長年、アウディスポーツの代表を務めてきたウォルフガング・ウルリッヒは、WEC世界耐久選手権の最終戦を終え、来季体制に移行するにあたって、その任務を現DTM統括を担当するディーター・ガスに引き継ぐ考えを明らかにした。
昨年65歳を迎えたウルリッヒは、同時にアウディスポーツと2年にわたる契約延長に合意。しかし、WECでのワークス活動を終えた節目の今季を最後にその役職を引き継ぐべく、2017年はディーター・ガスと横並びの立ち位置で、ともに仕事をしていきたいと説明する。
「私はこの部門に残るだろうが、彼(ガス)がアウディスポーツの新しい顔となるだろう」と、ウルリッヒ。
「私は老兵として彼のサポートに徹するつもりだ。彼が過去数年にわたって私の仕事を助けてくれていたようにね。それが最善の方法であると今は考えている」
「来年はアウディスポーツの新たなプログラム(フォーミュラEのワークス活動)に向けて、体制を再構築していく期間になるはずだ。すでに彼は必要なものを持っているし、必ずしもひとりで成し遂げなければいけない……というわけでもない」
ウルリッヒは同時に、このガスへの代表委譲のプランはすでに3年ほど前から計画していたとも明かした。現状、こうした動きはアウディスポーツの上層部には承認されているものの、まだ正式に署名承認されたわけではないという。
ウルリッヒが当面の役割として最優先事項に上げたのは、LMP1-Hのプロトタイプによるプログラム終了後に、アウディ内でのモータースポーツの職務から去るメンバーの再配置で、彼らが他の部署で役割を果たせるようアシストをすることだと語った。
「残念ながら全員を守ることはできないが、我々はロードカー部門で面白い仕事を提供できることを願っている」と、ウルリッヒ。
現在、アウディスポーツは拠点のあるノイバーグとネッカースウルムに約370名のスタッフを雇用している。
ウルリッヒは1993年11月にインゴルシュタットを拠点とするモータースポーツ部門のトップとしてアウディに加入。90年代のスーパーツーリング規定での成功を足がかりに、99年にはル・マンを軸とするプロトタイプ・カテゴリーへの参戦や、2004年のDTMへのワークス復帰、2009年のGT3への参入など、多くの功績を残した。