MotoGPワールドチャンピオンシップに3度覇者に輝いたホルヘ・ロレンソは、10月のメルセデスとのテスト後に、F1マシンの操縦が簡単なことに驚いたと語った。
ロレンソは、シルバーストンで2014年仕様のメルセデスを走らせ、チームからその走りに競争力があると評価された。
「僕はF1マシンは相当難しいと思っていたんだ。なぜなら、2日前にスネッタートンでF2マシンを試したけど、そのF2マシンがすごく運転しづらかったからね」とロレンソは述べた。
「パワーユニットはかなり繊細で、ハンドルがすごく重かった」
「だけど、メルセデスのファクトリーでシミュレーターを試したときは、『ワォ!こっちはずっと簡単だ。まぁ、シミュレーターだと簡単すぎて、実際はもっと難しいだろうな』みたいに思っていたけど、違っていた」
「僕は最初からかなり速かったから、彼らは僕に難しさを感じさせるためにウエットグリップを使わせる羽目になった。ドライだと簡単すぎたからね」
「実際マシンを試したとき…コーナーでかなりスピンしやすかったり、コントロールを失いやすいかと想像したけど、グリップがすごく強くて、軽々と速さを出せたよ」
ロレンソはエンジニアたちから良いフィードバックを受け、次のように付け加えていた。
「彼らは、かなり衝撃を受けてたよ。未経験ドライバーがわずか数時間後にこのリミットに近づくなんて想定していなかったからね」
しかし、高速で1ラップ走ることと、グランプリの距離を高速で走り続けることは、まったく異なるチャレンジであると、彼は認めた。
「新しいタイヤで高速で1ラップ走ることは比較的簡単だけど、一番難しいのは1時間半、同じレベルで、同じペースを保つことだ」とロレンソ。
「これがルーキーや素人ドライバーと、プロのF1ドライバーとの違いだ」
「通常オートバイライダーは、マシンに乗ったら比較的すぐに高速を出せるけど、次の段階は、かなりの高温のなか1時間半耐えて、集中力を失わず何十周ものあいだ一貫性を保つことなんだ」
またロレンソは、F1ハンドルに付いた多量のコントロールスイッチが、MotoGPより操作をいかに複雑にしているかということを強調した。
「MotoGPなら、僕らのスイッチはふたつだけ。ひとつはトラクションコントロールで、もうひとつはエンジンブレーキだ」
「だけど、F1には30から40のボタンがあるんだ」
「僕はただ2、3個使っただけ。でも、長いレース中に残りのスイッチの使い方を覚えておくことは、F1マシンがハンドルとギヤボックスだけだった20,30年前と比べて、最も複雑になったことのひとつだね」
「過去と比べて、それがいまF1ドライバーにとって一番難しくなったことだ」