2016年11月28日 17:52 弁護士ドットコム
歌手のASKA(本名:宮崎重明)さんが覚せい剤を使用した疑いが強まったとして、警視庁が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕する方針を固めたと11月28日に報じられた。ASKAさんは覚せい剤を使用したとして有罪判決を受けて、執行猶予中だった。一方で、ASKAさんは同日、ブログを更新して「間違いですよ」と否定している。
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報道によると、ASKAさんは11月25日夜、東京・目黒区の自宅から「盗撮、盗聴されている」とみずから110番通報した。警察官が駆けつけると、ろれつが回らない状態だったことから、警視庁が検査した結果、ASKAさんの尿から覚せい剤の陽性反応が出たという。
今回の報道を受けて、ASKAさんは自身のブログを更新した。「はいはい。みなさん。落ち着いて。間違いですよ」「何の、問題もありません。ずべて(ママ)、フライングのニュースです。これから、弁護士と話をいたします」と逮捕に関する報道を否定している。
ASKAさんは、覚せい剤などを使用したなどとして、覚せい剤取締法違反の罪などに問われて、懲役3年・執行猶予4年の有罪判決を受けた。ASKAさんが今回逮捕された場合、執行猶予にどのような影響があるのだろうか。田沢剛弁護士に聞いた。
「一般に、前回の有罪判決で言い渡された執行猶予の期間内に、さらに罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないときは、前回の執行猶予の言渡しは必要的に取り消されることになっています(刑法26条1号)。
執行猶予中に逮捕されただけでは、前回の執行猶予が取り消されることはありませんので、その逮捕自体が通常の逮捕と異なるということはありません」
今回のASKAさんのケースはどうだろうか。
「ASKAさんは2014年9月に懲役3年・執行猶予4年の有罪判決を受けています。再び覚せい剤使用ということで有罪判決を受けて、そのときに再度の執行猶予が付されない場合、前の執行猶予が取り消されることになります。
新しい有罪判決で言い渡される懲役刑と、前の判決で言い渡された懲役3年の刑とを合わせて服役しなければならなくなります。
もしも、前回の有罪判決のときの執行猶予が保護観察付き執行猶予であった場合、その猶予期間中の覚せい剤使用で、再び執行猶予付き有罪判決が言い渡されることはなく(刑法25条2項ただし書)、当然に実刑判決となります。
前回の有罪判決自体が覚せい剤使用事犯の初犯としては、重い量刑となっていたことを考えますと、前回が保護観察付き執行猶予でなかったとしても、再度の執行猶予は望めない、つまりは実刑判決となる可能性が高いといえます」
芸能人などが覚せい剤使用するなどして逮捕される事件は絶えない。
「報道などによると、ASKAさんは前回の有罪判決以降、覚せい剤を断ち切るための努力を続けて来られたように聞いています。
もしも、今回の使用が本当であれば、覚せい剤を断ち切ることが、いかに難しいものであるかを物語ることになります。芸能人の薬物事件が繰り返されていますが、安易に薬物に手を出すとどんな危険が待ち受けているのか、芸能界だけでなく、一般人たちにも肝に銘じていただきたいと思います」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
田沢 剛(たざわ・たけし)弁護士
1967年、大阪府四条畷市生まれ。94年に裁判官任官(名古屋地方裁判所)。以降、広島地方・家庭裁判所福山支部、横浜地方裁判所勤務を経て、02年に弁護士登録。相模原で開業後、新横浜へ事務所を移転。得意案件は倒産処理、交通事故(被害者側)などの一般民事。趣味は、テニス、バレーボール。
事務所名:新横浜アーバン・クリエイト法律事務所
事務所URL:http://www.uc-law.jp