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Hey! Say! JUMP 伊野尾慧を指す「かわいい」の真意 “異端”なアイドルの愛し方

2016年12月05日 14:11  リアルサウンド

リアルサウンド

Hey! Say! JUMP

 Hey! Say! JUMPの伊野尾慧を愛するのは、リスクを伴う。なぜなら、伊野尾はこれまでのジャニーズアイドルとは、全く異なる方向から愛でられているからだ。今までにいない存在というのは「媚びない・ブレない・ひるまない」という「3ないアイドル」だということ。これまでアイドルは、笑顔を振りまき、世間の反応を気にして、ときには意見を変えるなど、みんなから嫌われないようにするのが一般的だった。


(関連:V6岡田、嵐松本、KAT-TUN亀梨……JUMP伊野尾が先輩ジャニーズを虜にする小悪魔的魅力とは?


 だが「アイドルなら、こうするはず」という暗黙のルールも、伊野尾はいとも簡単に飛び越える。コンサートでもファンサービスは少なめの、いわゆる塩対応として有名だ。売り出し中のアイドルらしからぬ態度にメンバーから本気で叱られることもあった。


 しかし、予定調和にならないからこそ、その予測不能な発言や行動に、つい注目してしまうのだ。一体何を考えているのか、次にどんなことをするのかもわからない。そのヒヤヒヤ感こそ、伊野尾が人を惹き付けている理由ではないか。


 伊野尾がブレイクを果たしたきっかけは、ジャニーズの先輩たちによってその魅力が発見されたことだった。V6の岡田准一、嵐の松本潤、タッキー&翼の滝沢秀明、KAT-TUNの亀梨和也など、ジャニーズの先輩たちが「かわいい」と発言し始めると、世間が一気に注目。その後も、デヴィ夫人や千原ジュニアなど、世代や性別を越えて、伊野尾ファンを公言する人が出現した。


 この「かわいい」という言葉は、とても意味が広い言葉だ。従順さを「かわいい」とする人もいれば、手がかかることを「かわいい」と表現する人もいる。きっと伊野尾に対して発せられた「かわいい」は後者よりなのだろう。ジャニーズでは先輩後輩の上下関係がしっかりしており、後輩は先輩に対して常に従順だ。しかし、そんな後輩がたくさんいた場合には、自分から擦り寄らない伊野尾が際立ってユニークに見えたのかもしれない。


 表面的には甘いマスクと華奢なラインの中性的なルックスで、従順な「かわいい」をイメージする伊野尾。だが、ときにはタメ語でツッコミを入れたり、アイドルらしからぬ下ネタワードを臆することなく発言したりと、意外な反応で楽しませてくれる。そんな自由奔放な姿を「(ちょっとクセがあるけれど)かわいい」と表現したのだろう。


 芸能界でも、伊野尾のテキトーさは余裕があるようにも映る。12月1日放送の『めざましテレビ』(フジテレビ系)を見ても、ろくろを回す男性講師の手に、そっと自分の手を重ねて映画『ゴースト』の名シーンを再現。ドリルを手に取れば、即興で歯医者の1人コントを披露する。とっさにアイデアを思いつく機転の早さと、躊躇することなくやってのける行動力。そう感じたから言ってみた&やってみた、が念頭にあるので、先にリスクをとって尻込みすることがない。


 しがらみにとらわれず、自分らしく生きたいという気持ちが蔓延している今の時代だからこそ、伊野尾の「媚びない、ブレない、ひるまない」に、多くの人が魅了されているのだろう。だが、何度も言うが、このスタイルはアイドルにとっては異端。ときにはメンバーから叱られるように、愛ある強めのお灸をすえられることもある。11月17日放送の『VS嵐』(フジテレビ系)で、伊野尾のヒョウヒョウとした発言に対して、櫻井翔や相葉雅紀から「お前ふざけんなよ」と説教されたこともあった。そんなスリリングな伊野尾を愛し続けるには、ファンのほうが「世話のやけるところも、かわいい」と、伊野尾より一枚上手でいなければならないだろう。(佐藤結衣)