2016年12月08日 09:52 弁護士ドットコム
1人暮らしで契約しているウィークリーマンションに子どもと友人と3人で住んでいることが管理人にバレてしまったーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、違約金を払わなければならないかどうかを相談する投稿が寄せられた。
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このウィークリーマンションは友人名義で契約したものだそうだ。投稿者と子どもが一緒に住んでいることが管理人にばれ、「社長にばれたらまずいから」と言われてしまったという。
投稿者は、契約解除や違約金の請求を恐れているが、そのような可能性はあるのだろうか。ウィークリーマンションと通常の賃貸住宅で何か違いがあるのだろうか。高砂健太郎弁護士に聞いた。
●通常の賃貸住宅とは契約が異なるケースが多い
ウィークリーマンションは、最低1週間を契約期間とすることが多いため、定期借家契約を締結しているケースが多いと思います。
定期賃貸借契約は、期間が満了すれば終了し、更新できない点や、1年未満の契約期間が設定できるという点で、通常の「賃貸住宅」、つまり「普通賃貸借契約」とは異なります。
例えば、期間1週間の定期借家契約を締結していた場合、3人暮らしがバレて(正確にはそのような事情がなくても)、賃貸人に嫌だと思われてしまえば再契約を拒否されます。
ではウィークリーマンションで契約開始日から2日目にバレて、賃貸人から即退去を要求された場合はどうでしょうか。
賃貸人からの契約解除が有効かどうかは、賃借人との信頼関係が破壊されたといえるかどうかがポイントになります。契約内容や状況にもよりますが、基本的には改善の余地も与えていないにもかかわらず、なされた解除が有効とは思えません。長期間の信頼関係を前提とする通常の賃貸住宅ではなおのことです。
さらに、改善要求された際、賃借人ご自身が改善するくらいなら出て行った方がいいと考え、途中解約した場合を考えてみましょう。ウィークリーマンションの場合、契約期間中の途中解約は残期間分賃料を違約金として返還されないという特約を散見します。このような場合、違約金条項は有効と考えられ、残存期間分賃料の返金を請求できません。
もっとも、通常の賃貸住宅で残存期間が長期間に及ぶ場合、全く返金を認めないとすると賃借人にとり著しく不利益を及ぼすことになりますので、そのような場合は違約金条項の一部のみ有効とし、一部返金が受けられることもあるでしょう。
【取材協力弁護士】
高砂 健太郎(たかさご・けんたろう)弁護士
不動産仲介会社勤務を経て、旧司法試験合格。勤務弁護士を経験後、平成22年中崎町法律事務所を開設。不動産、企業、相続部門を重点的に扱い、物件オーナーや不動産管理会社等と多くの顧問契約を締結している。
事務所名:中崎町法律事務所
事務所URL:http://www.nakazakicho-law.jp/