5日前に2016年F1チャンピオンとなったばかりのニコ・ロズベルグが、自身の公式アカウントで引退を宣言した。メルセデスF1チームも、本人のコメントを掲載したリリースを発表。
2016年のF1チャンピオンに輝いたばかりのニコ・ロズベルグが、12月2日付けでF1から退くことを表明した。
オーストリアのウイーンで行われる2016年のFIA表彰式『プライズギビング・ガーラ』を目前に、ロズベルグは感傷的な内容のコメントを発表。今回の決定に至った理由は、先週日曜日に開催されたアブダビGPでのタイトルを獲得にあることを明かした。
ロズベルグはこれまでに206戦のグランプリに出場し、23戦で優勝。これはネルソン・ピケと同数で、優勝回数では歴代12位となる。また30回のポールポジション(歴代8位)を達成しており、ファステトラップは20回記録した。
先週日曜日、ロズベルグはメルセデスベンツ・シルバーアロー史上初のドイツ人チャンピオンとなった。
ニコ・ロズベルグ
「25年間にわたってレースを続けてきて、F1のチャンピオンになることは、ずっと僕の『たったひとつの』夢だった。懸命な努力と、痛みと、犠牲を払いながらの目標。そしていま、僕はやり遂げた。山を登り切って頂上に立ったのだから、この気持ちは正しい。いまの僕が抱く最も強い思いは、夢を実現させるために支えてきてくれた皆への、深い感謝だ」
「今シーズンは実のところ、とんでもなく厳しかった。失望の2年間を過ごした後で、どんな部分についても死に物狂いで攻めた。それが、これまでにはなかったレベルで僕のモチベーションに火をつけたんだ。当然、そのことは僕の愛する人たちにも影響を与えていた。家族全員が僕らの目標を優先し、犠牲を払ってくれた。妻のビビアンには、感謝の気持ちを伝える言葉が思い浮かばないほどだよ。彼女は素晴らしい人物で、今年が大事なチャンスの年になることを理解してくれた。レースとレースの合間に完璧に回復できるよう、僕のための空間も用意してくれた。娘の世話も毎晩しながら、困難な事態になったときにはそれを引き受け、チャンピオン獲得を第一に考えてくれたんだ」
「鈴鹿でのレースに勝ち、タイトル獲得という運命を自らの手の中に感じ始めたときから、大きなプレッシャーに襲われていた。そして、チャンピオンになった暁にはキャリアを終えようと考えるようになったんだ。アブダビでの日曜日の朝、これが最後のレースになるかもしれないと思ったら、そのことがレーススタート前に僕の頭をクリアにした。最後のレースになるかもしれないと考えていたから、すべての出来事を楽しみたくて……。そしてライトが消え、人生で最も強烈な55周が始まった。決めたのは、月曜日の朝。1日よく考えてから、まずビビアンとゲオルグ(ノルテ/マネージメントチームのメンバー)に伝え、それからトト(ウォルフ/チーム代表)に話したんだ」
「僕のせいで、レース界における家族であるチームが困ることになると思うと、それだけが気がかりでね。それでもトトは理解してくれたよ。彼は僕が完全に納得済みであることをすぐに察知してくれたから、安心した。レースキャリアのなかで最も誇り高い成果は、シルバーアローの素晴らしい面々とチャンピオンを獲得できたこと」
「いまの僕は、この瞬間を楽しむだけだ。これからの時間を堪能するときがきた。シーズンを振り返りつつ、今後の道のりで経験するすべてのことを楽しんでいく。人生の次のコーナーに差し掛かってから、何が僕を待ち受けているのかに目を向けるとしよう……」