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F1電撃引退ロズベルグの後任は? アロンソ、バトン含め8人の候補

2016年12月03日 09:21  AUTOSPORT web

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2016年アブダビGP ドライバー記念撮影
2日に今年限りでの引退を電撃発表したニコ・ロズベルグ。メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフは後任決定は急ぐつもりはないと述べているが、すでに候補についてさまざまな憶測が広がっている。

 ロズベルグは初のF1ドライバーズタイトルを獲得した直後に引退を発表した。これにより急きょチャンピオンチームのレースシートがひとつ空くことになった。

 メルセデスはルイス・ハミルトンのチームメイトとして誰を選ぶべきか。傘下の若手を起用するのか、他チームから有力ドライバーを連れてくるべきか。
 英AUTOSPORT誌のF1担当メンバーたちが、それぞれが推すドライバーをひとりずつ選んだ。

■パスカル・ウェーレイン:最も論理的な選択肢
(byベン・アンダーソン)
 短期的に見れば、ジュニアドライバーのウェーレインが最も論理的な選択といえる。デビューイヤーの今年、マノーでいい仕事をし、予選Q2に5回進出、チームにとって唯一のポイントをオーストリアで獲得した。この時は予選で12位を達成、ウォルフから「特別なドライバー」という称賛の言葉を贈られた。

 ウェーレインはまだ来季契約を結んでいない。チームメイトで同じメルセデスジュニアのエステバン・オコンが来年フォース・インディアのレースドライバーに選ばれたが、これはメルセデスの判断ではなく、2015年DTMチャンピオンのウェーレインはメルセデスから非常に高く評価されている。またウェーレインはリザーブドライバーとしてメルセデスチームのことをよく知っており、何度もテストを行ってきた。


 圧倒的に強力なマシンを持ち、ハミルトンを擁するメルセデスとしては、この時期からわざわざ他チームのスタードライバーを大金を支払って引き抜く必要はない。

 しかし2018年には、多くのドライバー(セバスチャン・ベッテル、キミ・ライコネン、フェルナンド・アロンソ、バルテリ・ボッタス、セルジオ・ペレス、カルロス・サインツJrなど)が現在の契約が切れるため、選択肢が広がることになるだろう。

■セバスチャン・ベッテル:ハミルトンとの対決はF1を盛り上げる
(byミッチェル・アダム)
 ルイス・ハミルトンとセバスチャン・ベッテルはその世代のドライバーの中ではトップクラスであり、このふたりが同じチームで競うところが見られたら、どれほど面白いだろう。

 可能性は低いかもしれないが、これこそ今のF1が必要としていることだ。ベッテルがドイツ出身であることも、メルセデスにとってはメリットになる。


 しかしベッテルは2017年末までの契約をフェラーリと結んでいる。フェラーリは今年は1勝もできずに低迷した。ベッテルはフェラーリのプロジェクトの今後の進行具合をじっくり見守っていこうと思うのか、アロンソがキャリア最高潮の時期をフェラーリで費やし、結局タイトルを取れなかったことを教訓とするのかが興味深い。

■ダニエル・リカルド:若くしてチャンピオンの素質あり
(byエド・ストロー)
 ドライバーたちのそれぞれの契約条件を無視して考えるなら、メルセデスにとって最もふさわしいドライバーはダニエル・リカルドだ。

 今年はマックス・フェルスタッペンへの称賛の声が多く、それも当然ではあるが、リカルドは27歳にしてすべての条件を備えたドライバーであり、タイトル獲得の力を持った、完成されたドライバーだ。メルセデスにとってはハミルトンの補完をするのに適任といえるだろう。


 ただしリカルドがレッドブルとの契約から抜け出すのは極めて難しく、不可能に近いかもしれない。しかしメルセデスがベストの選択肢を選びたいなら、リカルドがその筆頭になるのは間違いない。

■エステバン・オコン:フェルスタッペンに勝った実力の持ち主
(byグレン・フリーマン)
 ハミルトンのチームメイトにアロンソ、リカルド、フェルスタッペン、ベッテルが採用されたらどれだけ面白いだろう。確かにそうではあるが、契約問題を考慮して、そういった夢のシナリオは除外しよう。


 確かにオコンはフォース・インディアと来年の契約を結んでいるが、メルセデスはこのチームにパワーユニットを供給しており、交渉の余地はあるかもしれない。オコンはF3時代にフェルスタッペンに勝ってタイトルを獲得した実力があり、メルセデスはフォース・インディアから彼を引き上げることを考えるかもしれない。

 オコンなら有名ドライバーを獲得するまでのつなぎ以上の存在になる。彼を取るべきだ。

■カルロス・サインツJr:レッドブル陣営から引き抜くことも可能か
(byスコット・ミッチェル)
 どのチームも欲しがるだろうドライバーはリカルドとフェルスタッペンだが、このふたりはレッドブルと契約を結んでおり、移籍することができない。

 サインツは2016年のスターのひとりだ。チームメイトのフェルスタッペン相手に健闘、後に加入したダニール・クビアトには圧倒的に勝っている。レッドブルの上層部もサインツの力を認め、トロロッソとの3年目の契約を結んだが、彼自身は上位チームとの契約を望んでいる。


 レッドブルとの契約は1年のジュニア契約であるとみられ、メルセデスが誰かの契約を買い取るのであれば、サインツが最善の選択肢となるだろう。

 レッドブルは簡単にはサインツを手放さないだろうが、レッドブル・レーシングにシートの空きはなく、GP2でタイトルを獲得したピエール・ガスリーの存在もあり、あくまでもブロックするというほど強硬な態度は取らないものと考えられる。

■バルテリ・ボッタス:そろそろトップチームで戦うチャンスを
(byマーカス・シモンズ)
 個人的には2014年にF3でフェルスタッペンを破ったオコンを高く買っており、彼がメルセデスで走るところをぜひとも見たい。そういう心情ではあるが、論理的に考えたとき、バルテリ・ボッタスの存在を無視すべきではない。彼はウイリアムズで素晴らしい結果を出してきた。そろそろトップチームで力を見せるチャンスが与えられるべきだろう。それに、トト・ウォルフは彼のマネジメントに関わっている。


 確かにすでにウイリアムズとの契約を結んではいるが、ウイリアムズはメルセデスのパワーユニットを搭載しており、交渉の余地はなくはないだろう。ウイリアムズはランス・ストロールのチームメイトとして、ウェーレインを起用することができる。その他にもメルセデスはジョージ・ラッセル、フェリックス・ローゼンクビストなど多数の有能なジュニアドライバーを抱えており、彼らもウイリアムズの候補になるかもしれない。

■フェルナンド・アロンソ:最強ドライバーにタイトル争いのチャンスを
(byケビン・ターナー)
 この10年のF1で圧倒的に優秀なドライバーは誰かといえば、ハミルトン、ベッテル、そしてアロンソの名前が挙がるのは間違いないだろう。

 ミハエル・シューマッハーの黄金時代を終わらせた男が、その後10年もタイトルを取っておらず、いまだに2回しか王座に就いていないというのは間違っている。フェラーリは5年の間にアロンソの才能にふさわしいマシンを提供することがほとんどできなかったにもかかわらず、彼は3回ランキング2位を獲得した。マクラーレン・ホンダが彼に用意したマシンは表彰台に近づくことすらできないものだ。改善しているとはいえ、現在35歳のアロンソには残された時間は少ない。


 アロンソがメルセデスに移籍すれば、もう一度タイトル争いをするチャンスを得ることができる。彼にはそういうチャンスが与えられて当然であるし、何よりアロンソ対ハミルトンの戦いが再び見ることができるのはわくわくするではないか。

 アロンソは2017年末までの契約をマクラーレン・ホンダと結んでおり、メルセデスにとってはあまり現実的な選択肢ではないだろうが、エキサイティングという意味ではこれに勝るものはないだろう。

■ジェンソン・バトン:メルセデスなら引退撤回間違いなし
(byローレンス・バレット)
 もちろん今年でF1レースから引退し、来年は家族や友人たちとのんびり過ごす予定のバトンではあるが、メルセデスというワールドチャンピオンチームで走るチャンスが提供されるのであれば、断ることはできないだろう。

 バトンは経験を積んだドライバーであり、人付き合いもうまい。ハミルトンともマクラーレン時代にうまくやっていた。ハミルトンを上回る結果を出した実績もある。


 マクラーレン・ホンダはバトンと来季リザーブドライバー契約を結んでいるが、メルセデスがこれを買い取るのはさほど難しいことではなく、かかる金額も他のドライバーに比べればそれほど高額にはならないものと思われる。

 1年のみの契約というのは、バトン側にもメルセデス側にもうまく機能する。2018年になればメルセデスがベッテル、アロンソ、ボッタスと交渉する余地が出てくるし、その間にオコンとウェーレインを他のチームで経験を積ませることもできる。