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盗まれた「高級ロードバイク」ネットオークションで発見…取り戻すことは可能?

2016年12月14日 10:52  弁護士ドットコム

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「自転車ブーム」と言われて久しい昨今、街中で高級スポーツ自転車を見かける機会も増えたが、それに伴い高級自転車を狙った窃盗が後を絶たない。


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10月には、自転車盗難の被害者が、ネット上で盗まれた自転車の「フレーム」を発見をしたことがきっかけで、高級ロードバイクの盗難を繰り返していた男性が窃盗の疑いで逮捕された。


報道によると、被害者は、盗まれた25万円相当の自転車がネットオークションに出品されると予想。盗まれたものと同じタイプの自転車を自ら落札し、同じフレームの傷がついていたことを確認して、同一の物だと警察に相談したという。


ツイッターなどで盗難車両の画像を投稿し、SNSの拡散によって盗難車を発見しようとする人もいる。犯人を許さず、なんとかして自分で突き止めたいと考える愛好家もいるようだ。


街中やインターネット上で、盗まれた自分の自転車を発見した場合、どう対応すればいいのか。犯人を見つけた場合、自分で捕まえてもいいのだろうか。刑事手続きに詳しい坂口靖弁護士に聞いた。


●ネット上で出品されているのを発見したら?

このような場合、証拠を保全しておくことが極めて重要です。物の販売ページを印刷、スクリーンショットで保存するなどし、出品者情報や出品物の特徴など、盗品との同一性を裏付ける情報を保全しておく必要があります。


また、直ちに警察に相談することも重要です。警察は、盗品の疑いがある相当の理由があるような場合、「競り」の中止命令を出すことができるため、盗品が第三者の手に渡ってしまうことを防止することが出来る場合もあります。


もっとも、現実的には、中止命令を出すことは困難なことが多く、中止命令が出されることは少ないようです。このような場合には、自ら購入することもやむを得ないという場合もあるかと思います。


自ら購入する必要があるのは、(1)出品物と盗品との同一性を確認する必要があることや、(2)第三者に購入されてしまうと、取り戻すことが事実上困難になってしまう可能性があるからです。


この他、警察の指示にしたがって、インターネットサイトの管理者に通報するなどの対応が必要になる場合もあると思われます。


●すでに第三者が購入してしまっていたら?

盗品を取得した第三者が、盗品であることを知っている、知っているべき事情があるような場合(善意無過失でない場合)には、「無償で返せ」と主張することは、法律上は可能です。


一方で、盗品を取得した第三者が、盗品である事実を全く知らず、知ることも到底不可能であったような場合(善意無過失)には、盗難の時から2年間に限って返還を求めることが可能とされています。


もっとも、盗品を取得した第三者が、競売や公の市場、同種の物を販売する業者などから善意で(盗品であることを知らずに)取得していたような場合には、原則として対価を支払わないと物の返還を求めることはできません。


ただし、盗品を取得した第三者が、古物商や営業質屋であるような場合には、1年間は無償で引渡を求めることができるルールになっています。


現実的には、盗品を取得した第三者が、盗品であることについて悪意・有過失であるとの事実は、窃盗の被害者が立証しなければならないことから、第三者が古物商などで無い限り、無償での返還を求めることは、基本的に難しいと考えた方が良いと思います。


●街中で盗まれた自転車に乗っている人を見つけたら「現行犯逮捕」できる?

「現行犯逮捕」すること自体は、一般人であっても可能です(刑事訴訟法213条)。


しかし、「現行犯」とは、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者」をいいます。単に以前に盗まれた自転車を乗っているというだけでは、窃盗の「現行犯」とは評価できないので、窃盗で現行犯逮捕することは認められません。


もっとも、自転車が盗まれたとわかった直後(現場も近く、時間も数十分程度であるような場合)であるような場合には、『準現行犯』として逮捕できる場合もあります。


したがって、以前に盗まれた自転車を乗っている人物を見かけた時は、直ちに警察に通報することをおすすめします。


その自転車に乗った人を呼び止め、事情を説明するなどして時間を作り、警察が来るのを待つというのが現実的な対応だと考えられます。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
坂口 靖(さかぐち・やすし)弁護士
大学を卒業後、東京FM「やまだひさしのラジアンリミテッド」等のラジオ番組制作業務に従事。その後、28歳の時に突如弁護士を志し、全くの初学者から3年の期間を経て旧司法試験に合格。弁護士となった後、1年目から年間100件を超える刑事事件の弁護を担当。以後弁護士としての数多くの刑事事件に携わり、現在に至る。
事務所名:佐野総合法律事務所
事務所URL:http://sakaguchiyasushi-keijibengo.com/