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真野恵里菜、吉岡里帆、山崎紘菜……“ネクスト主演女優”の座を巡るバトル勃発か?

2016年11月22日 08:21  リアルサウンド

リアルサウンド

リアルサウンド映画部

 『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)と『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)の視聴率、評判ともに絶好調。新垣結衣と石原さとみが「主演女優として一歩抜けた存在である」ことが明らかになった。


参考:志田未来、“地蔵ラップ”になぜ説得力? 『レンタル救世主』斬新な役柄を成立させた演技


 その他、今秋の連ドラで主演を務めているのは、『メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断』(フジテレビ系)の吉田羊、『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)の米倉涼子、『Chef~三ツ星の給食~』(フジテレビ系)の天海祐希、『砂の塔~知りすぎた隣人~』(TBS系)の菅野美穂などアラフォー以上の女優ばかりで、明らかに高齢化が進んでいる。


 さらに気になるのは、志田未来、瀧本美織、川口春奈、土屋太鳳ら、主演経験の豊富な20代女優が助演を演じていること。その若さを踏まえれば当たり前のことかもしれないが、一方で「一時の勢いは失せつつある」とも見られている。


 しかし、芸能事務所は手をこまねいているわけではない。新たな20代女優を育てつつ、各局のドラマ班に売り込み、“セカンドヒロイン”のポジションで出演させている。そこで実績を重ねることで、“ネクスト主演女優”としての地位を着々と固めているのだ。


■真野恵里菜


 “ネクスト主演女優”として急上昇しているのは、『逃げるは恥だが役に立つ』でヒロイン・みくり(新垣結衣)の親友「やっさん」役を演じている真野恵里菜。そのキャラは「元ヤンキーで、夫の浮気で離婚したシングルマザー」。毎週のようにみくりとの会話シーンがあるが、ピュアなヒロインを引き立たせるための損な役回りなのは間違いない。


 ただ、真野はここ3年間で20作ものドラマに出演するなど、さまざまな現場で実績を重ね、アラサーに突入したことで演じられる役柄がグッと増えている。「夫の浮気で離婚したシングルマザー」もその一つであり、連ドラ主演への道を着々と進んでいると言えるだろう。


■吉岡里帆


 2人目の“ネクスト主演女優”候補は、『メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断』で、女医・田丸綾香役に挑んでいる吉岡里帆。綾香は「児童養護施設で育ち、猛勉強と奨学金で研修医となった」苦労人にも関わらず、ヒロイン・橘志帆(吉田羊)に振り回されっぱなしで若造扱いされている。言わば「主演はまだ顔じゃないよ」という損な役回りなのだが、「マジメでひたむきな綾香を吉岡に重ね合わせて好印象を与えられる」というセカンドヒロイン王道の役でもある。


 吉岡は、映画『幕が上がる』や『死弊-DEATH CASH-』(TBS系)で同世代から刺激を受けつつ、『あさが来た』(NHK)や今作では先輩の中でもまれることでグングン成長。わずか3年のキャリアながら養成所や演劇で培った実力は評価が高く、清楚なルックスと気さくな人柄のギャップで、早くも“主演待望論”が生まれている。


■山崎紘菜


 3人目の“ネクスト主演女優”候補は、『カインとアベル』(フジテレビ系)で、主人公・高田優(山田涼介)に思いを寄せる柴田ひかり役の山崎紘菜。そのポジションは、視聴者の誰もが「振られる」と分かっている噛ませ犬であり、どうしても軽い見方をされてしまう。


 しかし、制作サイドにとっては、主人公の恋やキャラに共感させるための重要な役であり、「ラブストーリーの主演女優まであと一歩」のポジションとも言える。山崎は171㎝の長身だけに『監獄学園-プリズンスクール-』(TBS系)や『MARS~ただ、君を愛してる~』で演じた「狂暴な女」というイメージを持たれがちだったが、今作で「かわいい女」の印象が加わり、主演女優の座に一歩近づいたのではないか。


 今秋の連ドラには、本田翼、新川優愛、清水富美加も“ネクスト主演女優”をうかがうポジションで出演している。いずれも主演を輝かせるための損な役回りを演じているが、これは間違いなく主演をつかみ取るためのステップ。「いきなり主演に抜擢される」のではなく、「地道なステップを踏む」ことで、視聴者から“ゴリ押し”と嫌われることはないだろう。


 つまり、“セカンドヒロイン”というポジションは、「晴れて連ドラ主演を勝ち取ったときに、応援してもらうためにも必要な段階」ということ。21世紀に入ってから「多少の経験を積んだだけで主演抜擢」という形が増えていたが、思えば90年代は「セカンドヒロインで経験を積み、主演女優を勝ち取る」のが基本パターンだった。


 当時、和久井映見、深津絵里、仙道敦子、常盤貴子、鶴田真由、瀬戸朝香など、そうそうたる顔ぶれがその道を歩んだが、彼女たちの共通点は「同性からの支持が厚かった」こと。真野恵里菜、吉岡里帆、山崎紘菜、本田翼、新川優愛、清水富美加も、「女性からの支持をどう集めるか」が今後のカギを握っていくだろう。


 いずれにしても、「ドラマ業界のキャスティングは、自然かつ健全な形に戻りはじめている」だけに、女優たちもやりがいがあるのではないか。(木村隆志)