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整体施術後にシビれ「ヘルニアの可能性が高い」…賠償を得るための高い壁

2016年11月29日 10:32  弁護士ドットコム

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知人に勧められたチェーンの整体院に行ったら、怪我をしてしまったかもしれない。そんな人が、弁護士ドットコムの法律相談に質問を寄せました。知人に勧められて行ったお店を気に入り、回数券を買って通うようになったものの、徐々に「(施術)翌日に痛み、最後には痺れやだるさを感じるようになってしまいました」。


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そこで、整形外科を受診したところ「ヘルニアの可能性が高い」と言われたそうです。相談者としては、原因は整体院での施術以外に思い浮かびません。そこで「回数券(未使用分)の返金」「施術代全額の返金」「整形外科治療費請求」などができないかと聞いています。


施術行為によって怪我などを負った場合、民法の「不法行為」や「債務不履行」があったとして、返金が認められる可能性もあります。しかし「事実の証明」が必要であるため、賠償責任が認められるのは、難しいようです。なぜ難しいのでしょうか。羽賀千栄子弁護士に聞きました。


 ●「事実の証明」をするのは相談者


現時点では、「ヘルニアの可能性が高い」ということで、診断はついていないようです。仮に、ヘルニアと確定診断されたとしても、その前提として、「整体院で施術を受けるまでヘルニアではなかった」という事実が証明されなければなりません。


そして「整体院に行くまではヘルニアではなかった」、「整体院に行った直後にヘルニアだった」という事実が証明できたとしても、裁判になれば、「整体院のどのような施術により、どのような経過をたどってヘルニアになったのか」という主張・立証責任は、原告であるあなた(相談者)が負うことになります。


それとともに、その施術が整体師の注意義務に違反している、という、整体師の過失も主張・立証する必要があります。損害賠償請求は、過失の立証と因果関係の立証が成功して初めて認められます。


しかし裁判で、前述したような因果関係や過失を証明するのは困難でしょう。それらを基礎づける事実を証明するためには、相談者側の立証責任として、整体院側にも資料を提出させる必要があります。整体院に、どの程度の施術の記録があるのか分かりませんが、上記を証明できるような「身体の各部に対し、どの程度の力を入れたのか」などの記録が残っているなど、資料があるとは考え難いからです。


被害を訴えて、整体院と交渉して、任意の対応を期待することはできるかもしれません。しかし、整体院が対応を拒否した場合、それを強制することは困難と思われます。


【編集部より】羽賀弁護士の解説にあるように、過失や因果関係の立証は難しい現実があります。しかし、今回の相談に限らず、法的資格制度がない整体でのトラブルは珍しくありません。お店選びは慎重にする必要がありそうです。




【取材協力弁護士】
羽賀 千栄子(はが・ちえこ)弁護士
弁護士登録後2年目から30年間近く、患者側で医療過誤事件に取り組んでいます。事案を冷静にきちんと調査することにより、医療過誤事件か否かを峻別することも大切な仕事であると考えています。
事務所名:羽賀千栄子法律事務所
事務所URL:http://hagalaw.cool.coocan.jp