マクラーレンのエグゼクティブディレクターに就任するザック・ブラウンが、2018年シーズンに向けてタイトルスポンサーの獲得を目指していると語った。来年のスポンサーを探すには、もう時期が遅すぎると思われるからだ。
2013年の終わりにボーダフォンとの契約が終了して以来、マクラーレンはタイトルスポンサーを持たずに活動を続けている。来月から正式にチームでの仕事を始めるブラウンは、この状況を変えることが重要だと述べた。
「商業的な面では、タイトルパートナーがきわめて重要になることは明らかで、それこそ私が最も深く関わっていく部分でもある。だが、私は2018年に目標を置いて、この仕事を始めるつもりだ。2017年はもうすぐそこに迫っているし、いまのところ、これといった秘策があるわけでもないのでね」
この新しい仕事について質問を受けたブラウンは、より多くのスポンサーを呼び込むことは、3つの大きな目標のひとつだと述べた。
「どれが最重要ということではない。スツールは同じ長さの3本の脚があって初めて安定する。この世界で成功を収め、よいエコシステムを作るには、3つの要素のすべてが必要だ」
「第一の要素はファンだ。マクラーレンはF1と一体となって、顧客であるファンとの関わり方を改善していけると思う。より多くのファンを集めるほど、スポンサーも集まってくる。私たちが目指すのは、ファンに私たちのスポンサーの製品やサービスを買ってもらうことだ」
「そして、より多くのスポンサーを集めれば、クルマを速くするためにレースチームに投入する予算もそれだけ増やせる。クルマが速くなれば、それに応じてチームのファンも増えるだろう。ファンは自分が応援するチームが上位を争うのを見たいからだ」
「これら3つの要素(ファン、スポンサー、パフォーマンス)のどれもが重要で、3つすべてをうまく揃える必要がある。どれかひとつだけがうまく行っても、システム全体を機能させることはできない」
モータースポーツ界屈指のスポンサーハンターのひとりとされるブラウンは、マクラーレンが3年間にわたってタイトルスポンサーを持てなかったのはなぜかとの質問に答える中で、新しいタイトルスポンサーの獲得は容易ではないことを認めた。
「誰にとっても難しい環境になっている。ブレグジットやアメリカ大統領選挙などもあって、この世界では経済的な意味で強い向かい風が吹いている。(F1の)スポンサーシップは決して安価なものではない。だが、その価値は大きく、しかもグローバルなものだから、じっくり考えてみれば出費に見合うだけの値打ちはあるはずだ」
「私は(マクラーレンの)インサイダーではなかったから、実際のところは知らないが、契約直前まで行きながら決まらなかったスポンサー候補が、いくつもあったかもしれない」
「私は魔法の杖を持っているわけではないし、2018年にタイトルパートナーを獲得するのも、簡単なことではないだろうと思っている」
さらにブラウンは、近年になってスポンサー候補となる企業の要求は大きく様変わりしており、交渉を成功させるには、柔軟な姿勢がカギになると述べた。
「私はスポンサー企業を見つけ、その関係を維持する仕事で、22年の経験を積んできた。そうした企業がどのように運営され、何を求めているか、かなりよくわかっているつもりだ。彼らの要求は5年前とは変わってきているし、もちろん10年前、15年前、20年前とも違う」
「重要なのは広告の効果測定であり、投資に対するリターンだ。そして、他のスポーツとの競争も、かつてないほど激しくなっている。市場を正しく理解するのは、ますます難しい仕事になりつつある。成功へのカギとなるのは、柔軟な姿勢だろう」