世界ラリー選手権(WRC)4年連続チャンピオンのセバスチャン・オジエは、週内にも来季の活動に関する決断を下す見込みだ。
フォルクスワーゲンのWRC撤退により、その動向に注目が集まっているオジエ。現時点で彼に残されている選択肢はふたつのみとみられており、ひとつはMスポーツへ加入すること。もうひとつはプライベートチームとして17年型フォルクスワーゲン・ポロR WRCを走らせることだ。
オジエは「将来のビジョンが、より鮮明になってきた」と語る。
「まだWRCの戦いに身を投じたいと思っていることは確かだ。ただ、17年の開幕戦モンテカルロに参戦できる保証はない。契約を交わしてない以上、100パーセントの保証なんてものはないからね」
「オプションとして契約年数を1年にするのか、2年にするのか選択の余地がある。ただし、これを契約金の額で変化させるつもりはない。あくまで、そのチームにポテンシャルを感じられるかが重要だ」
「それを踏まえた上で、僕にはふたつの選択肢が残っている」
オジエは、上述のMスポーツとトヨタの17年型WRカーをテスト済み。しかし、そのうちトヨタとのテストを捉えたとされる映像には、オジエはマシンからグリップを引き出すのに苦労している様子が収められている。
このことから、一部ではオジエのトヨタ移籍の可能性は消滅したとも報じられているが、オジエ自身は報道を否定する。
「(トヨタ・ヤリスWRCは)確かにターマック(舗装路)での感触はあまり良くなかった。ただ、グラベル(未舗装路)での走りは上々だった」とオジエ。
「とても滑りやすいコンディションだったから、マシンが持つポテンシャルを発揮することはできなかったんだ。しかし、ああいったコンディションではマシンの問題点をすぐに掴むことができる」
Mスポーツ代表のマルコム・ウィルソンは交渉が順調に進めば今週中にも最終的な契約を交わせると自信を覗かせる。
「現在も交渉を続けていて、いまは細かなところを詰めようとしている」とウィルソン。
「近日中には、何らかのニュースを発信できるはずだ」
オジエは、契約交渉に臨むウィルソンの熱意に感銘を受けたと印象を明かす。
「マルコム(・ウィルソン)は僕と一緒に仕事することを強く望んでいるし、とてつもない情熱によって突き動かされている」
「彼のように、明確な目的と強い意欲を持っている人物と仕事をできれば最高だよ」
プライベーターへの17年型ポロR WRC供給に関する憶測も、日を追うごとに高まりつつある。フォルクスワーゲン・モータースポーツ代表のウォルフガング・デュルハイマーは潤沢な資金援助があれば、ポロR WRCをプライベーターに供給する可能性はあると語った。
「我々がワークスチームとしての活動を終えたあとも、開発を進めてきた17年型ポロR WRCに活躍のチャンスを与えられるよう努力している」
「1番のネックは、どのプロジェクトにも予算を使えないことだ。しかし、この問題を克服できるチームが現れれば、我々はあらゆるサポートを提供する。ユーザーの要望に沿うように、エキスパートを派遣する準備もあるよ」
「願わくば、1月の開幕戦モンテカルロまでにプライベーターと契約を交わしたい。そうすれば、シリーズ全戦に参戦することができるからね」
「実現すれば、最高のストーリーになる。ファンの多くも、17年型ポロR WRCの勇姿を見たいと望んでいるだろうから」