日産自動車は11月22日、世界的な資産運用会社であるKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)の傘下の投資ファンドが保有する特別目的会社であるCKホールディングスが、自動車部品メーカーのカルソニックカンセイのすべての既存株式に対し株式公開買付け(TOB)を実施する意向であることを発表した。
KKRは日本市場にも積極的に投資を行う資産運用会社で、これまでパナソニックヘルスケアの独立支援やパイオニアDJへの投資なども行ってきた実績をもつ。これまで日産自動車は、カルソニックカンセイが「競争力の強化および企業価値の向上を図る観点から新たなパートナーを検討するため」、2016年4月に対象者株式の譲渡を複数の企業に打診。KKRが入札プロセスに参加したという。
このTOBに関連して、KKRの傘下の投資ファンドが保有する特別目的会社であるCKホールディングスは、カルソニックカンセイの筆頭株主である日産自動車と、同社が保有する約41%のCK普通株式を取得するための公開買付応募契約を締結している。
カルソニックカンセイは1938年に日本ラヂヱーターとして創立されたカルソニックと、部品メーカーのカンセイが合併。両社とも日産自動車系の部品メーカーであり、「現状取引の8割程度が日産自動車との取引となっている」状況。モータースポーツ界でもカルソニックブランドでニッサンと縁が深いTEAM IMPULを長年支援してきた。
今回のTOBについては、カルソニックカンセイのさらなる成長のために、「その他の自動車メーカーとの取引が重要であると考えているとのこと」、「外部資本を導入することで、日産自動車以外の自動車メーカーへのアプローチのための陣容の拡大や、KKRの広範なネットワークの活用による自動車メーカーへの効果的なアプローチが可能になると期待している」こと、「顧客基盤および成長分野の製品群への投資を拡大することに加えて、M&Aを含む非連続的な成長も視野に入れたさらなる抜本的な施策に取り組むこと」などが挙げられている。
今後カルソニックカンセイは日産自動車のもとで築き上げてきた事業基盤を活かしつつ、経営資源やグローバルでの自動車業界における、知見やネットワークの活用による更なるグローバル化を企図した経営を推進していく予定だとしている。また、KKRが指名する取締役および社外監査役の派遣が予定されているが、現時点でその具体的な人数、時期、候補者等については未定としている。