トップへ

セパン12時間:欧州の強豪と勝負。日本勢は上位をうかがう位置につける

2016年12月09日 21:01  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

JLOCの88号車ランボルギーニ・ウラカンGT3
マレーシアのセパンサーキットで行われているインターコンチネンタルGTチャレンジ第3戦『モチュール・セパン12時間』。日本からもスーパーGT、スーパー耐久に参戦するGT3/JAF-GT使用チームがエントリーしているが、予選まではヨーロッパの強豪と“互角”の勝負をみせている。

 今回のセパン12時間は、ヨーロッパからはアウディスポーツ・チーム・フェニックス、ポルシェで過去多くのニュルブルクリンク24時間勝利を飾っている名門マンタイ・レーシングが参加。ワークス格と言えるチームが参戦している。また、スピリット・オブ・レースSAの50号車はAFコルセがメンテナンス。また、フライングリザード/K-PAXのマクラーレンも、ワークスの力が注がれたチームだ。

 比較的走り慣れているセパン、そして勝手知ったるヨコハマタイヤというメリットはあるものの、そんなチームたちと互角に戦っているのが日本勢だ。今回、ワークス勢と同じプロクラスにエントリーしているのがJLOCの88号車ランボルギーニ・ウラカンGT3(織戸学/平峰一貴/エイドリアン・ザウグ)で、予選でもアウディ勢をおさえ5番手に食い込んでみせた。予選では当初、今季スーパーGTでも速さをみせてきた平峰一貴がアタックを行ったが、織戸学に交代してアタック。織戸は予選のトップタイムを獲得してみせた。

 ただ、実はこれにはちょっとした裏話があったという。「実は予選にいくつもりはなくて、平峰に任せようと思っていた。『今日の仕事終わったぜ』と、一杯やろうかと思っていた(笑)」と織戸は言う。

 しかし今回の予選では、ドライバーの格付けで最も高いドライバーが予選に臨まなければならないレギュレーションがあった。織戸、ザウグはゴールド、平峰はシルバーだ。そのレギュレーションに気付き、急遽チームは織戸に交代させてコースインしたのだ。

 織戸は予選トップタイムをマークした後、トップ15台によるシュートアウトに挑んだが、ここでは「予選ではいい仕事ができたけど、欲が出てしまったね。人間、欲が出るとダメ。タイヤがいちばんオイシイ周にミスをしてしまった。それがなくても3番手くらいだったとは思うけど」とタイムロスしてしまった。

 とは言え、それでも5番手だ。さらに「予選に向けては何もやっていなくて、ずっと決勝に向けて詰めていた」状態だったという。今年のセパンはヨコハマがワンメイクタイヤを供給しているが、構造はGT3用、コンパウンドはスーパー耐久用のものが使用されており、スーパーGT用のものとは違っている。この調整に時間を費やしていたのだ。88号車の決勝に向けても期待が高まるところだろう。

 一方、走り出しから好位置につけていたハブオート・レーシングの35号車フェラーリ488 GT3だったが、予選は8番手。「今朝はポール獲ったろうかなと思っていた」という吉本大樹にとっては悔しい結果となった。

「思っていたようにいきませんでした。オーバーブーストしてしまう状況があったり、バランスもちょっと苦しんだ。昨日からまわりが上がっているのに対して、自分たちは停滞している状態。今日チームに見てもらっているが、決勝に向けて何か見つかれば」と吉本。こちらはプロ-アマクラスの勝利、そして総合での表彰台が目標だけに、翌日の逆襲に期待したいところだ。

 前日からセパン初走行となる永井宏明、平沼貴之の習熟をメインにプログラムを進めていたaprの30号車トヨタ・プリウスGT、埼玉トヨペット・グリーンブレイブの52号車メルセデスベンツSLS AMG GT3も、ともに上位をうかがう位置につけるが、速さは示せても怖いのはトラブルだ。特に12時間耐久は日本ではなかなか経験できない距離。ワークス勢に対して、日本チームの活躍を大いに期待したいところだ。