メルセデス・モータースポーツのトップであるトト・ウォルフは、タイトル決定戦となったアブダビGPでルイス・ハミルトンにチームオーダーを与えようとしたことを後悔していると語った。
ハミルトンがタイトルを獲得するには、アブダビで優勝し、なおかつニコ・ロズベルグが4位以下に終わる必要があった。そのため、首位を走る彼は、2位のロズベルグに後方グループが追いつけるようペースを落とした。
メルセデスはハミルトンが勝利のチャンスをふいにする可能性があると考え、エグゼクティブディレクターのパディ・ロウによる「最高司令官」からの通信も含め、ペースを上げるよう繰り返し指示を出した。
ハミルトンはペースを上げることを拒否し、そのままレースで優勝したが、ロズベルグはセバスチャン・ベッテルとマックス・フェルスタッペンを抑えて2位でフィニッシュし、自身初の世界タイトルを獲得したのだった。
決勝直後、ウォルフは、ハミルトンの戦略はひとつの先例になり、今後この問題に関して解決法を見つけなければならないと述べていた。
しかしこのレースについてじっくり検討したのち、ウォルフはメルセデスのやり方は間違えていたとし、ドライバーたちに自由に競争させるべきだったと認めた。
「その場の勢いで判断を下すと、時には誤った判断になってしまうこともある」とウォルフはSky Sports F1のインタビューで語った。
「我々の頭の中での考え方としては、このレースは他のレースと同じポイント数をもたらすものであり、勝ちに行こうとしていた。ドライバーにとってはもっと重要なことを賭けたレースであることを考慮していなかったんだ」
「レースがこのような結果となったわけだが、我々は違う指示を出すべきだったし、後から考えると、ドライバーたちが妥当だと思うやり方でレースをやらせるべきだった」
メルセデスはタイトル獲得の5日後に引退を発表した世界チャンピオン、ロズベルグの後任を確保することに関心を移している。
ハミルトンが2017年のチームメイトを選ぶことはできるのかと尋ねられてウォルフは答えた。
「妥当な決断に行きつき、ルイスに知らせるべきときが来たと考えた時点で、教えるつもりだ」
「ルイスはチームの成功を支える偉大な中心人物だからね」
「彼がチームに加入してすべてが変わった。彼は任務を果たしているということだ」
「彼を良い環境に留めて置くことはとても重要だ」
「ルイスと新しいドライバーとの力関係は我々がこれから考慮する要素のひとつになるだろう」