F1チャンピオンのニコ・ロズベルグは、F1から引退するという決断を下したのは、今年のようにすべてを捧げてもう一度タイトル争いに挑みたいという気持ちがなくなったからであると明かした。
2日にウイーンで開催されたFIA表彰式を前に、ロズベルグはF1キャリアを終えることを発表した。引退を考え始めたのは日本GP後のことだったという。
「今年はとてつもなくきつかった。100パーセント完全にレースに捧げた」とロズベルグ。
「去年のオースティンでタイトルを逃した後、とても苦しんだ。だからそれ以来、やれることはすべてやってきた」
「あらゆる面において死に物狂いで努力した。周囲の人たちすべてを巻き込み、その中には家族も含まれていた。多くの犠牲を払った」
「たとえば妻は、僕が家にいるときは休養する必要があるということを理解してくれていた。僕は夜も何もせず、幼い娘の世話もしなかった。大変なことは一切何もしてこなかった」
「彼女はいつもそばにいて、僕ができるだけ楽になるようサポートしてくれた。それは周りの人たちがしてくれたことの一例だ」
「僕は子供のころからの夢を達成した。今年と同じくまた一年すべてを捧げたいという気持ちはない。4位あたりになることにも興味はない」
「僕はファイターだから勝ちたいんだ。でもまた同じことをやりたいとは思わない。もう同じことはやりたくないんだ」
「だから自分の心に従うことにした。ここで立ち止まり、終わりにして、他の方向に進むべきだと、僕の心は告げていた」
ロズベルグは自身の引退がメルセデスチームに与える影響を考えて心苦しく感じたが、メルセデス・モータースポーツのボスであるトト・ウォルフは彼の選択を受け入れてくれたという。
「僕は成し遂げた。山に登りきり、頂点に立った。だからうまくやれたと感じている」とロズベルグ。
「この決断をする上で唯一悩んだのは、僕にとってレース界の家族であるチームを難しい状況に置くことになってしまうことだ」
「でもトトは理解してくれた。僕が決心を固めていることをすぐに分かってくれたので安心した」
「レースにおいて一番誇りに思う成果は、信じられないほど素晴らしいシルバーアローの人々と共に世界タイトルを獲得したことだ。いつまでもそれは変わらない」
ロズベルグが日本GPで勝利した時点でハミルトンの自力タイトル獲得の可能性はなくなった。その時からロズベルグは引退を考え始め、最終的に決断したのはタイトルを獲得した翌日だったという。
「鈴鹿で勝ったことで、タイトルの運命は僕が握ることになった。その時から大きなプレッシャーがのしかかり、世界チャンピオンになったらレースキャリアを終わりにすることを考え始めた」
「アブダビの日曜日の朝、これが最後のレースになるかもしれないと分かっていた。そのおかげでスタート前に気持ちを整理できた」
「最後になるかもしれないと思っていたから、すべての出来事を楽しみたかった。ライトが消えてレースがスタートした瞬間から、人生の中で最も緊迫した55周が始まった」
「月曜の夕方に決心した。一日じっくり考えてから、まずは妻と(マネジメントチームのメンバーである)ゲオルグ(・ノルテ)に打ち明け、その後、トトに話した」
「今、僕はこの瞬間を楽しんでいる。これからの数週間は人生を味わい、シーズンを振り返り、これから起こるすべての出来事をエンジョイする」
「その後、人生の節目を迎えたら、何が起こるのかを見てみることにするよ」