先日、ツイッターで「これの使い方知ってる人RT、知らなかったり見た事ない人ふぁぼ(いいね)お願いします」という投稿が話題になっていた。画像もついているが、なんの変哲もない缶切りだ。
11月30日時点で、当該ツイートは約2万1100リツイート、「ふぁぼ」は約1300という結果になっている。つまり缶切りを知っている人が多数派ではあるが、缶切りを知らない、という人もまた1000人以上はいたようだ。「98年生まれですが初めて見ました…」という反応もある。(文:松本ミゾレ)
昔は必需品だった缶切り、今はもうお役御免っぽよね
缶切りと言えば、個人的に印象深いのがフルーツの缶詰、それも黄桃がシロップに浸かっていたやつを思い出す。僕は子供の頃、桃が好きだった。だけどこの黄桃の缶詰は甘ったるくて苦手で、いつも祖母に「桃は好きだけどこの缶詰は嫌い」と伝えていた。
しかし僕の祖母は、「孫は桃が好き」という情報は覚えていても、「黄桃はNG」とまでは覚えていなかった。このため、しょっちゅうこの缶詰を買ってきては、缶切りで器用に開けて、僕に「食え」と差し出してきた。
そんな祖母は今も健在。この思い出話を聞かせたところ「ああ、最近はあの缶詰売ってないね」と返してきた。そう、今の時代、缶詰は売っていても、いずれもプルトップ型で、開けるのに苦労しない。昔のように、缶切りでギコギコやる必要がないものばかりになっている。
そのおかげで、若者の中には、缶切りを家に置いてないとか、そもそも缶切りを使ったことがない人も増えているようだ。
若者の「缶詰離れ」も起きている?
缶詰と言えば何と言っても保存食の定番だが、「しらべぇ」というニュースサイトが、昨年11月に興味深い記事を出している。
全国の1381人に、家に缶詰があるかどうかアンケートを実施したところ、79.5%が「ある」と答えていたという。
しかし、年代性別別にみると「ある」と回答した割合は50~60代では男女ともに80%以上なのに対し20代女性では68.2%、同じく20代男性では58.5%となっている。若者の缶詰離れも起きているようだ。
また、昨年5月、象印マホービンが行ったアンケート調査も面白い。首都圏在住の小学生の子どもがいる母親に聞いているのだが、これによると、自分の子どもが缶切りで缶詰を開けることが「できる」と回答したのは、全体の20.7%だったとされている。
また、「できない」が19.5%。もっとも多かったのが「やらせたことがない」で、こちらが59.8%だった。
家に缶詰があっても、開けるために缶切りが不要という便利なものばかり。一応缶切りはビール瓶などのラベルを外すなどの使い道もあるにはあるけど、今の時代、もうなくても誰も困らない。
缶切りを見たことがなかったり、使い方が分からない若者が増えているというのは、それだけ日本が便利になっている証ということだろう。何より缶切りって、扱いが悪いと思わぬ怪我を招くこともある。見た目もちょっと危なっかしいし。缶切りを用いずとも気軽に開けることのできる缶詰。消費者目線では素晴らしいことだ。