2016年中盤でシリーズ名称を改称し、『ヴァージン・オーストラリア・スーパーカー(VASC)』となったオーストラリアV8スーパーカー・シリーズの最終戦「コート・ハイアー・シドニー500」が開催され、選手権首位を走るレッドブル・レーシング・オーストラリア(RBRA)のエース、SVGことシェーン-ヴァン・ギズバーゲンがレース1で3位表彰台を獲得。これで自身初のシリーズタイトルを決めると、翌日の最終戦レース2では見事勝利で飾り、自らの王座獲得に華を添えた。
12月3日土曜にシドニー市街地ホームブッシュで開催された第28戦では、SVGが予選ポールポジションを獲得。万全の状態でスタートしたものの、6番グリッドからスタートした2010年王者であり日本でも活躍したジェームス・コートニーや、元王者のマーク・ウインターボトムらと激しいバトルを展開。
しかし、ウインターボトムのインサイドに飛び込んだSVGは彼のフォード・ファルコンを弾いてしまい、レース序盤にしてドライブスルーのペナルティが課されることに。
その隙を突いて、選手権争いを展開するチームメイトのジェイミー・ウィンカップがホールデン・コモドアを抜群のドライビングで導き勝利。逆転王座へ望みをつないだかにみえたが、ペナルティを消化したSVGはそこから怒涛の追い上げを開始。
ボルボS60のスコット・マクローリンやコートニーの背後にまでカムバックを果たすと、250kmレースの最終ラップ、厳しくラインを閉めたコートニーのインをこじ開け、SVGのコモドアが前へ。これで3位フィニッシュとなり、自身初となる選手権王座を確定させた。
「本当に信じられない気分だ。マーク(ウィンターボトム)には申し訳ないことをした。インに飛び込んだが、彼を押しやりたいわけじゃなかった」と、ギズバーゲン。
「本当にいいレースだった。最後はジェームス(コートニー)とスコット(マクローリン)とのビッグバトルになったしね」
ウインターボトムとのターン9の接触でペナルティを受けたSVGだが、この直後にコース上の他の箇所で激しいクラッシュが発生。彼にとって最高のタイミングでセーフティカーが導入され、リスタート時点で9番手に留まったことが助けとなった。
明けた日曜の4日に行われた最終戦では、2番手スタートのSVGがホールデン・レーシング・チームを今季限りで去ることが決まっている2007年度チャンピオンのガース・タンダーと激しいバトルを展開。ピットレーン出口でお互いにヒットするなど疑惑の判定もありながら、最終的にはタンダーを1.02秒振り切り優勝。チーム移籍初年度、ニュージーランド人としては1991年以来となるシリーズチャンピオンを自らの勝利で祝った。
「昨日できなかったドーナツターンとバーンナウトをチーム全員に振る舞えた。キャリア最高の夢が実現できて特別な気持ちだ。来年ももう一度、今年みたいなシーズンを送りたいよ!」と、喜びを語った27歳の新王者。
最終的にライバルのウインカップが選手権2位。ボルボ最後のレースで5位入賞を果たしたマクローリンが選手権3位に浮上して、2016年シーズンを終えている。