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草なぎ剛、『嘘の戦争』で完全復活なるか? 名演出家らが評価してきた俳優の顔

2016年11月27日 06:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2016年12月31日をもって解散が決定しているSMAP。2017年1月から、ジャニーズ事務所所属の「中居正広」「木村拓哉」「稲垣吾郎」「草なぎ剛」「香取慎吾」として、それぞれ個人で活動をすることになる。次々と年明け以降のスケジュールが明らかになっているが、その中でも草なぎ剛が主演を務める『嘘の戦争』(フジテレビ系)に注目が集まっている。『嘘の戦争』は、2015年に放送され、草なぎの演技が絶賛された『銭の戦争』(フジテレビ系)の第二弾。脚本の後藤法子、監督の三宅喜重をはじめとしたスタッフが再び集まることもあり、期待が寄せられているのだ。


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 草なぎは、役者として多くの実績を残してきた。『黄泉がえり』、『日本沈没』、『BALLAD 名もなき恋の歌』など数々の映画で主演を務め、テレビドラマ『いいひと。』(フジテレビ系)、『僕の生きる道』(フジテレビ系)、『任侠ヘルパー』(フジテレビ系)などでも名作の誕生に一役買っている。しかも、どの作品も多くの人に知られている大ヒット作品である。


 徹底して役に向き合う草なぎの演技は、繊細かつストイックだ。一見淡々と演技をしているように見えるが、その中には複雑な表情の移り変わりが見て取れる。演出家・脚本家の松井今朝子氏も、自身のブログで「草なぎという人は本当にふしぎなくらいピュアな役者で、小さな舞台だとそれが余計際立つ」と綴っていたことがあった。草なぎのストイックさを表す演技として象徴的だったのが、『僕の生きる道』で心臓マッサージを施されるシーンだ。テレビ画面に映し出された、肋骨がくっきりと浮かびガリガリに痩せ細った草なぎの体を見て、息を呑んだのを今でも覚えている。


 そんな全身全霊で演技に取り組む草なぎが、スタッフ・共演者から高い評価を得ていることは有名だ。例えば、劇作家・演出家の故つかこうへい氏は草なぎを天才と評し、「僕は高倉健さんになって欲しいと思っているんですけどね。あいつこそ高倉健になるひとじゃないかと思ってて」との言葉を残している。また、脚本家・演出家の三谷幸喜氏も「舞台『burst!』に出て貰った時、彼の俳優としてのすごさを知った。役者に役が“乗り移る”瞬間を、僕は初めて見た」と語っている。


 名だたる人々から、これだけの賞賛を集める草なぎが約2年ぶりに連ドラの主演を演じる『嘘の戦争』。注目が集まるのも納得である。草なぎ自身も、「2年ぶりに、顔なじみのスタッフが揃うので、楽しいものが出来るんじゃないかと今からワクワクしています。」、「出演者のみんなとエンターテインメント性の強いドラマを作りたいなと思います」(出展:『嘘の戦争』公式サイト)と前向きなコメントをしており、気合いも充分感じ取れる。


 『嘘の戦争』は、幼いころに家族を殺された男が天才的な詐欺師となって復讐を果たそうとするストーリー。草なぎ演じる、主人公の浩一は天才詐欺師にも関わらず、お金に無頓着、才能はあるのに欲はない、何を企んでいるか予測不能なクールな男だという。草なぎは、「ウソをついても顔に出ちゃうみたいなんですよ(笑)、すぐバレちゃう」とコメントしており、詐欺師のように人を騙すことは苦手な様子。しかし、だからこそ今回も三谷幸喜氏が言う「役を乗り移らせている」草なぎを見ることができるのではないか。昨今、演技の仕事は控えめであったが、「天才」「SMAPの中で一番の演技力」と言われていた、俳優・草なぎ剛が復活するのは遠くないかもしれない。


(文=高橋梓)