IT技術関連の求人は引きも切らないが、長時間労働などで精神を病んだという話はネットで頻繁に見かける。12月9日、2ちゃんねるに「プログラマーが精神崩壊するとか聞くけど、どうしてなの?」というスレッドが立った。
「プログラマーって大変そう」というイメージがあるが、それがなぜなのか?具体的に教えて欲しいという問いかけだった。(文:okei)
ムチャな要求に応え、無理を重ねる現場
スレッド上での結論からいうと、「向き不向きと労働時間の問題」という、一般的で当たり前のことだった。それでも、詳しく見ていくと「ならでは…」と納得してしまういくつもの回答がある。
「最初から勉強していくことが多くて辛いし 慣れてきてもハイペースで走らないといけないから本当に持たない」
「無理難題を営業が取ってきてそれが続いてデフォルトになるから→デフォルトで無理難題なのにまだ頑張れば行けると思って無理難題を加える→無事死ぬ」
また、「形ないものって詳しくない人には尊厳が持たれない傾向がある」という声もあった。しかも、プログラムは専門的にやって人ではないとわかりにくい。その結果現場に無理難題が来るというのだ。
ほかにも、
「一番の問題は最初に決定すべき仕様が最後まで決まらず、二度手間三度手間、加えて納期は伸びない。と言う事が往々にしてあると言う事」
という指摘も。この人は「例えるならば、ラーメンの注文を受け、作り終えた頃につけ麺に変更、しかし提供時間は伸ばしてはならない状況。ラーメン作りのスキルはさしたる問題ではない」と虚しさを訴える。
どう考えても2カ月かかる仕事を客の要求だからと1カ月でやらされ、「月の労働時間は320、なおその分は見事サビ残」との嘆きも。そこまでいかなくても50時間ぐらいの残業だったら認められる会社が多いのだそうで「つまり社会人初心者みたいな若い子が無理なペースで働いちゃう事が多い そして磨耗して事切れる」という書き込みもある。
ムチャな要求に応え、無理を重ねつつ新技術も学ばねばならないという、切羽詰まった現場感が伝わってくる。
スケジューリングさえしっかりしてればという声も
作り終えた時の「達成感はないの?」という問いには、「例えば絵を描くのが好きな人が居たとして 一日中ネジの絵だけを書かされ続けて達成感が得られると思いますか?」との答え。好きな仕事でも限度があるということだ。
一方では、「自分の所は完全週休二日で残業ほぼ無しで給料も時給1100円オーバーの恵まれてる環境で助かってる。残業も生活残業感覚がおおいよな」など良好な例を挙げる人もおり、企業によってかなり違うことも伺える。
大手銀行の次期システム開発などのプロジェクトに行かなければ精神を「病むことはない」という人もいる。あくまでも「スケジューリングさえしっかりしてれば」というのだ。
なお、こうした不安を持つ人はたくさんいるらしく、2013年7月のヤフー知恵袋でも同様の質問が見られた。
ベストアンサーは、「私は業務系システムをずっとやってきたので、制御系や組み込み系、WEB系なんかでは若干異なるとは思います」とした上で、最新のIT技術に触れられること、人の役に立てる仕事で、仕事(求職)に困らず、比較的給与は高い、などのメリットを挙げている。
ブラックに陥りやすい職場という現実はあるが、企業によって違うという点では他の職種と変わらないようだ。求人も多いので、情報を集めてブラック企業を上手く避けることができれば、継続的にキャリアを積んでいくことも可能だ。
それでも、企業側がプログラマーを技術者としてもっと尊重し、見合った報酬と無理のない働き方にするよう心掛けないと、日本でIT技術者をやりたいという人はいなくなってしまう。