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「タイガーマスクW」オカダ・カズチカ×森田成一インタビュー 声優とプロレスラーの意外な共通点とは?

2016年11月23日 18:52  アニメ!アニメ!

アニメ!アニメ!

「タイガーマスクW」オカダ・カズチカ×森田成一インタビュー 声優とプロレスラーの意外な共通点とは?
2016年10月より放送がスタートしたテレビアニメ『タイガーマスクW』。正義の覆面レスラー・タイガーマスクこと伊達直人が残したマスクを引き継ぎ「新タイガーマスク」となる東ナオトと、自ら敵陣営に加わって内部から組織を潰すため、黒の虎のマスクを手にし「タイガー・ザ・ダーク」となる藤井タクマを中心に描く、東映アニメーションの創立60周年記念作品だ。

初代『タイガーマスク』の世界観を踏襲した物語、そして迫力のあるアクションシーンなどさまざまな魅力を持つ本作だが、実在するプロレスラーが多数登場する点も見逃せない。棚橋弘至や真壁刀義、オカダ・カズチカといった現役レスラーが、アニメの中でも活躍しているのだ。
今回、本人役で出演するプロレスラー、オカダ・カズチカさんと、オカダを演じる声優・森田成一さんにインタビューを実施。プロレスラーと声優という、一見かけ離れた分野で活躍する二人が、『タイガーマスクW』にどのような思いを抱いているのか訊いた。
[取材・構成:ユマ]

『タイガーマスクW』
http://www.toei-anim.co.jp/tv/tigermask_w/

■アニメの話を聞いたときから「森田さんに演じてほしいと思っていた」

──お二人が実際に会うのは2016年8月17日開催のスペシャルイベント以来だと思いますが、アニメがスタートしてからお互いの印象は変わりましたか?

オカダ・カズチカさん(以下オカダ)
今日森田さんの声をあらためて聞いて「オカダの声だ」と思いました(笑)。自然とそう思ってしまうくらい馴染んでます。

森田成一さん(以下森田)
8月のイベントでご一緒させていただいたときの第一印象は「デカッ!」でした(笑)。全員で撮った写真をあとで見ると、自分が小学生みたいに小さく見えたのが特に印象的でした。しかし声が想像していたよりも柔らかくて、そこも驚いたところです。演じる僕としては、ご本人から受けていたイメージと、アニメキャラクターとしてのオカダ・カズチカのイメージに違いがあったので、役作りという点でも気を使いましたね。最終的にはアニメキャラクターのイメージに寄せつつ、ご本人の空気感も表現できたらと思いながら演じています。

──オカダさんのイメージがアニメと違ったというお話ですが、具体的にはどんなところに感じたのでしょうか?

森田
最初に受けた印象は、大学生みたいな感じだったんです。レスラーの方は、いかつくて怖い印象を持っていたのですが、オカダさんは本当に真面目で、なにかの研究をしている大学生のイメージが強かったですね。対してアニメのキャラクターは一般人とは違う雰囲気を醸し出していたのです。


――オカダさんは、森田さんが演じるアニメのキャラクターを見てどう感じましたか?

オカダ
『タイガーマスクW』に出演すると聞いたときから「オカダ・カズチカの声は誰がやるんだろう」とすごく気になっていたんです。というのも、個人的に森田さんに演じてもらいたかったんですよ(笑)。

森田
本当ですか!?

オカダ
僕が中学生のときに『ファイナルファンタジーX(FFX)』が発売されて、それ以来ずっと「声優といえば森田さん」というイメージが付いていましたし、ぜひやってもらいたいなと思っていたんですよ。とはいえスタッフの皆さんはキャスティングも進めているでしょうし、そこに僕のわがままを入れるのも申し訳ないと思い、心の中にとどめておいたんです。すると偶然にも、本当に森田さんが演じてくれることになって…俺持ってるなと思いましたね(笑)。

森田
まさかそんな話が聞けるとは思わなくて、ちょっと恥ずかしいです(笑)。オカダさんがゲームをプレイしていることにも驚きました。

オカダ
普段からよく遊んでいますよ。今もバス移動中にPS4のゲームで遊んでますね。

森田
え、バス移動中もですか!?

オカダ
PS4だと基本的に家じゃないとできないんですよ。だけど僕の場合地方巡業もあって、長く家を空けることがあるんです。それで帰ってくると、自分が一体どのゲームをどこまでプレイしてたか分からなくなるので(笑)。そうならないように移動中もプレイできるよう設備を整えてあるんです。

――そんな縁があったとは驚きました(笑)。ちなみにオカダさんは、森田さんの声にどんな魅力があると思いますか?

オカダ
やっぱり格好いいですよね。ヒーロー感や主人公感が、それこそ『FFX』のころからずっと出ているので憧れます。

森田
そんなことを言われたら頑張らないと(笑)。でもアニメでオカダ・カズチカを演じるときは難しいこともあるんです。アニメだと完全なヒーローではなく、どこか達観した雰囲気が描かれています。ほかのレスラーとは次元が違う場所にいるというか。そんな独特の雰囲気を表現するのは苦労するところですね。

――森田さんから見て、オカダさんの魅力はどこにあると思いますか?

森田
現実のオカダさんは独特の立ち位置にいますよね。ヒーローでもなくヒールでもない、第三の役割を持っているというか。だから「オカダ・カズチカってどういう人?」と聞かれても、なかなか一言では答えられないですし、これこそが最大の魅力だと思います。ヒーローでもヒールでもないという印象は初めてお会いしたときから持ち続けているものですし、この印象は演技をするうえで大切にしていきたいです。


――オカダさんはご自身のことを、どんな立ち位置にいると考えているのでしょう。

オカダ
僕は正直、ヒーローもヒールもあまり関係ないと思っています。実際に昔はヒールとして見られ、ブーイングを受けたこともありました。今は逆にお客さんから拍手をもらっています。結局は観客次第で、もっと応援してほしいとかはあまり考えたことがないです。

――なるほど。しかしヒーローでもなくヒールでもない第三の役割というのはオカダさんならではだと思います。

森田
それは本当にすごいところですよね。なにかを表現するとき、誰であってもある程度の役を持っていないと難しいものがあります。ヒーローやヒールは分かりやすい役ですが、オカダさんはそのどちらでもない。無の境地でリング上に立っているような、独特の佇まいがあるんですよ。

――独特の存在感を持ちつつ、強さもはっきり見せてくれますからね。

森田
そうなんですよ。オカダさんと強さがイコールでつながっているからリングに立っていても違和感を覚えないですし、強いからヒーローということもなく、立ち位置の基準にはならないことを教えてくれるんです。

(次ページ:『タイガーマスクW』について)

――すでに『タイガーマスクW』の放送も始まっていますが、実際に視聴しましたか?

オカダ
僕はもう大満足です。元々希望していた森田さんに演じてもらえて、しかもキャラクターの雰囲気にもピッタリ合っているので。それと衣装に関しても、リング上だけでなく私服も僕と似ていて嬉しいですね。とてもクールなイメージで描いてもらえてありがたいです。僕は控室だと基本的に笑顔なので(笑)。

森田
Twitterを見ているとほかの選手の方にイタズラしていたり、おちゃめな一面がありますよね。

オカダ
ロッキー・ロメロとか、海外プロレスラーのコスチュームを着たりしてますね。コスチュームを着たうえでその人の携帯電話で写真を撮ったり。アニメではそういったシーンが描かれていないので助かります(笑)。

森田
1話くらいあっても面白そうですけどね。「カズチカのイタズラ」というタイトルで(笑)。

――お二人はオリジナルの『タイガーマスク』を見たことはあるのでしょうか。

オカダ
僕は原作漫画の1巻を読んだくらいですね。

森田
僕は再放送で見ました。原作版は最終回がすごく悲しい展開ですけど、あれが僕のヒーロー像の原点なんです。それこそオカダさんがプレイした『FFX』のティーダにもつながるんですけど、ヒーローは最後に舞台から去るものというイメージが『タイガーマスク』で付いたんですよ。今回の『タイガーマスクW』も、原作版と比べるとポップに描かれていますが、終盤に向けて昔ながらの戦いに発展していくのではないかと思っています。

――オカダさんはアニメの放送を経て、プロレス会場の客層の変化を感じることはありますか?

オカダ
現時点で具体的なことは分かりませんが、普段プロレスを観戦する人から「『タイガーマスクW』面白かったよ」と話してくれることもありますし、良い感触がある印象です。

――森田さんはアニメの放送で周囲の状況に変化はありましたか?

森田
オカダさんのファンと思われる方が、Twitterアカウントをフォローしてくださるんです。『タイガーマスクW』やプロレス関連のツイートをすると、 “いいね”がたくさん付くんです(笑)。オカダさんのファンは女性の方が多くて、プロレスが幅広い層に浸透しているんだなとあらためて感じましたね。フォローしてくれた方はもちろん、もっと多くのプロレスファンに『タイガーマスクW』を広めていけたらと思っています。


――アニメの中で「オカダ・カズチカ」を演じる上で、使ってみたい技はありますか?

森田
そうですね…。フラップジャックは実際に使ったんですけど、本領を発揮しているとも言えませんからね。オカダさんとしてはなにかありますか?

オカダ
プロレスで戦っているときって、実は声があまり出ないんですよね。だから演じるとなると結構難しいんだと思います。

森田
そうなんですよ! そこもアニメとリアルの違いで、僕だけじゃなく棚橋選手を演じる鈴村(鈴村健一)とも「どうしていこうか」と話しました。そのままだと、アニメに声を当てる作業そのものが成立しなくなりますからね。だからアニメはアニメで、役者として脚色していこうと考え、現在の演技に至ったんです。しかしあまりにも乖離すると現実のプロレスファンに怒られてしまいますし、バランスをどう取るかが難しかったです。

――ということは、現実のプロレスを見て研究することも?

森田
あらためて研究したというより、僕の場合は子供のころからずっとプロレスファンだったので、会場で聞こえる音は以前から深く知っていました。子供のときは佐山聡さんが実際に使った虎の覆面が展示されるということで、何時間も並んで見に行ったくらいです。なのでテレビ中継で聞こえる音も昔から慣れ親しんでいましたし、それをアニメの中で再現していこうと考えたのです。

オカダ
リング上で聞こえる効果音も実際の道場で収録したということで、すごく良い音がするんです。ロープがしなる音とかも聞き慣れたもので驚きました。

森田
プロレス中継もアニメも、テレビから音が出てくることには変わりありません。実際の音を再現したいという思いは、キャストもスタッフも同じです。

――ご自身の声だけでなく、全体の音にもこだわっているのですね。

森田
はい。個人的には、エプロンサイドで関節技を決められているときのレスラーの吐息を表現したいなと思っています。試合の中盤あたりに聞こえる、レスラーの苦しそうな息使いはぜひ挑戦してみたいです。さすがにこれをアニメにすると地味すぎるかもしれませんが(笑)。でも、音としての声を追求したい思いは常に持っていますし、こだわりを持って作っています。


――役作りという点では、苦労したことはありますか?

森田
オカダさんも話していたとおり、レスラーは試合中に意外と声を出さないんですよね。それに試合後の会見もそこまで話すわけではありませんし、参考にできる箇所が少ないのは苦労したところです。いっそのこと、オカダさんに声を出しやすい新技を考えてもらいたいです(笑)。

オカダ
ははは(笑)。確かに最近は新技を作っていないですし、面白いかもしれませんね。だけど相手にダメージを与えて、格好良くて、さらに声も出せる余裕がある技となるとちょっと難しいですね…(笑)。相手を持ち上げると声を出しづらくなるので、走りながらのほうがいいですね。

――声優とプロレスラーはどちらも人に見せる、エンターテインメント性のある仕事だと思います。お互いに共通している部分を感じることはありますか?

森田
エンターテインメントをいかに構築していくかという考え方は共通しているかもしれません。

オカダ
声優さんは役によって声を変えるじゃないですか。僕たちプロレスラーもコスチュームを着たときはキャラクターが変わりますし、オンとオフの切り替えがあるのは似ていると思います。僕自身も、リング上と普段とではまったく違う性格ですから。

森田
僕たちが表現する物語に序破急があるように、リング上にも序破急は存在すると思うんです。ただ僕たちは台本が用意されているのに対して、オカダさんたちプロレスラーは瞬的に間ごとでダイレクトな構築をしていくので、そこは違うところですね。

――オカダさんは来年1月4日にはケニー・オメガ選手とのIWGP戦が控えていますよね。

オカダ
『タイガーマスクW』でプロレスに興味を持った人にも見てもらって、「プロレスってこんなにすごいのか!」と驚いてほしいですね。そして試合に勝って「オカダ・カズチカってすごいんだな」と思ってもらいたいです。アニメも楽しんでもらいたいですけど、1月4日の主役は僕ですから。

――おそらく『タイガーマスクW』はプロレスファン以外の人も見ていると思います。そんな人がプロレスを見るとき、どんなところに注目したらいいですか。

オカダ
なにを見ればいいのか分からなかったら、まずは生でオカダ・カズチカの試合を見てください。試合だけではなく入場から試合後のマイクパフォーマンスまでがプロレスで、そのすべてをもっとも楽しめるのがオカダ・カズチカです。あとはテレビ中継ではなく、生で観戦してもらいたいですね。熱を感じ取れたほうが魅力にもつながるはずです。

森田
会場の雰囲気は確かにプロレスの魅力ですね。僕が特に注目してもらいたいのは会場で飛び交う野次です。野次がまた面白くて、根っからのプロレスファンだと怒っているように聞こえても実は愛にあふれているんですよ。そういった野次はテレビ中継では聞こえてこないので、ぜひ会場に足を運んでください。そして悩んだら、オカダ・カズチカの試合を見てほしいです(笑)。

――それでは最後に、今後の『タイガーマスクW』の展開に向けて、一言お願いします。

森田
ファンの皆さんと新日本プロレスさんの協力もあって『タイガーマスクW』は好発進を切ることができました。現場の雰囲気も非常に良くて、主演の八代拓君、梅原裕一郎君もプロレスに目覚めたみたいで、この間は両国大会を観戦していました。今までプロレスに触れてこなかったキャストと、僕や鈴村君といったプロレス世代、そして初代『タイガーマスク』にも出演していた大先輩方、この3つの世代が力を合わせて作っています。非常に層の厚い作品なので、昔からのプロレスファンもそうですし、若い世代の方にもぜひ見てもらいたいです。

オカダ
アニメの中でオカダが戦っている姿はまだ見ていないので、早く自分の目で確かめたいです。どんな技をどう見せてくれるのかは選手として、とても期待しています。そしていつかは、自分自身も声の出演をしてみたいですね(笑)。

――ありがとうございました。