レッドブルF1チームの代表、クリスチャン・ホーナーは、ルイス・ハミルトンがアブダビGPではタイトルを争うニコ・ロズベルグのレース展開をあやつる「賢さ」を持つだろうと考えている。
仮にハミルトンが日曜のヤス・マリーナでのレースに勝った場合、現在の12ポイント差を逆転して自身4度目のワールドチャンピオンシップを獲得するにはロズベルグが4位以下でフィニッシュすることが条件となる。
そしてそれは、マックス・フェルスタッペンとダニエル・リカルドがロズベルグより上位に入ることで実現すると、メルセデスを一番近くで追うレッドブルのホーナーは分かっているのだ。
「まず、チームのふたりにはとことん走ってこいと言いたい。我々のチャンピオンシップ争いではないのだから」ホーナーは水曜日に行われたレッドブルのプレス向けイベントで述べた。
「もしふたりともニコより上位に入ったら、ルイスにはかなり感謝されるだろう」
「ルイスは半周以上先を走ってはだめだ。彼が賢ければ、他の車を自分のすぐ後ろで争わせようとするはずだ。それが彼の思う結果につながる唯一の方法だからだ」
「ニコには助けになる要素がない」
「現実には、彼にとってトップ3に入るのは簡単なことだろう。それでも、他車の状況を誰よりも真剣にミラーで確認し続けるだろうね。彼にとってはあらゆることが問題となる」
「ある意味、ルイスのやるべきことはニコのそれより簡単だ。ニコにはこのまま逃げ切らなくてはというプレッシャーがある」
リカルドは、ロズベルグを抑えることがハミルトンに歩み寄らせることにつながると考えている。
「ハミルトンは我々にもサポートしてもらいたいんだろうけど、まずは自分のレースに集中すべきだね。もしレースをいじくるようなことをしたら、僕らは彼も打ち負かすだけだよ」と彼は言った。
ホーナーは、チャンピオンシップ獲得にとらわれ過ぎてリズムを崩した例が、2010年にセバスチャン・ベッテルにタイトルを奪われたフェルナンド・アロンソとマーク・ウエーバーの走りにあると考えている。
「ルイスにとってはいわばサッカーのカップ戦の決勝戦だ。もう勝つしかないんだよ」と、ホーナーは付け加えた。
「2010年の時のセバスチャンも同じだった。まわりの状況は一切無視してひたすら仕事をし、結果すばらしい走りを見せたんだ」
「他のドライバーたちは緊張してたね。特にフェルナンドはマークに気を取られて、セブの状況を把握していなかった」
「(アロンソは)今年のニコ同様、タイトル獲得には3位以内を目指せば良いという気持ちでレースに臨んだ」
「この最終戦に臨むにあたって、ルイスにはまだ大きなチャンスがあるよ」
【2016年アブダビGP F1ドライバーズタイトル獲得の条件】
■ロズベルグのタイトル獲得条件
・ロズベルグが3位以上なら無条件で決定
・ロズベルグが4位、5位、6位で、ハミルトンが2位以下の場合
・ロズベルグが7位か8位で、ハミルトンが3位以下の場合
・ロズベルグが9位か10位で、ハミルトンが4位以下の場合
・ハミルトンが4位以下の場合
■ハミルトンのタイトル獲得条件
・ハミルトンが優勝し、ロズベルグが4位以下の場合
・ハミルトンが2位で、ロズベルグが7位以下の場合
・ハミルトンが3位で、ロズベルグが9位以下の場合
リカルドは、今週末はタイトル争いの神経戦がメルセデスに影響を与えることが、レッドブルにとって一番望ましいことだと考えている。
「ロズベルグのポジションを考えてごらんよ。彼は3位以内に入ればいいんだ」とリカルドは言った。
「仮にスタートが5番手だったとしても、彼はレース中に上位に戻せる力を持っている」
「ただ、もし彼が普段よりも慎重になるとしたら、僕にとっては好都合だ」
「いつもとても速い彼らが、今週末は少しだけ受け身になるかもしれない。それが僕らにとってはチャンスなんだ」