雨となったブラジルGP決勝の後、何人かのドライバーがウエットタイヤの性能に不満を示した。これを受けてF1公式タイヤサプライヤーのピレリは、2017年に向けてタイヤテストの機会が増えているため、以前より改善に取り組める状況にあると述べた。
アクアプレーニングを起こしてクラッシュしたロマン・グロージャン、キミ・ライコネン、マーカス・エリクソンはエクストリームウエットタイヤに批判的な発言を行った。
ライコネンは「今のウエットタイヤはすぐにアクアプレーニングを起こす。10年前はそんなことはなかった」、エリクソンは「今は水たまりがあるとアクアプレーニングが起きるが、昔のように問題なく走れないのはおかしい」とそれぞれ語った。グロージャンは「ひどいタイヤだ」と批判、彼らは、来年から幅広いタイヤが導入されるにあたり、ピレリはウエットタイヤの性能を向上させなければならないと示唆している。
来年のタイヤ変更のため、ピレリはメルセデス、レッドブル、フェラーリの協力のもとに今年中に10回のテストを計画、そのうち3回は人工的にコースをウエットコンディションにしてウエットタイヤのテストを行った。また、2017年のシーズン中に、ピレリの希望に従ってバーレーンでテストが行われる見込みだ。
「4、5日にわたり、複数のサーキットをウエット状態にして、ウエット用のシミュレーション走行を行ってきた。来年の雨天用タイヤを適切な状態にするためだ。しかし(テスト用マシンを使っているため)適切なマシンでテストしたわけではない」とピレリのモータースポーツディレクター、ポール・ヘンベリーが語った。
「来年のマシンで走れるのは(プレシーズン合同テストの)2月と3月になってからだ。だから今後も作業を続けていく」
「去年までと比べると、シーズン中に実際にコース上でテストができるのは大きな変化であり、メリットになる」
「走り出した初日からすべてが完璧な状態になるとは、もちろん言えない。いくつか予想外のことは起こるはずだ。だが少なくとも今は、一年を通して修正するチャンスがある」
「過去には(シーズン中に)1日もテストを行えない時期が3年間あったので、今はとてもいい状況といえる」
ヘンベリーは、ドライバーたちの不満の声に対し、ウエットにうまく対処したドライバーもいるとしてマックス・フェルスタッペンを挙げたものの、来年以降に向けてアクアプレーニングの解決に取り組んでいくと述べた。
「マックスはうまくやっていたと思う。彼の走りは素晴らしかった」とヘンベリー。
「私としては(ブラジルGPは)ピレリがF1に復活して以来の6年の中でもベストレースのひとつに数えられるものになったと考えている。だから観客からすればそれほど悪くなかったと思う」
「来年はよりワイドなタイヤを導入する。我々にとって最初の課題はアクアプレーニングを克服することだ。シミュレーションによってしっかりした着想を得ることができる」
「その後はグリップレベルを適切なものにすることが重要になる。それは来年を通して、さらに2018年においても、我々の作業の中心となってくるだろう」