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道重さゆみ「再生」のインパクト 神格化されたアイドルはどこに向かう?

2016年11月30日 15:02  リアルサウンド

リアルサウンド

『道重さゆみオフィシャルブログ「サユミンランドール」』より

 道重さゆみが、11月26日に自身のオフィシャルブログ『サユミンランドール』にて、芸能活動を再開することを発表した。


(関連:卒業発表の道重さゆみに見る、アイドルがブレイクに至る"物語”の重要性


 道重は、2003年に第6期生としてモーニング娘。へ加入したメンバー。その後、グループの8代目リーダーを務め、同時にハロー!プロジェクトの4代目リーダー兼任も果たした。道重のリーダー就任後、モー娘。は『Help Me!!』を皮切りに『時空を超え 宇宙を超え/Password is 0』までのシングル5作で連続1位を獲得し、グループは再ブレイク。しかし、2014年11月26日横浜アリーナでの公演をもって人気絶頂の中でグループを卒業、同時に芸能活動も休止した。道重のモー娘。在籍期間は、歴代最長となる約11年10カ月にものぼる。


 道重が突如ブログを更新し始めたのは、10月2日のこと。グループ卒業翌日の2014年11月27日以来ちょうど2年ぶりとなる。「みなさん」というタイトルから、「ちなみに…」「しんごうき」「げーむ」「さかな」「ゆうじゅうふだん」「みくじ」「さらだ」「いるみねーしょん」「せめてものおもい」と続き、26日の「いちから」のエントリまでの全ての頭文字を繋げると、「み・ち・し・げ・さ・ゆ・み・さ・い・せ・い」のメッセージが完成。26日にアップされたブログの文面では「道重さゆみ…再生します!!」の宣誓の後に、続けて「と、いっても今すぐにではなく、来年春頃にさせていただきます。ライブとはまた違う、、新しい感覚のパフォーマンスを目指しています」と綴られている。


 モーニング娘。の再ブレイクを担った立役者であり、ファンはもちろんのことアイドルからも尊敬される存在であった道重さゆみ。いまなおファンをひきつけ夢中にするその魅力とは何なのか。『アイドル楽曲ディスクガイド』の編者であり、同事務所のタレントに詳しいピロスエ氏は、道重について「自己演出能力に長けたキャラクターであった」と分析する。


「今もなお神格化された域にある道重さんは、グループ卒業間際には各所から抜群に高い評価を獲得していた存在でした。しかし、加入当初を知るファンからすれば、その評価に違和感がある人も多いはず。道重さんと同期の6期メンバーには、藤本美貴さん、亀井絵里さん、田中れいなさんの3人がいますが、ほかメンバーに比べると彼女は歌もダンスも決して上手いとは言えない、「自分は可愛い」と言い張るナルシストキャラ。曲でもパート割りも貰えず、グループの中でも後列メンバーというのが最初の数年間でした。彼女にとって転機になったのが2007年に出演したクイズ特番『小学校教科書クイズ!!』(日本テレビ系)。珍回答連発で爪痕を残し、バラエティ界に足を踏み入れるきっかけを掴みました。その後、ナルシストキャラを毒舌キャラに変化させ、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)『中井正広のブラックバラエティ』(日本テレビ)などでブレイクを果たします。同年秋に『週刊文春』(文藝春秋)にて発表された『女が嫌いな女ランキング』では第10位に選ばれ、嫌悪感を与えながらも一般層にも知れ渡る知名度と存在感を獲得していきました。それと並行して“アイドルズアイドル”としての評価も高まっていった。今回の芸能活動再開発表後も、同じハロプロ所属であるカントリー・ガールズの山木梨沙さんなどが熱いブログを更新しています」


 今回の再開にまつわる道重からのメッセージとなった「道重再生」という言葉は、グループ卒業時に彼女から発せられたものであった。


「以前のハロプロでは、メンバーがデザインしたTシャツを自身のバースデーイベントで販売するという文化があったのですが、そこで道重さんが最初にデザインしたのが2011年の『道重一筋』という四文字と『わたくしは若い子には流れません。』という文字が書かれたピンクのTシャツでした。それがファンの間で評判になり、2012年には『結局道重』、2013年『今尚道重』、2014年『道重依存』。そして、横浜アリーナでの卒業コンサートで関係者向けに配布されたクリアファイル、およびコンサート後のブログに掲載された画像が、表に『道重終了』、裏に『道重再生』と『また、いつの日か…。』というメッセージが込められたものでした。ファンの間では2回目のブログ更新のタイミングですでに話題になっていましたが、こうしてファンに考察させる復活演出も、自己演出能力に長けたキャラクターである道重さゆみらしいと言えます」


 道重のブログには自身の活動について「ライブとはまた違う、、新しい感覚のパフォーマンスを目指しています。」と綴られているが、この言葉が示すものとは。


「“ライブとはまた違う”という言葉を深読みすると、生で観ることのできるコンサートとは違うものとも連想することができます。YouTuberやVR技術を使ったアイドル、ボーカロイド、アニメ声優……など様々な推測を立てることができますが、日刊スポーツは『復帰後はタレント業だけでなく、ステージでのパフォーマンスなどを含め検討していくとみられる』、デイリースポーツは『今後についてはソロで、歌手やモデルなどジャンルにとらわれない活動を目指す予定』、サンスポでは『表現者という部分に重きを置くため、軸足はバラエティーなどテレビではなく、パフォーマンス力が発揮できる“ステージ”に置く可能性が高そうだ』と報じています。モーニング娘。を卒業したOGメンバーは、タレントとして活動しているメンバーが多いですが、道重さんは人前に立つステージでの活動をしていくようですね」


 また、来年春頃という復帰時期は何を意味し、どのような内容となるのか。ピロスエ氏は道重のキャリアを振り返りこう予測する。


「来年2017年の上半期は、嗣永桃子さんのカントリー・ガールズ卒業と芸能活動引退、℃-uteの解散とハロプロにとってトピックが続きますが、春頃に芸能活動を再開する道重さんと嗣永さんはなんとも対照的です。道重さんは過去に多数のソロ写真集を出版していますが、2011年にセルフプロデュースで出したのが『Sayuminglandoll』という1冊。ブログタイトルとも同じであるこの写真集は、レトロモダンやゴシックなどコスプレ色の強いコンセプチュアルな内容でした。卒業タイミングに発表されたソロ曲『シャバダバ ドゥ~』もまたこの写真集の世界観に通ずるポップなものを感じさせます。今後、道重さんが何かしら活動していく中で、これらのようなカラフルでポップな世界観がまた展開されていくのかもしれません」


 2年前の横浜アリーナにて華々しく卒業コンサートを行った道重さゆみが芸能活動を再開する。活動の内容は未だ明らかになってはいないが、どのような形であれ再びファンを歓喜させてくれることは間違いないだろう。


(渡辺彰浩)