ヴィンチェンツォ・ソスピリ・レーシング(VSR)で大激戦のFIA-F4イタリアで2シーズン目を戦い抜いた、高校生ドライバー佐藤万璃音(さとうまりの)に今季を振り返った。
■17歳にして“達観”、“解脱”を知る
「イタリア・フォルリで2年目の田舎生活を終え、現在は日本へ戻っています。1年目は生まれ故郷の横浜との環境の違いに戸惑う場面も少なくありませんでしたが、2年目ともなると“ここには何もない”という状況にすっかり慣れてしまい、達観や解脱といった言葉の意味を17歳にして知りました(汗)」
「レースやトレーニングや学業や家事の合間、フォルリのアパートでの唯一の息抜きはアニメやラノベ(ライトノベル)、ゲームでした。自分が好きなことに集中し、現実逃避している時間がもっとも気分が落ち着きました」
「もし、僕に続いてイタリアなど外国でレース活動する人がいるならアドバイスとして、“インスタント麺だけは必ず持って行け!”と(汗)。あと、異国で生活するにあたって大事なのは、これまで見たり感じたりしなかった出来事との正面衝突も、受け入れたり受け流したりできる心の持ちようです」
「また、語学は非常に大事です。これは学校に行かなくても自宅でもできますし、一生懸命に取り組んで欲しいですね。第一外国語としての英語はレース活動をするにあたって絶対に必要ですし、住む国や所属するチームの国の第二外国語まで話せると何かと有利ですし便利。現地で彼女も作りやすいと思います。もっとも、残念ながら僕はまだそうした経験がありません……(汗)」
■優勝5回とチャンピオン争いが目標だったが……
「さて、FIA-F4イタリア参戦2シーズン目は、最低5回の優勝とつねにチャンピオン争いに絡むという目標を掲げて開幕を迎えました。しかし、甘かった。1シーズン目以上にFIA-F4ドイツを主戦場とするチーム/ドライバーがイタリアへやってきたり、無謀で無意味な競り合いを挑んでくるドライバーに翻弄されたりました」
「ランキングこそ目標に届きませんでしたが、第6大会イモラの予選2回目は10番手ながら満足できるアタックができましたし、決勝レース3での初優勝は今季でいちばん嬉しかった」
「11月末に開催される(女性アーティスト)LiSAさんのライブチケットが当選したのと同じくらい、天に舞い上がる気持ちになりました(汗)」
「今季はつらい経験も少なくありませんでした。第1大会ミサノの決勝レース1では、6番グリッドからのスタートという好位置を結果につなげられませんでした。気持ちだけが前へ行く空回りで、勝てるチャンスを1周目で台無しにしました。また、僕の大好きな声優さんが病気療養のため活動休止されたことも、プライベートではショックでした」
■イタリアで2シーズン戦って得たもの
「FIA-F4イタリア参戦2シーズン目を総括すると、正直、パッとしませんでしたね。予選はだいたい中位集団の上と下を行ったり来たりで、当然危険な位置からのスタートになります。そこを切り抜けられて追い上げるも表彰台には届かず、という展開に終始しました」
「とはいえ、チームと自分のポテンシャルを発揮しきれなかっただけで、イモラとモンツァのシーズン終盤2大会では、十分にトップ争いできるという手応えを得られましたし、ポジティブな自信を持ててシーズンを終えられました」
「イタリアで2シーズンを戦い抜き、得たものは何か? と自問自答しました。それはやはり“基本”です。レースへ臨むにあたっての気持ち、レースを戦うにあたってのクルマのセットアップ、そしてドライビングに関して、一朝一夕に伸びるものではなく、基本の積み重ねこそ大事と痛感しました」
■「皆さまの叱咤激励があれば、イタリアの田舎町も辛くない」
「最後に2017シーズンに関して、皆さまにお知らせできるような体制・状況はまだ整っていません。とはいえ、来年もヨーロッパを拠点にレース活動に精進する予定で、スポンサーさまやマネジメントチームや家族と相談し、ベストの道を探っている最中です。ぜひ、ご支援とご声援をよろしくお願い致します」
「皆さまの叱咤激励があるからこそ、イタリアの田舎町にひとり居てもつらくありません(汗)」
12月半ばには、万璃音の2017シーズンに関してヒントとなるニュースがヨーロッパから届くかもしれない。