F1アブダビGPにおいて、ルイス・ハミルトンがチームメイトのニコ・ロズベルグに対する行為を予測しなかったメルセデスは「浅はか」だったと、レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーが語っている。
ハミルトンはレース終盤、レッドブルのマックス・フェルスタッペンとフェラーリのセバスチャン・ベッテルがロズベルグに追いつけるほどの速度で走行しており、何度か無線でペースを上げるよう指示されていた。レッドブルが同じ状況に陥った場合、ホーナーはドライバーに干渉しないと語った。
「あの状況では、彼ら次第でしかない。ふたりの間でしか起きないバトルだろう。おめでとう、ニコ。彼は素晴らしいシーズンを過ごして、非常に価値あるチャンピオンとなった。けれどもあの状況で、あれ以外のアプローチが存在したと考えるのは浅はかだ」
チャンピオンの座を失いかけていたハミルトンの戦略は正当なものであり、批判されるべきではないとホーナーは付け加えている。
「ルール内での駆け引きだった。今日の彼にしてみれば、レースに勝つだけでは十分とは言えなかったんだ。ロズベルグとの間に入ってくるマシンが必要で、ペースを上げて距離を離してしまったら、可能性はなくなっていた」
「できる限り遅いスピードでレースに勝った。それはサッカーで言えば、敵にボールを渡さないようにパスしながら守っているのと同じことだ。チャンピオンをかけて戦っているドライバーはふたりしかおらず、ハミルトンがああいった行動に出るだろうことは、わかりきっていた。汚いことは何もしていないし、ルールに反してもいない。彼のドライビングを批判するのは、フェアじゃない」
メルセデスモータースポーツのトップであるトト・ウォルフは、ハミルトンがこうした戦略を採る可能性について、レース前にチームで話し合いを持ったことを認めている。ハミルトンの行為はサプライズではなかったとはいえ、ウォルフは彼がどのような選択をするかについては、不確かだったと言う。
「可能性の高い筋書きだったため、多くの話し合いが持たれた。ニコが後方からのプレッシャーに脅かされていた場合、ルイスがああいった形でチャンピオンを獲得を狙う可能性は確かにあった。そして、実際にそうなったので驚きはしなかった。全開で行くのか、それとも別の方法なのか、どんな手に出るかは定かではなかったんだ。それでも我々は、計算には入れていた」