2016年11月20日
FIA世界耐久選手権(WEC)第9戦 バーレーン:LMP1クラス決勝
表彰台獲得により感動的なタイトルを獲得
シュトゥットガルト.ポルシェAG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:Dr.オリバー・ブルーメ)は2年連続してFIA世界耐久選手権(WEC)の栄誉をすべて獲得しました。
ル・マンでの勝利、上海におけるマニュファクチュアラー選手権の獲得、そして最終戦バーレーンにおいてドライバーズ選手権も手にしました。全9戦で行われる2016年のWECの最終戦において、ティモ・ベルンハルト(ドイツ)/ブレンドン・ハートレー(ニュージーランド)/マーク・ウエーバー(オーストラリア)組のポルシェ919ハイブリッドは2番手グリッドからスタートして3位に入賞しました。
そしてロマン・デュマ(フランス)/ニール・ジャニ(スイス)/マルク・リーブ(ドイツ)組はレース序盤の他車との接触により6位でレースを終えることで新たな世界チャンピオンを確定しました。
ワンツー・フィニッシュを遂げたアウディの活躍はWEC撤退の花道を飾るに相応しいものでした。
バーレーン6時間レースは現地時間午後4時、外気温約30°Cでスタートしましたが午後4時45分の日没後は24°Cまで下がりました。
カーナンバー1のレース展開:
ベルンハルトは2番手グリッドからスタートし、オープニングラップでチームメイトのジャニにポジションを譲りました。
13周目にはカーナンバー7のアウディが先行し、ベルンハルトは4番手になりました。29周を終えたところでウエーバーに交代し、ウエーバーはカーナンバー5のトヨタを43周目にオーバーテイクすることに成功しました。
ハートレーは59周目にコクピットに収まり、89周でベルンハルト、120周でハートレーへと交代しました。その後ベルンハルトが150周終了時点でふたたび受け継ぎ、180周時点で、ウエーバーが彼にとってレースキャリアの最後を飾るファイナルスティントを担当しました。ウエーバーが駆る919は201周して3位でフィニッシュしました。
カーナンバー2のレース展開:
ジャニは最初のラップで3番手から2番手にポジションを上げますが、15周目にトヨタのカーナンバー7に追い越されました。ジャニはチームメイトのポルシェ919に次ぐ3番手を走って28周目に最初のピットストップを行い、そのままコースに復帰しました。
しかしその直後、GTカーと接触し、再びピットインすることになりました。損傷を負ったタイヤとリアカウルが交換されます。
このピットストップによりカーナンバー2は1ラップ遅れとなりました。60周目にデュマが引き継ぎ、91周でリーブに交代します。
122周でジャニがまたコクピットに戻り、153周でまたデュマに代わります。リーブが最終スティントに向けてコクピットに飛び込んでから20数分後、198周を走りきってフィニッシュラインを通過した時、新たな世界チャンピオンが決まりました。
レース後のコメント:
LMP1担当副社長フリッツ・エンツインガー:
「今日のレースはポルシェチームの特長を浮き彫りにしてくれました。私たちは強い重圧の下でも難しい戦略をしっかりこなすことができました。
今の私にできることは6人のドライバーとチームメンバーのひとりひとり、そしてこのプロジェクトの最初からサポートしてくれたポルシェの役員全員に感謝の気持ちを表すことだけです。
またアウディにも賛辞を贈りたいと思います。彼らの勝利は実力に相応しいものでした。これから寂しくなりますが、素晴らしい戦いをありがとう」
チーム代表アンドレア・ザイデル:
「ル・マンに勝ち、マニュファクチュアラーズ選手権を獲得して、ドライバーズ選手権も勝ち取りました。2年連続して私達はすべての目標を成し遂げたことになります。
これはポルシェチームにとって最高の悦びです。個人的にはマルク、ニール、ロマンというカーナンバー2の3人のドライバーとチームクルーを祝福したいと思います。
この車は2016年のすべてのレースを通じて、一度もテクニカルトラブルでピットインしたことのない唯一の車両です。私達はすでに次の栄冠を目指しています。短い休みをとってからは2017年シーズンへの準備を全開で始めることになります」
ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー1)のドライバー
ティモ・ベルンハルト(35歳、ドイツ):
「私のスタートは悪くありませんでした。ニールがインに入ってきたので、当然追い越しのためのスペースをそこに残しました。
2台の速さはほぼ同等で、どちらもアウディを追いかけるほどの速さはありませんでした。しかしトヨタを打ち負かせることは明確でした。
私達にとって最も重要なことはレース終盤のマークのスティントまで間違いなく繋げ、彼がファイナルラップを走って最後にもう一度、彼と一緒に表彰台に上ることでした。今日は言葉にならないほど感動的な一日でした」
ブレンドン・ハートレー(27歳、ニュージーランド):
「ティモとマークの後を受けた私にとって最初のスティントは非常にうまくいきました。中嶋一貴が背後にいる上にトラフィックも混雑していましたが、問題はありませんでした。
アウディに関していうと、気温が下がってから追い上げられると期待していたのですが、今日はそうはいきませんでした。
彼らは最後のレースで勝利を挙げるに相応しい状態で、マークと私達は表彰台に上ったことで満足すべきでしょう。私達は最高の仕事を成し遂げました。マークが引退することは残念でなりません」
マーク・ウエーバー(40歳、オーストラリア):
「今日は2番目と最後のスティントを担当し、どちらにも満足しています。序盤はカーナンバー5のトヨタといいバトルを繰り広げました。
何とかオーバーテイクしてリードを築こうとしましたが、アウディを追い上げるほどペースを上げることはできませんでした。
最後のスティントではこれがヘルメットを被る最後の機会になることに感情的にならずにいられませんでした。私は最後のスティントを満喫し、マシーンをトップ3でチェッカードフラッグの下に連れていくことができましたが、それは今日手が届く最高の結果でした。
ティモとブレンドン、そしてチーム全員とともにポルシェで過ごした3年間は素晴らしい時間でした。永遠に続くことなどどこにもありません。私は素晴らしい時に引退しますが、また近いうちに全員と会えることを楽しみにしています」
ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー2)のドライバー
ロマン・デュマ(38歳、フランス):
「レースが始まって1時間で表彰台に上る可能性を失いました。ニールが他車と接触を起こした後、私達の919は調子を崩してしまいました。
あらゆるコーナーで軽いオーバーステアを示すようになったのです。もっとも選手権ポイントのことを考えると無理にプッシュすることもできません。
何よりもミスを犯すことなくレースを無事に完走することが大切だったからです。それがうまくいってほっとしています」
ニール・ジャニ(32歳、スイス):
「決勝レースのスタート時は期待を持てる状態でした。一番難しいポジションでラップ遅れを処理する場面が多く、難しい場面もしばしばありましたが、最初のピットストップまでは戦略もうまく機能していました。
しかしアウトラップでGTカーが私に接触しタイヤとボディワークに損傷を負ってしまいました。緊急修理の後のマシーンの状態は完全ではなく、前を走る車両との間に空いたギャップを埋めるのは無理な状況でした。
私達ができるのはカーナンバー6のトヨタが優勝しないことを願うのみで、コース上を走り続けるために一切のリスクを冒さないよう気を遣いました」
マルク・リーブ(36歳、ドイツ)
「私にとって特に問題はなく、ただ黙々と周回を重ねるだけでした。レース序盤に接触事故があってからはステアリングホイールさえ真っ直ぐでない状態でした。
私達の919は最良の形ではありませんでしたが、走り続けてフィニッシュラインに届かせることができました。それが私達の成し遂げたことすべてです」