2016年12月12日 10:52 弁護士ドットコム
「裁判所から『とんでもない』物が届いたんだが」。ネットの掲示板に、裁判員の候補に選ばれた通知を受け取った人が、「ずっと他人事だと思ってた(´・ω・`)」と落ち込んだ様子の投稿をしていた。
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この投稿に対して、「これってマジ迷惑だよな 確か相当な理由ないと拒否出来ないとか噂だぞ」「仕事を理由に断るって出来ねーのかな」「裁判員全員→死刑 裁判官→前例ないから死刑はなしっていうのは糞だったな」など様々な反応があった。
裁判員の候補になった場合、どのようなプロセスで具体的な事件の裁判員になるのだろうか。また、断ることができるのはどういう場合なのだろうか。清水伸賢弁護士に聞いた。
「現行の制度では、まず毎年11月ころに、選挙人名簿の中からくじで翌年の裁判員候補者の名簿に載る人が選ばれます。
具体的に裁判の日程が決まると、その6~8週間前に、同名簿からくじで数十人程度が選ばれ、裁判所に呼び出されます。そして裁判所で、通常は裁判員6名と、補充裁判員(予備の裁判員)数名がくじによって選ばれます」
清水弁護士はこのように述べる。辞退することはできるのか。
「裁判員を辞退できる場合は、法令で次のように定められています。
まず、年齢や職業、属性などで辞退できるのは次のような場合です。
・70才以上の人・会期中の地方公共団体の議員・学生・生徒・過去5年以内に裁判員や検察審査員などの職務に従事した人・3年以内に選任予定裁判員に選ばれた人・1年以内に裁判員候補者として裁判員選任手続の期日に出席した人(辞退者を除く)」
「一定の『やむを得ない理由』があって、裁判員の職務を行うことや裁判所に行くことが困難な人も辞退ができます」
仕事を理由に休むことができないのか、といった疑問もあったが、「やむを得ない理由」にあたるのか。
「単に仕事があるというだけでは、辞退する理由にあたりません。辞退が認められるのは、その仕事を自分が処理しなければ著しい損害が生じるおそれがあるような場合です。
この他にも、重い病気やケガをしている場合や、家族の介護や養育の必要がある場合があります。他にも、父母の葬式などがあたります。
政令でも、妊娠中や産後8週間以内の場合や、家族のケガや病気の治療に付き添う必要がある場合、家族の出産に付き添ったり、立ち会ったりする必要がある場合も辞退が認められています。
さらに、住居が遠隔地で、裁判所に出頭することが困難な場合や、裁判員の職務を行うことなどによって、身体・精神上または経済上、重大な不利益が生ずるような場合にも、辞退が認められます」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
清水 伸賢(しみず・のぶかた)弁護士
企業法務から交通事故などの一般民事事件、遺産分割などの家事事件まで幅広く取り扱うとともに、裁判員裁判を中心とした刑事弁護にも精力的に取り組む。日弁連刑事弁護センター委員、大阪弁護士会刑事弁護委員会担当副委員長(裁判員部会)。
事務所名:WILL法律事務所
事務所URL:http://www.will-law.com