ランス・ストロールが2016年に世界各地のサーキットで行ってきたF1デビューに向けたテストは、1996年にウイリアムズからF1デビューする前のジャック・ビルヌーブが行ったテストプログラムに似ていると、チーフテクニカルオフィサーであるパット・シモンズが述べた。
ストロールは、2017年のF1デビューに向けて、2014年型のマシンを用い、7カ月に及ぶテストプログラムに取り組んできた。同じカナダ人のビルヌーブも、1996年のF1デビュー前、F1マシン習熟のため各地のサーキットで数多くのテストをこなし、走行距離を稼いだ。
「現在はテストの日数が厳しく定められてるが、一般的に、テストドライバーは多くのテストを経験する。彼ら(テストドライバー)はまだその時点で走行を行ったことがない多くのサーキットのテスト経験を積む。特にビルヌーブとは非常に集中したテストプログラムに取り組んだ」とシモンズ。
「だが、通常はドライバーの育成よりもマシンの開発に焦点が置かれているものだ。そこで今回、我々は(ストロールのために)内容を変えた。多少ビルヌーブのプログラムに似ているが、彼にF1に慣れてもらうことに焦点を置いている」
「たとえば、本番のレースと同様の実戦的なピットストップ練習を行っている。クルーたちには必要ない練習だが、ランス(ストロール)には必要だ」と述べた。
シモンズは、ヨーロピアンF3チャンピオンであるストロールの飲み込みと順応の早さに感銘を受けたという。
「2014年型のマシンと、テスト用タイヤを使って実施しているテストプロブラムはとても充実している」とシモンズは述べる。
「テスト用のタイヤはレース用のそれとは大きく異るが、データが極端に少ないために比較は難しいんだ。我々にできることは、ランスがこのタイヤでどのように走るかデータを見て、2014年のバルテリ(ボッタス)とフェリペ(マッサ)のデータと比較することだ」
「ランスには感銘を受けている。彼はサーキットを素早く学んでみせた。それは良いドライバーであることの証だ」
「とても順調に走行しているし、回数を重ねるごとに習熟している」
「そろそろタイヤの扱いについても学ぶタイミングだ。エンジニアたちがタイヤについてもらす愚痴が、間違っていないということを直に学ぶんだ」
「コースに出て、タイヤを1セットオーバーヒートさせ、『なんてこったい!全開で走るべきじゃなかった!』という経験をしなければね。彼は今も学んでいるところだ」