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51号車LM corsa スーパーGT第3戦/第8戦もてぎ レースレポート

2016年11月21日 11:11  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

JMS LMcorsa 488 GT3
2016 SUPER GT
LMcorsa Race Report
第3戦 11月11~12日 ツインリンクもてぎ

#51 JMS LMcorsa 488 GT3 都筑晶裕/新田守男

 AUTOBACS SUPER GTシリーズ第3戦は本来ならオートポリスで行われるはずだったが、熊本地震の影響によって中止となり、代替レースが最終戦と併せて『MOTEGI GT GRAND FINAL』として11月11~13日にツインリンクもてぎで開催された。

 シリーズ初の1大会2レース開催のため、土曜日に第3戦の予選、決勝レースを、そして日曜日に最終戦の予選、決勝が行われることとなった。

 都筑晶裕と新田守男を擁しフェラーリ488 GT3でGT300に挑むLMcorsaは、開幕からすべてのレースで完走を果たしてきた。残念ながら、ここ3戦はあと一歩のところで入賞を果たせておらず、結果への渇望感が極めて高くなっている。

 今回は7戦目に相当するレースとあってレギュレーションによりウエイトハンデは半減するが、それでも上位陣は50kg前後積んでいるのに対しJMS LMcorsa 488 GT3は13kg。この差がストップ&ゴーが繰り返されるもてぎのテクニカルレイアウトには大いに武器となることが予想された。

 今回の走行開始は金曜日の午前からで、公式練習のセッション1は都筑からの走行となった。しかし、未明からの雨は路面を強く叩きつけ、まともに走行できるような状況ではない。その上、天気予報では午後には雨が止むこと、土曜日からは好天に恵まれることを伝えていたこともあり、しばしピットで待機。

 一度赤旗が出るが、再開後には雨が弱くなったこともあり、ようやく走行を開始する。都筑が2分31秒272を記録したところで2回目の赤旗が出たためそのタイミングで新田とチェンジ。

 より雨は弱まっていたため最初の計測ラップで新田は2分30秒715をマークするが、その直後に目を覆う光景が! 2コーナーの立ち上がりでコントロールを失い、ガードレールに激しくヒットしたJMS LMcorsa 488 GT3がモニターに映されたのだ。

 新田がすぐに降りなかったのはレスキューからの指示で、無傷だったのは不幸中の幸い。だが、マシンのダメージは大きく、続いて行われた公式練習のセッション2には走行を許されなかった。

■予選
11月12日(土)天候:晴れ/コース状況:セミウェット
8番手 1分57秒349

 公式練習でクラッシュしてしまったJMS LMcorsa 488 GT3だが、メカニックの懸命な作業によって修復完了。予選に挑むことが可能になり、まずは一安心といったところだ。

 さて、その予選だが、今回はQ1、Q2と続くノックアウト方式ではなく、15分の1セッションだけで、ひとりのドライバーのみがアタックを行う。しかし、同じドライバーが連続して予選に挑むことは認められていない。第3戦の予選には新田が挑むこととなった。

 天気予報どおり土曜日のツインリンクもてぎは好天に恵まれることとなったが、早朝の路面は水たまりは無いがまだ濡れたまま。タイヤ選択が気になるところではあったものの、路面が乾いていくことを想定してまずはドライタイヤを装着して新田をコースへと送り出す。

 1周して新田はピットに戻り、走行に支障がないことは確認できたがドライタイヤが発動するような路面状態ではないことを告げたことから、レインタイヤに交換して再度アタックが行われることとなった。

 計測2周目に2分4秒台に入れた新田は、さらにアクセルを踏み込んでいき2分1秒292をマーク。そしてラストアタックで1分59秒266にまで短縮を果たす。予選終了間際になってようやくタイヤも温まり、もう1周あれば更にタイムは削れたはずだったがここでチェッカーが出て、8番グリッドを獲得することとなった。

■決勝
11月12日(土)天候:晴れ コース状況:ドライ
11位 50周

 予選終了から4時間足らずで決勝レースのスタート進行が開始され、最初に設けられるウォームアップは通常より7分長い15分間での計測となる。もう路面は完全にドライコンディションとなっていて、ようやくドライタイヤが装着できる状態となっていた。

 スタートを担当する新田がまずJMS LMcorsa 488 GT3に乗り込みピットアウト~インを2回行い、レース中のピット作業シミュレーションをしつつ都筑にチェンジ。

 交代した都筑が1分50秒184、50秒541と好タイムを連発したところでウォームアップは終了。その後マシンの最終チェックが行われて、グリッドへと送り出された。

 スタート直後、そしてオープニングラップには混乱もなく開始された決勝レースながら、2周目に差し掛かるといきなりアクシデントが発生。まず第1アンダーブリッジで1台がコースアウト。すぐにセーフティカーがコースインするが、それから間もなく第2アンダーブリッジでもクラッシュがあり、大破したマシンとコース上に流れた液体がモニター上に映される。

 セーフティーカーランは5周に渡って行われ、リスタートにも混乱はなく新田はポジションをキープ。しばらくは均衡状態が続いたが、15周目には2台にかわされ、さらにもう1台にも……。

 予想以上に路面温度が上がってきたためタイヤのグリップダウンが著しく11番手にまで後退してしまったことから、ミニマムの周回数でピットに戻すことをチームは決断する。

 18周目に都筑へと交代するとともに、タイヤをソフトからミディアムに4本とも交換してJMS LMcorsa 488 GT3はピットアウト。しばらくは後方に留まるも、トラフィックに悩まされることもなく都筑はコンスタントにラップを刻み続ける。

 そして全車がドライバー交代を終えた時には13番手につけていた。その後も先行車両のトラブルがあって11番手まで浮上。ポイント獲得まであと一歩と迫り前が見える位置でもあったのだが、ロングスティントとなってしまったためタイヤは終盤には音を上げており、惜しくも11番手のままフィニッシュとなった。

 しかし、しっかりと完走を果たしたことで、ドライコンディションでのデータはしっかり獲得できたため、続く最終戦への構えは万全となるはずだ。ウエイトもすべて下ろせることから、今シーズンの集大成のレースとなることが期待される。

監督 小林敬一
 公式練習でクラッシュはあったものの、ダメージは思っていた以上に少なく、パーツもしっかり持っていて修復できたので、それはすごく良かったです。

 メカニックのみんなもすごく頑張ってくれました。予選に関してはぶっつけ本番になってしまいましたが、それは他も同じ条件ですしまずまずの順位だったと思っています。

 決勝も本当ならば入賞したかったんですけど、内容的には想定の範囲でできたので、最終戦につながる要素は確実に得られたと思います。

 クラッシュやトラブルは得てして流れを悪くしてしまうものですが、むしろいい方向に進んでいます。この流れで最後まで行きたいですね。

ドライバー 都筑晶裕
 メカニックの皆さん、チームの皆さんがすごく頑張ってくれて、予選に間に合わせてくれたことにものすごく感謝しています。

 そのおかげで予選では新田さんが8番手といういい結果を残してくれたんですが、決勝はソフトタイヤの磨耗が予想以上で、ミニマムの周回数でピットインせざるを得ない状態、その後の自分のスティントが長くなってしまったので、ミディアムタイヤでもかなりつらくなってしまいました。

 ただ、最終戦は通常ピットタイミングを行なえればもうちょっと上の順位を狙えるんじゃないでしょうか。クルマのバランスもいろいろと反省する部分もあるので、それを修正して次のレースには万全な体制にしたいと思います。

ドライバー 新田守男
 僕のミスで壊してしまったマシンをメカニックさんたちがしっかり直してくれたので、いきなりの予選でも問題なく走れてヨコハマ勢としては3番目ですから、そんなに悪い感じじゃなかったんです。

 そういう印象だったから決勝もあんまり心配していなかったんですが、思った以上にタイヤが早い段階でグリップしなくなってしまったので早めにピットに入ってもう1種類のタイヤで都筑選手に行ってもらいましたが、やはり途中から厳しくなってしまったようですね。

 なんか路面とタイヤのマッチングに苦労している感じがあって、あとちょっとのところでポイントが獲れるところまで行ったんですが、この苦労を最終戦にいい意味で活かしたいと思います。

エンジニア 成澤健二
 修復作業はそれほど長くかからず、思ったよりもダメージは及んでいませんでした。夜の9時ぐらいですかね、終わったのは。足まわりはまぁまぁいっていたんですが、スペアパーツがあったのでそれは換えて。何よりフレームが無事でしたし、大事なところや持っていないパーツは生きていたんで、ちょうど良くなんとかなりました。

 予選、決勝に関しては、どのチームもそうですがドライをまったく走っていなくて、完全にぶっつけ本番状態ではあった中では、まぁ良かったかなと思います。

 最終戦に向けてはブレーキとか課題はいくつかあるので、そのあたりを対策して、もっと上に行ってもらえる状態を作りたいと思います。


2016 SUPER GT
LMcorsa Race Report
第8戦 11月11~13日 ツインリンクもてぎ

#51 JMS LMcorsa 488 GT3 都筑晶裕/新田守男

 AUTOBACS SUPER GTシリーズ第8戦『MOTEGI GT GRAND FINAL』が、11月11~13日にツインリンクもてぎで開催された。

 今回はシリーズ初の試みとして、1大会2レース開催を実施。オートポリスで行われるはずだった第3戦の代替レースを予選、決勝ともに土曜日のうちに行い、その余韻もまだまだ残されたまま、改めて第8戦の予選、決勝が行われることとなった。

 都筑晶裕と新田守男を擁しフェラーリ488 GT3でGT300に挑むLMcorsaは、公式練習でのクラッシュから見事蘇り、第3戦において予選は8番手につけ、決勝では11位フィニッシュ。

 あと一歩のところで入賞は果たせなかったものの、すぐに気持ちを入れ替えて第8戦の準備へ。良い流れを取り戻していることは間違いなく、より一層の結果が期待された。

 なお、今回はノーハンデのレース。第3戦を完走したことで、しっかりと得られたデータをもとに13kg軽くなったことにも対応したセットアップが施されている。

■予選
11月13日(日)天候:晴れ/コース状況:ドライ
18番手 1分47秒967

 土曜日も天候に恵まれたが、日曜日はそれ以上。サーキット上空には雲ひとつ浮かんでおらず、文字通りの秋晴れとなっていた。まさに絶好のレース日和でありスタンドにも大観衆が押し寄せてもいたことから、今季最後の戦いというシチュエーションを醸し出していた。

 早朝からの予選はもちろんドライコンディションで競われた。同じドライバーが連続して予選に挑めないこともありJMS LMcorsa 488 GT3のシートについたのは都筑だ。

 前日の第3戦決勝レースでは新田よりも長い周回を重ねており、異なるコンパウンドのタイヤを使用していても遜色のないラップタイムを刻んでいたことから、上位グリッドの獲得に期待が込められた。

 計測開始と同時に都筑はコースイン。アウトラップだけでなく、もう2周をウォームアップに充てて、しっかりとコンディションを整えていく。

 そしていよいよアタック開始。まずは1分48秒701を記し、次の周には48秒092にまで短縮する。1周をクールダウンに充てた後ラストアタックでさらにタイムを縮め1分47秒967をマークしたが、ドライコンディションでの予選は昨日以上の激戦となりJMS LMcorsa 488 GT3は最終戦の決勝レースに18番手から挑むことになった。

■決勝
11月12日(日)天候:晴れ コース状況:ドライ
リタイア 12周

 この最終戦も予選の後にフリー走行が設けられていなかったため、ウォームアップが15分に渡って実施された。まずはスタートを担当する都筑が最初にJMS LMcorsa 488 GT3に乗り込み、コースオープンと同時に走行を開始。

 すぐにピットに戻ってドライバー交代の練習も行なって、そこからは新田がドライブ。1分51秒525をベストに、コンスタントに5周の計測ができ、準備万全であることを強くアピールした。

 ウォームアップ終了後JMS LMcorsa 488 GT3はグリッドに並べられた。気温、路面温度とも土曜日より上がっていたが、もちろん想定の範囲内。

 いくつかのセレモニーが行われた後、いよいよ都筑はエンジンに火を入れる。栃木県警の白バイ、パトカーによるパレードランが1周行われ、その後にフォーメイションラップが行われる。ホームストレートに戻って、グリーンシグナルの点灯と同時に今季最後の決戦がスタートした。

 無事オープニングラップをクリアした都筑は、ややポジションを落としはしたが、そこからの走りは安定そのもの。反撃の機が熟するのをしっかりと待っているかのような印象すらあったほどだ。

 しばらくは単独走行だったが、10周目を過ぎたあたりから前方との差を詰めていき、14番手を争う集団の背後につけるまでに。間もなくチャンスが訪れるのは必至だった。ところが、13周目に差し掛かった時、JMS LMcorsa 488 GT3の姿が、その集団の中にない。そして、無情にも場内アナウンスがヘアピンのイン側に止まったことを伝えてきた……。

 駆動系のトラブルが発生し、都筑が自らの判断で最も安全な場所にマシンを止めていたのだ。ここまでの7戦すべて最後まで走ってチェッカーを受けてきただけに、最終戦にまさかのリタイアという残念な結果で終わることになったが、2016年のスーパーGTはこの戦いで全スケジュールを終了。

 必ずリベンジを果たすため、またさらなる飛翔を果たすため、来たる新たなシーズンもLMcorsaはサーキットに戻ってくる。まずは今シーズンチームを支えてくれた、スポンサーをはじめとする全ての方々の1年間の応援に心から感謝したい。

監督 小林敬一
 なんとも残念な幕切れとなってしまいました。まったく予期せぬトラブルで、まだバラしてみないと正確には分からないのですが駆動系の、そこは絶対に壊れないはずの部分が突然壊れてしまったので、これはついていないとしか言いようがありません。

 ここまで決勝では必ず最後まで走っていたのに、ここに来て「まさか……」という印象です。ただ、ひとつ言えるのは、みんな頑張ってくれていましたし、誰も手を抜いてはいなかったので、そういう意味ではみんな上を向いて帰れるとは思うんです。来年はいいシーズンにしたいと思います。

 まだ今後のことは何も決まっていませんが、引き続き参戦することは間違いありませんので、来年も引き続きの応援お願い致します。

ドライバー 都筑晶裕
 レース序盤、ダウンシフトが出来ずに順位を落としてしまいましたが、その中でもいいラップタイムが刻めており、今からというところで駆動系にトラブルが発生してしまいました。

 いいところまで行けるのかなと期待をしていたんですが、非常に残念です。最終戦なのに後味の悪いレースでしたので、また来年、フェラーリを使って走るようなことがあれば、さらに上を目指して今年1年間の反省を来年につなげたいと思います。応援ありがとうございました。

ドライバー 新田守男
 状況が僕には何も分からないのでコメントしようがないんですが、かなり残念な結果になってしまいました。

 ここまでずっとチェッカーを受け続けてきたので、最後もそうできなかったことが悔やまれますが、応援してくださった皆さんとチームのスタッフ、この1年間本当にありがとうございました。非常に感謝しています。

エンジニア 成澤健二
 これから帰っていろいろと細かく見ないと正確には分からないのですが、駆動系にトラブルが生じてしまいました。今まで全然壊れていなかった部分なのに……。

 ここまで決勝では大きなトラブルはなく全戦完走してきたので、最後にこうなって残念です。ですが、今シーズン得たものは沢山あるので、来年同じ体制でレースができればもっと良い結果が残せると思います。1年間応援ありがとうございました。