彼はヘビーウェットのサーキットで快進撃を見せ、最初にフェラーリを、次に2位のアウディを抜いてシーズンの最終レースでポルシェに表彰台をもたらしました。

 911 GT3 RS市販車をベースに世界各地のGT3シリーズのためにヴァイザッハで設計された911 GT3 Rは、デビューシーズン最後のレースとなったセパンでも成功を収めました。

 ダイレクト・フューエル・インジェクションによる最新の4リッター水平対向6気筒エンジンを搭載したポルシェ911 GT3 Rがデビューしたのは1月のデイトナ24時間レースでした。その後911 GT3Rは、IMSAウェザーテックスポーツカー選手権、ワールドチャレンジ、過酷なノルドシュライフェのVLNニュルブルクリンク耐久シリーズなど、数多くの国際的レースで成功を収めています。

■レース後のコメント
ポルシェ・モータースポーツ責任者のDr.フランク・シュテファン・バリサー:
「厳しい天候条件で浮き沈みの激しいレースでした。序盤にウェットタイヤの作業で少しトラブルがありましたが、グリップを得た後はすぐにパフォーマンスを回復しました。セーフティカー出動の後、アールのすばらしい追撃で2位を獲得しました。本当に見事でした。コーションでは少し不運もありましたが、全体的には良い結果となりました。」

アール・バンバー(911 GT3 R #911):
「シーズンの最後に表彰台に登ることができて最高です。ドライコンディションでは好調でずっとトップでしたが、雨が降り始めてタイヤにトラブルが発生しました。しかし雨が激しくなるとともに調子が戻りました。過酷なレースでしたがポルシェにとっては良い結果となりました。」

パトリック・ピレ(911 GT3 R #911):
「セパンは初めてでしたが、レース序盤からさまざまな条件を経験することになりました。天気予報がヨーロッパや米国のように信頼のおけるものではないということも経験しました。そしてここでは、ウェットコンデョションでもレインタイヤ同様にスリックで速く走ることができます。雨でもアスファルトがそれほど滑らないからです。シーズン最後のレースは良い経験になりました。」

ニック・タンディ(911 GT3 R #911):
「911 GT3 Rはドライでもウェットでも見事な走りを見せて、非常に速いラップタイムを記録できました。しかし、タイヤ交換に問題が発生して、それがタイムロスにつながりました。」

リヒャルト・リーツ(911 GT3 R #912):
「4つのスティント全てで最高の走りができました。911 GT3 Rはこのサーキットとマッチしていました。タイヤは練習で試したように新品より中古の方が良かったです。皆がABSを使っているのでブレーキが遅く、追い越しが本当に難しかったです。全体的には良かったのですが、唯一、結果だけが納得できません。」

ミカエル・クリステンセン(911 GT3 R #912):
「タフなレースで、思いどおりの結果ではありませんでした。残念ながら作戦は必ずうまくいくとは限りません。2度ピットインして、2度とも直後にコーションが発生してライバルより不利になりました。失ったタイムを取り戻すことはできませんでした。」

フレデリック・マコヴィッキィ(911 GT3 R #912):
「ドライコンディションで911 GT3 Rは抜群によく走りトップを争いました。しかし雨が降り始めて、ピットストップした直後に運悪くセーフティカーが出動しました。そのため完全に1周を失いました。ブレーキ交換でさらに1周をロスするなど今日は運がありませんでした。しかしポルシェにとってはシーズンを締めくくる表彰台となりました。」

■レース結果
1. ヴァンスール/ハーゼ/フラインス(ベルギー/ドイツ/オランダ)、アウディR8、309周
2. ピレ/タンディ/バンバー(フランス/イギリス/ニュージーランド)、ポルシェ911 GT3 R、304周
3. カッファー/ラスト/ビンケルホック(ドイツ/ドイツ/ドイツ)、アウディR8、304周
4. ラトゥーラス/ルゴロ/ピエールグイディ(タイ/イタリア/イタリア)、フェラーリ488、303周
5. リーツ/クリステンセン/マコヴィッキィ(オーストリア/デンマーク/フランス)、ポルシェ911 GT3 R、302周
6. 吉本/チェン/細川(日本/台湾/日本)、フェラーリ488、297周
7. ヴァン・ダム/バクディ/サティエンティラクル(オランダ/タイ/タイ)、フェラーリ488、297周
8. 織戸/平峰/ザウグ(日本/日本/南アフリカ)、ランボルギーニ、296周
9. デシルバ/アン/パターソン(マレーシア/マレーシア/オーストラリア)フェラーリ488、296周
10. パレンテ/レドガール/ヴァン・ギスバーゲン(ポルトガル/フランス/ニュージーランド)、マクラーレン、290周