2016年F1第21戦アブダビGP、決勝トップ10に入ったドライバーたちが日曜日を振り返った。
■メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム
ルイス・ハミルトン 決勝=1位
このチームでの32回目の優勝を挙げた。チームの皆に感謝したい。それから、ニコ、初タイトル獲得おめでとう。いい仕事をしたね。
(自身のタイトル獲得のチャンスに期待し、ゆっくり走ってロズベルグを押さえつけて後続に追いつかせたこと、チームからペースを上げるよう繰り返し指示されてもそれに従わなかったことについて聞かれ)彼らがなぜ自由にレースさせようとしないのか分からない。(ペースを上げなければ)優勝を失うというような危険を感じたことは(レース中)一度もなかった。
残念だけど、彼らの思考プロセスは明らかだ。僕から言えることはない。
僕は今日、危険なことも不正なこともしたつもりはない。僕らはタイトルを争っていたんだ。僕がレースをリードしていた。だからペースをコントロールした。それがルールだ。
僕はシーズンを通して大量にポイントを失ってきた。だからコース上で戦っている。チームに損害を与えるようなことをするつもりは一切ない。でもコンストラクターズ選手権はすでに獲得済みで、今日は(ドライバーズタイトルを)僕とニコのどちらが取るかの戦いだった。なのにチームは干渉する必要があると考えた。
彼らがなぜ自由にレースをさせようとしなかったのか分からない。僕はトップを走りながらタイトルを失いつつあるのを知っていた。でもレースを失いつつあるとは一度も思わなかった。
後でこれについては話し合うつもりだ。でもこのことで、ニコがタイトルを獲得したことにあまり注目が集まらなくなってしまうのは絶対によくない。タイトルを取るのはすごくうれしいことだからね。
僕も気分はいいよ。今年はやれることすべてをやった。特に終盤はそうだ。だけどニコは1年を通して大きな問題に見舞われることなく過ごしてきた。だから最終的に僕らはこういうポジションにいるわけだ。彼は素晴らしい仕事をしたから祝福したい。来年また戦うのが楽しみだ。
■メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム
ニコ・ロズベルグ 決勝=2位
(父ケケと共に)ふたりのロズベルグがチャンピオンになった! 最高の気分だよ。
でも、当分こういう(レースの)経験をしないで済むといいな。マックス(・フェルスタッペン)とのバトルや、終盤(前を走る)ルイス(・ハミルトン)がスロー走行したことによるプレッシャー……。この時の気持ちは現実とは思えなかった。クレージーだ。あまりにも緊迫していたから(忘れるには)時間がかかるだろう。
最後の数周、ふたり(セバスチャン・ベッテルとフェルスタッペン)が後ろに迫っていて、もし彼らの後ろに落ちてしまったら、すべておしまいだった。楽しめるわけないよ!
(レースをリードするハミルトンがゆっくり走り、ロズベルグを押さえつけて、後続に追いつかせたことについて)こんなことは予想していなかった。これについては話し合う必要があると思う。
だけどルイスの気持ちも理解できる。ワールドチャンピオンシップが懸かっているんだ。僕らドライバーはそのためにコース上で戦っている。彼が何かトライしたいと思ったことは理解できる。
ルイスはすべてのスキルを駆使して完璧にやっていたから、僕には抜くことができなかった。神経が張りつめて、走っている時にあんな気持ちになったのは初めてだ。
終わって本当にうれしい。今は有頂天になっている。
■スクーデリア・フェラーリ
セバスチャン・ベッテル 決勝=3位
今日は僕らにとって重要なレースだったと思う。最後の数周で、できればあと2つ順位を上げたかった。それだけのスピードはあったからね。ただ、前のクルマもトウ(スリップストリーム)を使っていたので、オーバーテイクを仕掛けるのは難しかった。
それでも、僕らはチームとして、このポディウムフィニッシュに相応しい仕事をしたし、この結果がみんなの励みになればいいと思う。今年はタフな年になり、浮き沈みも激しかったから、今日の結果には心から満足している。2016年の全般的なパフォーマンスに関して、言い訳を考える必要はないと思っている。もっと良い成績を期待していたのは確かだけど、取れるはずのポイントをずいぶん取り逃がした前半戦以降は、そこから立ち直ることによって本当の強さを示せたと思うからね。
特にここ2、3戦では、レースペースはとても速くて、レッドブルと十分に戦えるか、場合によっては少し上回るほどだった。ただ、予選では彼らに先を越されてしまい、決勝の戦いが難しいものになっていたんだ。
全体としては、このチームが持つスタミナを証明できた。気持ちは挫けていないし、これからもハードワークを続けていくよ。フェラーリはトップに返り咲くべきチームなのだから。今年僕らは多くのことを学び、大きな進歩を実現してきた。
ともあれ、今日の主役はニコ(・ロズベルグ)だ。彼は本当によくやったよ。幸運だけで選手権を勝ち取ることはできない。こうしてタイトルが与えられたのは、彼の努力や姿勢が認められた証だと思う。彼はチャンピオンに値するドライバーだ。
(ロズベルグとのバトルについて聞かれて)他のマシンのすぐ後ろを走っていると、スライドし始める。僕はフロントタイヤに苦しんでいたから近くを走り続けるのが難しかった。
やれることはやった。ニコはうまく防御していた。それに彼はルイス(・ハミルトン)からトウを得ていたんだ。トウがなければ僕にチャンスがあったと思う。
(Expressに対して語り)終盤は難しい状況だった。ルイスが汚い手(注:故意にペースを落としてロズベルグを押さえつけていたこと)を使っていたからだ。ルイスは後続がニコに追いつけるようにしていた。
でも僕はふたりを抜くことができなかった。ニコより僕の方が速かったけど、それはルイスがペースを落として走っていたからだ。それに彼らはストレートでものすごく速かったし、ニコは防御がとてもうまかった。その上、ルイスがニコのすぐ前にいたから、僕も無茶はできなかった。隙間に飛び込んだら彼にヒットしてしまうかもしれなかったからだ。
■レッドブル・レーシング
マックス・フェルスタッペン 決勝=4位
自分の結果にもレースの展開にもすごく満足している。ターン1(でのスピン)の後、最後尾に落ちてしまい、そこからポジションを上げていかなければならなかった。そのために1回ストップに切り替えて全力を尽くした。それが最善の選択だったし、うまくいったからうれしい。
2回ストップのドライバーたちから攻撃されるだろうことは分かっていた。彼らの方がタイヤのライフが残っている状態だから、終盤セブ(ベッテル)を押さえ切るのは不可能だったと思う。それでも自分より1回多くピットストップをした人たちより前でフィニッシュできたんだから、この結果に満足すべきだね。しかも優勝にすごく近い位置だったんだから。
スタート直後に接触して、そのせいでスピンしたのは残念だった。でもあれは単なるレーシングインシデントだ。ああいうことは時には起こるものだ。
ルイス(・ハミルトン)は(タイトル争いのライバル、ニコ・ロズベルグのポジションを落とさせる狙いで)ペースを落として後続を押さえつけようとしていたのだと思う。僕も彼の立場なら同じことをしたと思うよ。タイトルを取るためならそういうことをやってみるべきだ。
ランキング5位を獲得することができてとてもうれしい。シーズンの間に何度かとてもいい結果を出せた。昨日の走行を終えた段階ではあまり満足していなかったけれど、今日はいい結果で締めくくれた。僕にとって特別なシーズンだった。来年が始まるのが待ち遠しいよ。もっと成功を収めたい。
■レッドブル・レーシング
ダニエル・リカルド 決勝=5位
5位なんだからあまり落ち込みたくはない。でも選んだ戦略による結果にがっかりしている。スタートではスーパーソフトを履き、とてもうまくいっていた。でもキミ(・ライコネン)に対してオーバーテイクを仕掛けて、あと一歩だったけど成功しなかった。あれが痛かった。
もう少し長くスティントを取って、1回ストップにすべきだったと思う。そうはいっても、後から言うのは簡単だよね。
1コーナーでマックス(・フェルスタッペン)がスピンするのがミラーで見えて、彼のレースは終わったのだと思っていた。ところが1回ストップで表彰台争いをしたんだ。いい仕事をしたね。今日はスーパーソフトのパフォーマンスがよかったから、2回ストップ戦略を取ったことが響いたと思う。
ニコ(・ロズベルグ)に敬意を表したい。ワールドチャンピオンになるって最高の気分なんだろうね。(ルイス・ハミルトンとロズベルグの)ふたりが最後まで互いにプッシュし合って、タイトル争いがこんな風に続くのが見られてよかった。
シーズン全体を見れば、ものすごくハッピーだし、すごく満足している。今年は悪いときよりいいときの方が間違いなく多くて、表彰台に何度も上り、満足いくレースができたし、たくさんポイントを稼げた。可能なときにはそういう戦いに加わってきたから、2016年はいい年だったよ。
まだ来年のことばかり考えるつもりはないけど、テストがスタートする2月の朝目覚めてマシンが速かったなら、(タイトルを懸けて)戦ってみせるよ。
■スクーデリア・フェラーリ
キミ・ライコネン 決勝=6位
僕にとって楽なレースではなかった。クルマは決して悪くなかったけど、タイヤを持たせるのが難しくて苦しんだ。特にフロントを良い状態に保つために、ずっと苦労していたんだ。
スタート直後はいいポジションにいた。だが、ソフトの1セット目で苦戦を強いられて、順位を失うことになった。それでもスティントの終盤にはグリップが戻ってきて、持ち直したんだけどね。
セブ(ベッテル)が迫ってきた時には、彼が違う戦略で走っていることを知っていたから、すぐに先に行かせた。
言うまでもなく、今年は厳しいシーズンになり、チームとして望んでいた形には程遠かった。ただ、最近はすべてがうまく行っているし、きちんとやるべきことをやっている。僕らに必要なのは、この調子で仕事を続けることだ。クルマが大きく変わる来年こそ、僕らが本来いるべき位置にいられることを願うよ。
■サハラ・フォース・インディアF1チーム
ニコ・ヒュルケンベルグ 決勝=7位
実際のところ、特に厄介なこともなく孤独なレースだった。上位6台はまるで手が届かないところにいて、主な競争相手はチームメイトだったからね。
ターン1ではちょっとした出来事があって、マックス(・フェルスタッペン)にヒットされたんだ。僕のクルマはフロアが少し傷んで、ややハンデを負うことになった。ただ、幸運なことに、それでもポジションを保てるくらいのペースは維持して、この結果を持ち帰ることができた。
フォース・インディアでの最後のレースでいい成績を残し、チームが選手権を4位で終える手助けができてうれしいよ。今年はチームの全員がすばらしい仕事をした。それは間違いなく賞賛に値するし、祝福されるべきだと思う。おかげで僕は、たくさんの楽しい思い出を携えて、このチームを去ることができる。これからもずっと、フォース・インディアは僕にとって大切なものであり続けるだろう。僕はここでとても多くのことを学び、チームが僕をさらにいいドライバーにしてくれた。僕らは一緒に育ってきたようなもので、こうして獲得した成績を誇りに思う。
■サハラ・フォース・インディアF1チーム
セルジオ・ペレス 決勝=8位
今日のレースには満足している。予選と同じ順位でフィニッシュできたからね。レースの大部分は淡々としたものだったけど、終盤にフェリペ(・マッサ)の追撃から逃げ切らなければならなくなり、ちょっとだけ緊迫した。何とかニコ(・ヒュルケンベルグ)とのギャップを詰めようと思って、どのスティントでも最初は思い切りプッシュしたものの、結局は彼のすぐ後ろでフィニッシュすることになった。でも、こうしてポイントを獲得してシーズンを終え、好成績のすばらしい年を締めくくることができてうれしい。
やっとシーズンも終わったので、僕はメキシコに帰って、しばらく休暇を楽しむつもりだ。激しい戦いが続いた長い一年だったから、友人や家族と過ごすオフが楽しみだよ。今年僕らが成し遂げたことを思い起こしながら、楽しい休日が過ごせそうだ。そうして少しリラックスしてから、2017年に向けての仕事に戻るんだ!
■ウイリアムズ・マルティーニ・レーシング
フェリペ・マッサ 決勝=9位
今日はレースのファイナルラップまで、キャリア最初のラップのように戦うことができた。それがすごく誇らしいよ!
皆にお礼が言いたい。ずっと一緒にいてくれた人たち、一緒にレースをした人たち全員に感謝しているんだ。もちろんファンの皆とウイリアムズチームにもね。チームのことはこれからも応援し続けるよ。これまでの僕の活動に関わって来たすべての人たちにもありがとうと言いたい。キャリアをスタートした時と同じく、堂々とキャリアを終えた。
マシンをいつも以上に労わったよ。これから僕のものになるからね。素敵な贈り物をくれたウイリアムズに改めて感謝する。
■マクラーレン・ホンダ・フォーミュラ1チーム
フェルナンド・アロンソ 決勝=10位
いいレースだったし楽しかったが、同時に難しくもあった。
フォース・インディアとウイリアムズ相手にほとんどできることがなかった。それでも最終ラップまで戦い、(前のフェリペ・マッサに)かなり接近した。今日1ポイントつかむことができてよかった。コンストラクターズ選手権(6位)とドライバーズ選手権(10位)のポジションを確保することができて喜んでいる。
全体的に見て、今シーズンはポジティブなものだった。2015年と比べると大きく進歩したことを証明した。とはいえ僕らが望んでいるのはワールドチャンピオンシップを制することだ。それを実現できるようになるまでにはまだ長い道のりがある。この後、長い冬を迎える。より競争力が高いパッケージを携えて(開幕戦)オーストラリアに行けるよう、努力していくつもりだ。
ジェンソン(・バトン)の最後のレースが早々に終わってしまったのは残念だ。でも彼は来年も僕らのそばにいてくれる。新しい役割を担う彼は僕らチームの大きな財産となるだろう。
最後になったが、ニコ(・ロズベルグ)のタイトル獲得を心から喜んでいる。彼は素晴らしいシーズンを送ってきた。チャンピオンにふさわしい。常に自分の可能性を信じ、アドバンテージを最大限に利用した。彼もルイス(・ハミルトン)も素晴らしい仕事をしたけれど、今年はニコが取る番だった。ルイスはもう3回もタイトルを取っているしね!