文部科学省が「脱ゆとり」に自信を見せる――。時事通信が11月29日に報じた記事をきっかけに、ゆとり世代から反感の声が続々と集まっている。
記事は、2015年の国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)で小中学校の理数全てが過去最高点となったことを受け、「文部科学省は「脱ゆとり教育」路線に自信を深めている」と記述。文科省はTIMSSでの平均得点アップについて、「授業時間数の増加が一番大きい」などと分析しているという。
ゆとり教育で導入された授業時間の削減が、学力低下を招いたとして近年、文科省では学習内容を増やすなど教育方針の転換を行っていた。
「ゆとりが失敗と言うなら、その世代に補償はないのか!」
これに対して憤るのは、何かと問題視される「ゆとり世代」だ。現在13歳から29歳の人が該当するが、ネットでは、「脱ゆとりって言われると、やっぱり良い気はしない」「ゆとり世代からするとほんとに『ゆとりですがなにか?』って感じ」といった書き込みが殺到した。
「『これだからゆとりは』『ゆとりのくせに』ってバカにした挙句『脱ゆとりに自信』だの何だのと他人の子供を失敗作呼ばわりする気分ってそりゃあ最高でしょうね」
「脱ゆとりに自信って文言から読み取れるのは『お前らは失敗作です』ってことだもんな。教育受けた側がdisられるって普通になんで?」
「脱ゆとりっておれら実験動物かよモルモットかよ生贄かよ」
ほかにも、「脱ゆとりって文科省がゆとり教育を失敗みたいに言うなら、そのゆとり教育を受けさせられた世代に対する補償はないのか?」という意見もある。国の教育方針に振り回せれ、仕事でも「これだからゆとりは」とマイナスイメージを持たれてきたゆとり世代からすれば浮かばれないのだろう。
結局はつめこみ型に戻っているだけ?
一方、「脱ゆとり世代」の子供を持つ親からは、学校の勉強が「脱ゆとり」の反動できつくなりすぎている、という声もある。
「学校から時間割りが配られたんだが、 一年生で毎日5時間授業って、脱ゆとりスゲーな。 ゆとりが始まってなかった自分の時より 授業数が増えてるぞ」
「私が見ていても嫌になるくらいの宿題の多さだ。 脱ゆとり世代とはいえ土曜休みは続行だから詰め込みすぎなんだよ」
ゆとり教育はもともと、つめこみ型教育の弊害の軽減を目的に考えられたものだが、結局のところ昔の方針に戻っているだけ、という印象を受ける。
また、財務省は小中学校の教員を10年間で5万人減らす案を出している。しかし、「確実に言えるのは、生徒数減っても先生の数はこの詰め込み感では足りてない」という声も出ていた。